彼女の親友と俺が浮気しているデマを流され振られてしまった俺は、元彼女の元親友であり噂の浮気相手と付き合うことになりました。
田中又雄
第1話 イチャつく元彼女とイラつく俺
「はい、ゆーくん!」
「あ〜ん...うん。最高にうまい」
「そう?良かった!」
教室の一番前の席でこれでもかと言わんばかりにイチャイチャしている二人。
その二人とは学校1の美少女である
誰が見てもお似合いな二人。
しかし、つい1ヶ月前まではあの隣に座っていたのは自分だった。
今思い返せばまるで夢のような時間だった。
いや、下手すれば本当に夢だったのかもしれない。
そう思えるほど、非現実的な時間だった。
【挿絵】
https://kakuyomu.jp/users/tanakamatao01/news/16818093082492321909
可愛くて、頭が良くて、優しくて...コミュ力があって、スポーツ万能で...、そんな彼女となんの取り柄もないボッチの俺が付き合っていたこと自体あり得ないことだったんだ。
いずれこうなっていた。遅かれ早かれ。
いいんだ。少しの間だけ夢を見れたなら。
後悔していることといえば、あの大きな胸を一揉みも出来なかったことくらいだ。
...なんて最低なことを呟くことしかできない自分が情けない。
デートが3回、手を繋いだのが2回、キスが一回...。
こんなことを数えていること自体バカみたいな話だが。
どうせ今の彼氏に俺の悪口とか言ってんだろうな。女子の扱い方もわからなくて、あわあわして、笑われて、それでも楽しくて...ドキドキだった毎日。
思わず握り強めの握り拳を作ってしまう。
すると、彼女がチラッとこっちを見たような気がして思わず外に目を移す。
秋色に染まった木を眺めながら、「...もう秋か」とか思わずそんなことを呟く。
遅めの春の到来も、秋と共に散りゆく...か。
あー嫌だな、本当...。
してもいない浮気の冤罪をかけられ、思いっきりビンタされ振られて...。
本当...バカみたいな話だ。
何度もしていないと言っても信じてはくれなかった。
一体誰がなんの目的であんな噂を流したのか...。
けど、夢は早めに覚めるに越したことはない。
そうして、ちらっと前の席に座っている俺の浮気相手と言われていた彼女に目を移す。
その相手の名前は
彼女の親友であり、学校で2番目に可愛いと言われている女の子。
クールでかっこいい系の女の子であり、それなりに男子からの人気も高かったが、どうやらあまり男子というのが好きではないようで、そういう浮いた話もなかったのに、突然俺の浮気相手として名前が上がったのだ。
俺と彼女に接点は何一つない。
エリンと付き合う前も後も、彼女とは一度も話したことはなかった。
そして当然、あの噂のせいでエリンとの友達関係も悪くなったようで、噂が流れてから2人が話している姿を見ていない。
更に、あんな噂のせいで女子からも反感を買い、女子も近づくことはなくなり、俺と同じぼっちに成り下がったのだ。
彼女も俺と同じく何も悪くないただの被害者なのだ。
本当は痛みが分かるもの同士、義兄妹の盃でも交わしたいところだが、男子嫌いの彼女と話すことなんて出来るわけもなく、ただ月日が流れていった。
そんなある日のことだった。
下駄箱に一枚の手紙が入っていた。
悪口が書かれた紙か?と思いながら、教室に向かいつつ手紙を開く。
そこにはこう書かれていた。
【真実を知りたいなら放課後図書室に来てください。全てを教えます】
「...」
真実とはあの噂をひっくるめたものだろう。
真実...。
嫉妬した誰かが適当に流した噂...というのが俺の中でのもっともありそうな線だったのだが...違うということなのか?
ごくりと生唾を飲み込みながら、放課後を待つのだった。
そうして、味のしない1日を送り放課後になるとすぐに図書室に向かった。
利用者が少ないのに無駄に広い図書室に到着も早すぎたのか誰もきていなかった。
しょうがなく、適当な席に腰をかけると、すぐにもう一人女の子が入ってくる。
それは木枯さんであった。
少し驚いた表情をしていた俺の元に歩いてくる彼女。
「...え?」
すると、まるでキスをするのかというくらい顔を近づけて「...真実を教えてあげる」と言うのだった。
【挿絵】
https://kakuyomu.jp/users/tanakamatao01/news/16818093082492340149
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