第55話 騒動の終息
コリウスが慌ただしく通信魔道具であちこちに連絡を取る間、既に帝国内では第三王子が拘束されたことを花音たちは伝えられていた。
今回のことが起こる前から第三王子の横暴はかなり問題になっていたらしい。
現在帝国に滞在させられている側妃候補たちは対外的に夫人候補でしかなく、側妃など国内でも認められて居なかったらしい。
それを王族のままなら側妃を持てるとおもっていた第三王子に手を焼いていた現皇太子たちは今回の件を上手く使い、クーデターを企てたとして処分する方向で動いているらしい。
今回間抜けな彼が署名を残した命令書はその決め手になるらしい。
実際、他国の重要人物を攫う計画など場合に寄って紛争を生みかねない。
今回のこの証拠を見つけたこと、実行犯の引き渡しという成果に慰謝料としてかなりの金銭が提示されたらしいのだが、全て断って帝国とその属国と同盟国に働きかけ勇者一家に手を出さない約束を取り付けた。
あとは個人的な賠償として帝国の最新鋭飛行船が花音に贈られることになった。
この先は大人たちが最後まで見届けることで花音たちは漸く元の自由を取り返した。
「飛行船を持つならパーティシンボルと後ろ盾の家紋も入れなきゃねえ」
コリウスがニコニコと花音と風雅に言うとコリウスは自身の特徴ある花を模したシンボルマークを見せた。
「所属を明らかにするのもスポンサーや後ろ盾をハッキリさせるのも冒険者の安全には一役買うのよ」
詳しく聞けば、固定のパーティを組む冒険者にはそれぞれのマークを作り冒険者ギルドに登録するらしい、それがあれば誰の発見か誰の所有するものかが分かり、魔道具を新しく作ったりする場合にも使えるらしい。
シンボルマークはみんなで集まってからどうするか決めようと先送りにして、スポンサーの話を聞くことにした。
「冒険者ってねえお金がかかるのよね」
そう言ってコリウスが教えてくれたのは帝国貴族を中心に流行っているシステムだった。
スポンサーとなる貴族から資金援助や飛空艇を提供してもらったり、飛空艇の維持のための人材や補給などに対する各地の港での補償と援助などを冒険者が受け、代わりに貴族からの依頼や見つけたものを売る際の優先権などを提供する、細かい契約内容は個々にあるらしいが有力な冒険者を抱えていることも貴族のステータスになるらしい。
「私と一朗くんの時はクレッシェントの王家がスポンサーだったのよね、おかげですっごい豪華な飛空艇に乗れたのよ」
ふふふと笑いながら麻里亜が言うのをコリウスも頷く。
「花音ちゃんとアルくんが冒険者を卒業しても続けるなら我が家と花音ちゃんにあげる伯爵家に多分王家もスポンサーになるんじゃないかな?」
一朗の言葉をレジェロが頷いて肯定する。
「私は学園を卒業すればいよいよ立太子されて自由に動けなくなるからね、二人が冒険者を続けるなら是非その話と引き換えに二人のスポンサーになるよ」
ニコリと笑ったレジェロは花音のことを吹っ切ったのか、後ろ暗さは見えなくなっていた。
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