第9話

 それ以外にも教会での読み書きの勉強や聖書の音読、国の歴史のテストなどの俺に取っては簡単なテストを突破した結果、神父のおじさんに魔法の勉強を教えて貰った。


 だからこそ、この魔法を使えるようになっている。


生活魔法

【プチウォーター】

魔力を糧に少量の水を生み出す水属性の生活魔法


【プチファイア】

魔力を糧に少量の火を生み出す火属性の生活魔法


【プチウィン】

魔力を糧に少量の風を生み出す風属性の生活魔法


【プチアース】

魔力を糧に少量の土を生み出す土属性の生活魔法


【プチダーク】

魔力を糧に少量の闇を生み出す闇属性の生活魔法


【プチライト】

魔力を糧に少量の光を生み出す光属性の生活魔法


【プチヒール】

魔力を糧に擦り傷を癒す回復属性の生活魔法


【プチクリーン】

魔力を糧にちょっとした汚れを綺麗にする神聖属性の生活魔法


光魔法

【ミニライト】

魔力を糧に小さなの光を生み出す光属性魔法


回復魔法

【ミニヒール】

魔力を糧に傷を癒す回復属性魔法


神聖魔法

【ミニクリーン】

魔力を糧に汚れを綺麗にする神聖属性魔法


 どの魔法も本来ならこんなに早く使えるようにならないと神父のおじさんやシスターたちには驚かれた。


 ここまで早く覚えられたのは多分だけど学生のジョブのジョブスキルである【学習能力上昇】スキルの効果のお陰だと思う。


 他にも極めたジョブの【魔力上昇】スキルの効果で、俺は普通よりも魔力の量が多いのも魔法の練習が何度も出来たので、それも魔法の取得が早かった要因だろうな。


 魔法を使えるようになってからちょっとした事でも魔法を使うようになり、両親には感謝されているがどうにも兄たちとの関係が悪くもなっていた。


 特に何かをされる事はないが、俺のことを狡いだの卑怯者だのと言うのは止めて欲しい。


 それに魔法を教えて貰うことになる前に教会に来ていた子供たちと遊んでいたのだが、魔法を覚えてから誘われなくなったのも残念だ。


 あの子たちとの遊びで新しいジョブを獲得することが出来たし、雪合戦をした時なんて【見習い投擲士】と【投擲士】のジョブを極め、【かくれんぼ】系と【鬼ごっこ】系のジョブを極めるのにも役立ったのにと本当に残念に思う。


 それに神父のおじさんやシスターたちからは教会に入らないかと誘われているのも面倒だ。


 教会に入らないと取得することが出来ないジョブもあるだろうが、教会に入ることで今後の行動範囲も狭まってしまうのが心配の種でもある。


 そこのところは神父のおじさんやシスターたちと話さないといけないだろう。現に今も俺なら治癒者やエクソシストにもなれるだろうと言っていたのだ。


 これに関しては俺の意思を優先してくれるとは言っているので問題はないと思う。神父のおじさんもシスターたちも人格者なのだから。


 暖かな日差しの中でステータスを見ながらこれまでの事を考えていた俺はこちらに来る村の女性に気付いて起き上がる。


 「どうしたんですか?」


 「いいから来て!少しでも人手が居るみたいなの!!」


 「うおっ!?」


 何やら焦っている女性に手を引かれながら俺は村へと向かう事になる。


 本当に何があったのか気になるが、俺の手を引いている女性の顔は焦っている様子で答えてくれないだろう。


 そんな事よりも向かっている場所で何があったのかを確認した方が良い。そうして女性に手を引かれて着いた場所は教会だった。


 教会では既に人集りが出来ており、泣いている子供や青褪めて絶望している女性も何人もいる。


 それを見て思い出すのはそう言えば今日は近くの森で狩人がゴブリンが現れたからと、男の村人たちの何人かが森の中で狩人たちとゴブリン退治に出掛けると両親が言っていたのを思い出す。


  ゴブリンは大人の男なら問題なく殺せるモンスターだ。ゴブリン退治に向かった人数は知らないが、森の中で活動している狩人たちだっていたのだから問題はないとは思うのだが、これはゴブリン退治に失敗したのか?


 「ショウくん、来てくれたのね!!早速で悪いけど手伝って!!」


 教会の中に入った俺はシスターに見つかって呼び掛けられシスターの後についていく。


 シスターが入ったのは怪我人を治癒する部屋の中だ。ゴブリン退治で怪我人を出してしまったのだろうか?


 治療部屋の中に入ると、その部屋の中は血の臭いや薬の匂いが充満して混じり合って酷い臭いがして鼻が曲がりそうだ。


 部屋の中を見ればそこには3台のベットだけじゃなく、持ち出された長椅子にも怪我人が横になっている。


 神父のおじさんはその中でも1番の重傷者の人へと回復魔法を使っており、それ以外の怪我人たちにはシスターが回復魔法や薬を使って治している。


 他にも村の中で回復魔法が使える者たちが集まって複数人で1人の怪我人に魔法を掛けたりしている現場に立ち止まって動けなくなる。


 「ショウくん!こっちの人をお願い!」


 「えっ?わ、分かった!!」


 多少の怪我だけで死にはしないがそれでもそこそこの怪我人を治すようにシスターに言われる。


 「ああ、君か。怪我をしているのはここだ。お願い出来るかな。」


 「うん。」


 腕と身体の幾つかの箇所に打撲痕がある。ゴブリンに殴られたのだろう。これくらいの傷ならミニヒールでも癒せるとは思う。


 手をかざして回復魔法ミニヒールを発動する。一つ一つの傷にミニヒールを使うことで打撲痕は全て癒した。


 「他に怪我はないですか?」


 「ないはずだ。」


 それから俺は1人の怪我人を癒したら、次の怪我人を癒やしに向かう。


 俺の魔力が尽きた頃には死ぬような怪我人は全て神父のおじさんとシスターたちが癒したお陰で、この部屋の中で死人は誰も居ないが、部屋の中まで聞こえてくる泣いている人の声にきっと助からなかった人もいるのだろう。


 「お疲れさま、ショウくん。」


 「あ、うん。ねぇ、もう帰っても良い?疲れたから家に帰りたい。」


 「そうね。時間も時間だから送るわ。」


 俺はシスターのお姉さんと一緒に家に帰る。もう既に教会の外は真っ暗になっているので、どれだけの時間を怪我人の治療に費やしていたのだろうか。


 お腹空いたなと思っていると、見えてきた家の中から良い匂いがしてきた。


 「ここまで来れば大丈夫だよ!じゃあね!」


 「分かったわ。明日また教会に来てね。」


 「分かった!」


 俺は見えてきた家に向かって走り出して行った。

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