第7話

 あれから1ヶ月も経たずに【見習い農家】のジョブを極めた。これは【学ぶ者2】のジョブスキル【ジョブスキル熟練度上昇(微)】と【ジョブスキル熟練度上昇(小)】に極めた【学ぶ者1】の【ジョブスキル熟練度上昇(微)】の効果でここまで早くジョブを極めたのだろう。


 思ったよりも早かったせいで予定が狂ってしまったが、麦や野菜の収穫までの時期は家族総出で畑仕事を行なう為、【見習い農家】のジョブを極めたお陰で就けるようになった【農家】のジョブに就いた。


【農家】

農業に関するジョブスキルを得るジョブ

取得ジョブスキル

【土状態感知(小)】【植物状態感知(小)】【作物品質向上(小)】【農具術(小)】【農具性能上昇(小)】【体力上昇(小)】【筋力上昇(小)】


【土状態感知(小)】

土の状態が五感も含めた六感で少しだけ理解できるジョブスキル


【植物状態感知(小)】

植物の状態が五感も含めた六感でほんの少しだけ理解できるジョブスキル


【作物品質向上(小)】

育ってた作物の品質を少しだけ向上させるジョブスキル


【農具術(小)】

農具の扱いが少しだけ理解するジョブスキル


【農具性能上昇(小)】

農具の性能を20%上昇させるジョブスキル


【筋力上昇(小)】

筋力を20%上昇させるジョブスキル


 更に1ヶ月経つ頃には野菜の収穫も行なわれるようになり、そして新しいジョブが手に入った。


 それは3日に一度のペースで行なっていた小川での漁を行なった成果のジョブである【見習い漁師】だ。


【見習い漁師】

漁業に関するジョブスキルを得るジョブ

取得ジョブスキル

【川海状態感知(微)】【魚介類感知(微)】【漁具術】【体力上昇(微)】【筋力上昇(微)】


【川海状態感知(微)】

川、海などの状態が五感も含めた六感でほんの少しだけ理解できるジョブスキル


【魚介類感知(微)】

魚介類の状態が五感も含めた六感でほんの少しだけ理解できるジョブスキル


【漁具術】

農具の扱いがほんの少しだけ理解するジョブスキル


 これが新しく獲得したジョブだが、流石に新しい見習いジョブを獲得しても、まだ【農家】、【学ぶ者2】のジョブスキルを極めてないので当分は【見習い漁師】のジョブに就くことはないだろう。


 それから時間が経ち、ようやく麦を収穫する時期になり畑に向かえば、そこにある麦畑は黄金色をして風に棚引いている。


 これを育てるのに俺も畑仕事をしたんだと思うと何故だか感動してしまう。


 「綺麗だね。」


 「そうだろ?ショウ。これは俺たちが育てたんだ!」


 隣で言う父さんが言うように、この麦畑の麦がここまで育てるのに俺も動いたんだから胸を張れそうだ。


 そこから家族総出で麦の収穫を行なっていく。数日掛けてようやく全ての麦の収穫を終えてステータスを確認する。


 【農家】のジョブスキルで【★植物状態感知(小)】【★作物品質向上(小)】【★農具術(小)】【★農具性能上昇(小)】【★体力上昇(小)】の5つが熟練度をカンストしていた。


 これで残りのジョブスキルは2つになり、あとは土を弄りをすることで【土状態感知(小)】の熟練度を上げ、【筋力上昇(小)】は筋トレでもして上げようと思う。


 そうすれば【農家】のジョブを極めることが出来るはずだ。


 それにしてもなんでこんなにも簡単にジョブスキルの熟練度が上がるのか、いくら【学ぶ者】のジョブ効果やジョブスキルで上がりやすいと言っても疑問があるが、何かしらのマイナスなことはないので気にしないことにした。


 そして秋から冬になる頃、子供たちは村の教会で文字の読み書きを教わることになる。


 この村は比較的裕福な村だ。その為、村の教会には神父が1人、シスターが3人もいる。他の村だと神父が1人だったり、神父とシスターが1人ずつだったりしているから普通の村よりも多いのだろう。


 これから毎日午前中だけ教会で読み書きやこの世界の宗教や国の歴史などを教わることになる。


 そしてこれらを覚えることが出来た者には魔法を教わることになるそうだ。その中でも教会の神父やシスターが教えてくれるのは魔法の基礎を教わり、回復魔法や光魔法に神聖魔法を才能があれば教えてくれると言う。


 本来なら5歳から通うことになるが両親も行ってみても構わないか聞いてから兄たちに付いて教会に行ってみた。


 「この子が気になるみたいで、駄目でしょうか?」


 「構いませんよ。子供の遊び場になってるくらいですからね。」


 母さんが神父のおじさんに俺も勉強に参加しても良いのかを聞いてくれているが、神父のおじさんの話からしてまともに勉強している者は少なさそうだ。


 「ショウ、勉強頑張りなさいね。」


 「うん、母さん。」


 母さんが帰るのを見送ると、俺は神父のおじさんのあとを付いていく。


 「でも良かったの?俺が参加しても。」


 「構いませんよ。さっきも言った通り遊んでいる子供が多い。学ぼうとする子は少ないですからね。それに君は良い子だと有名です。」


 「へっ?どう言うこと?」


 どうやら俺が畑仕事を積極的に手伝ったりしているのは村の中では有名らしい。他に新しいジョブが手に入らないか色んなことをやっているのも原因だそうだが。そのことを神父のおじさんが言う時は気不味そうにしていた。


 文字の読み書きを教えてくれる部屋に案内してから、神父のおじさんは中のシスターを呼んで俺のことを伝えている。


 文字の読み書きはシスターが担当しているようで、だからまだ5歳になっていない俺のことを伝えているのだろう。


 「ショウです。」


 「ちゃんと自己紹介が出来るのね。こっちよ。」


 シスターに手を引かれて文字の読み書き用の教室へと入ると、そこにいる子供たちは3人と少ない。


 先ほどから子供たちの声が聞こえるのにと疑問に思うが、神父名おじさんが言っていた通りに教会の外で遊んでいるのかも知れないな。


 そして俺も文字の読み書きの授業に参加する。前世で日本語や英語と習って使えていたお陰もあって時間は掛かっても覚えるのには問題ないだろう。


 出来れば早く文字の読み書きを覚えて、魔法の勉強をしたい。それに文字の読み書きを習っていれば新しいジョブが得られる可能性だってあるのだから。


 それから俺は黙々とシスターに教えて貰いながら文字の読み書きを進め、教会の聖書を読んだり、国の歴史を学んだりと色々なことを教わっていくのだった。

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