第2話

 「俺は転生したのか?」


 今の声は子供の声だ。確かに転生が完了しているようだ。周りを見るが誰もいない部屋だが、部屋の壁や家具を見る限りでは裕福ではないが、それでもそこそこ家庭に転生したみたいだ。


 「何か問題が起こらない限りご飯は食べられそうだな。そういえば、今世の俺はどんな風に過ごしていたんだ?」


 前世の俺の記憶が戻る前の今世の俺の記憶を思い出してみた。俺の名前はショウのようだ。記憶が戻るまでの俺は活発に活動しないで土や草をいじったり、見つけた虫の観察をしているような子供だったみたいだ。


 ファンタジー系の異世界ならステータスがあるのではないか、そう思った俺は幾つかのステータスに関係ありそうな言葉を言おうとしたが、最初のステータスオープンでステータスが表示されてしまった。


名前 ショウ

ジョブ 

【学ぶ者1】【】

ユニークスキル

【複数ジョブ レベル1】【念動力】

ジョブスキル

学ぶ者1

【ジョブスキル熟練度上昇(微)】【体力上昇(微)】【魔力上昇(微)】【器用さ上昇(微)】


【念動力】

精神の力で物体を動かすユニークスキル


 これが俺のステータスらしい。ジョブスキルに体力上昇、魔力上昇、器用さ上昇とあるからそう言った能力値があるのかと思ったがステータスでは見れないのか、それとも自分自身の肉体を鍛えた結果にジョブスキルでプラスされるのか、そのどちらなのかそれとも別にあるのかは分からないがそう言う物だと思っておこう。


 【念動力】これがなんなのか疑問だ。俺はこんなスキルを選んでいないのだから。もしかしたら転生する時の最後に何か言っていたような気がするがそれなのかも知れない。


 精神の力で物体を動かすユニークスキルのようだが、精神の力で動かすと言うのになんとなくと言うしか分からないが、そんな状態でも【念動力】を使えはするようだ。


 お下がりだが子供用の手作りのおもちゃがあり、それを使って【念動力】を使ってみることにした。


 手をかざして動けと念じれば木で作られた人形がプカプカと空中を浮いていく。


 そこから更に木の人形の手足を動かしてみようかと試しに行なってみたが、そんな操作は【念動力】を初めて使ってみた俺には出来そうにない。


 「使えることが分かっただけで良しとしよう。」


 ステータスを確認してもう一つやれることはある。それはユニークスキル【複数ジョブ レベル1】を使うことだ。


【見習い農家】

農業に関するジョブスキルを得るジョブ

取得ジョブスキル

【土状態感知(微)】【植物状態感知(微)】【農具術(微)】【体力上昇(微)】【筋力上昇(微)】


【見習い念動士】

【念動力】、無魔法【念力】などのユニークスキルや魔法を強化するジョブ

取得ジョブスキル

【念力系統出力強化(微)】【念力系統操作力・制御力強化(微)】【魔力上昇(微)】【精神上昇(微)】【器用さ上昇(微)】


【土状態感知(微)】

土の状態が五感も含めた六感でほんの少しだけ理解できるジョブスキル


【植物状態感知(微)】

植物の状態が五感も含めた六感でほんの少しだけ理解できるジョブスキル


【農具術(微)】

農具の扱いがほんの少しだけ理解するジョブスキル


【筋力上昇(微)】

筋力を5%上昇させるジョブスキル


【念力系統出力強化(微)】

念力系統の出力を5%強化するジョブスキル


【念力系統操作力・制御力強化(微)】

念力系統の操作力と制御力を5%強化するジョブスキル


【精神上昇(微)】

精神を5%上昇させるジョブスキル


 これが今の俺が就職することが可能なジョブのようだ。


 【見習い農家】の方は家族が農業をやっており、俺もその手伝いをしたことがあるからあるのだろう。


 【見習い念動士】の方はユニークスキル【念動力】を取得しているから現れたジョブだと思うが、この俺の予想は正解していると思われる。


 この2つの内のどちらかをジョブにセットするのだが、今日は外に出て遊んだり、家の農業を手伝ったりする訳ではない為、お試し感覚で【見習い念動士】のジョブを1番先頭にしてみた。


 「あっ!」


 【見習い念動士】のジョブに就いた瞬間にほんの少しだけだが自分の中の力が上がった気がした。


 【念動力】も強化されているのだろうと、俺は先ほどのように木の人形に意識をやって浮遊させる。


 「少し変わったみたい。」


 ものすごい実感すると言うほどではないがそれでも【見習い念動士】のジョブに就いて【念動力】の効果が上昇している。


 あとはジョブスキルの熟練度を最大まで上げることを目標にしてこれから鍛えていこう。


 【念力系統操作力・制御力強化(微)】のジョブスキルで【念動力】の操作力と制御力が上がっていることを期待して、先ほどは出来なかった木の人形の手足を動かすということをやってみた。


 「一応は動かせてるのか?」


 ぎこちなく動く木の人形の手足に先ほどは出来なかったことだが、俺は微妙に納得いかない。


 これも今後の練習次第ではスムーズに人と変わらない動きをさせることを目標にしても良いかも知れないな。


 出力が【念力系統出力強化(微)】で強化されて、木の人形を持ち上げる力も増しているが、家族が帰宅した際に木の人形が浮いている姿を見れば驚いてしまうので、俺は手元で木の人形を動かして遊んでいく。


 錆び付いたロボットが動くようなぎこちなさで動く木の人形。そんな木の人形をより自然に動かすように意識を向けているが、何故だか分からないが段々と集中力が無くなって動きが雑になってしまう。


 「これは【念動力】が精神力を使うからなのか?」


 【念動力】で物体を動かすのに使うのは俺自身の精神力だ。これは精神力が強ければより物体を動かせると言う意味もあるのだろうが、他にも精神力を消耗しているから精神的な疲労が発生して集中力が切れてしまっているのかも。


 「仕方ない。他のことでもするか。それに新しいジョブに就けるような事でもすれば、今後の就くジョブを増やしていけるはずだ。」


 とりあえず今の3歳児でも出来そうなことをして過ごそうと思うが、家の中で出来るような物が思い付かない。


 思い付かない以上はしょうがないので集中力が切れてしまっているが、今日はこのまま家族が帰って来るまで【念動力】を使って過ごしていこう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る