最強であることは呪い

@BTSIAC

第0章 - プロローグ

宇宙には数多くの生命が存在しており、その中でも一際謎めいた存在が際立っている。ビッグバンよりも前にその存在が確認された者がいるのだ。


何千年も果てしない空間を絶えず彷徨い続け、彼は文明が台頭する様子を目の当たりにし、孤独を打ち破ろうと希望に満ちた。


まるで孤独な旅人のように、彼は多種多様な世界を探索し、異なる風習や文化に触れた。


しかし、彼がどこへ行こうとも、迎えられるのは善意ではなく、警戒と恐怖だった。


その力のために拒絶され、彼は彼らに自身の意図を説明しようと努力したが、その不気味なオーラが妨げとなった。


残念ながら、彼が引き起こした憎悪は決して消えなかった。


彼が近づこうとすると、人々は彼が一歩進むごとにさらに距離を取った。


誤解されて恐れられていることに気づいた彼は、文明から文明へと逃げ回り、少なくとも一つの文明が彼を受け入れてくれることを期待した。


しかし、繰り返しが続くうちに、ある文明の恐怖に満ちた祈りが最高神に届いた。それは、神の頂点に立つ三柱の神々だった。


こうして、わずかに祈りの光に照らされた広大な大広間に三本の巨大な柱がそびえ、その頂は暗闇の中に消えていた。


柱の間には、エネルギー粒子を吸収する石の球が祈りの光から落ちてきており、その光は徐々に消え去っていった。


そこで、重要な決定が下された。


暗闇の中でお互いに向き合う三つの影が王座に座っており、彼らの目だけが暗闇を突き抜けていた。


その沈黙を破ったのは、いらだちを見せた男性の声だった。


「この光、いい加減イライラするな。普段なら十回程度の祈りで止むはずだが、今は千に近いだろう。誰かを送り込むべきか?」


最初の声よりも低く、そして自信に満ちた別の男性の声が楽しげに答えた。


「もし望むなら俺が行こうか?特に相手が誰かも分かっていることだし。」


最初の声が再び口を開いた。


「やめろ、お前でも敵わないことぐらいわかっているだろう。彼が頂点に立つ理由を。」


二つ目の声は突然苛立ちを露わにした。


「は?俺が敵わない?冗談だろ。証明してやろうか?」


その男は自信満々で立ち上がり、こう言った。


「一度も戦いに負けたことがない。お前がそれを誰よりもよく知っているはずだが、自分で奴に挑んで自慢したいのか?」


最初の声はため息をつきながら言った。


「馬鹿馬鹿しい…」


そして少し疲れたように付け加えた。


「勝手に死んでこいよ。俺には関係ない。」


もう一人の男はさらに激昂し、声を荒げた。


「本当にぶっ殺されたいわけ?」


最初の声は呆れた様子でため息をつき、答えた。


「お前が強いのは認めるよ。でも、今回は違うんだ。本当に彼は怪物だ。お前でも気づく前に殺されるだろう。」


二つ目の声は怒りに任せて叫んだ。


「黙ってろ!」


彼は魔法を使い始め、その手の上に赤い円が現れ、暗赤色のエネルギーの球が形成された。


その魔法の光は、彼が攻撃しようとしていた神の筋肉質な体に刻まれた模様を一瞬だけ照らした。


しかし、彼が攻撃しようとした瞬間、別の神が目を開き、その脅威を向けた神に視線を投げかけた。


冷静でありながら威厳のある女性の声が彼に語りかけた。


「やめろ」


その声を聞くと、彼は魔法を解除し、座り直した。


「その通りだ、彼は価値がない。」


神が落ち着いた後、女性の声は続けた。


「ほんと、もう嫌になるわ。毎回こうなるんだから。でも、彼が正しい。お前も死ぬ。彼はあまりにも強い。」


苛立った男は歯を食いしばり始めた。


少し考えた後、女性の声は言った。


「でも、私には勝てる可能性がある人がいると思う。」


座り直した男は興味を示した。


「俺たちより強い奴がいるってことか?」


女性は不吉な笑みを浮かべた。


「バカ言わないで。私たちに勝てる者などいないわ。でも時には、知識が力に勝ることもある。」


彼女の笑みはさらに悪意を帯びたものとなった。


「いずれにせよ、私たちの目的はもはや彼を殺すことではない。ただ時間を稼げばいい。そして、もしこのまま続けば、私たちは目的を果たせるだろう。」


「ん?」


最初の声が疑問の音を漏らした。


二つ目の声は好奇心に満ちた様子で尋ねた。


「ほう、面白い。それで、何を考えているんだ?」


二つ目の影が質問を終えると、部屋には重々しい沈黙が漂い、他の二人の神々の視線がその女性に注がれた。その女性はテレポートで姿を消した。


次に、真っ白な輝きが広がる部屋の中央に現れた。部屋の周囲には金色の柱がそびえ、その中央に女性が紫の髪を揺らしながら赤い玉座に座っていた。玉座は十段の階段の上に置かれており、彼女は紫のかかとの靴を履き、長い白い手袋をはめていた。


彼女の前には、跪いている四人の神々がいた。彼らは恐怖に震え、その玉座に座る女性を直視することさえできなかった。


その中で、知識の神ミラは短い黒髪と細い眼鏡で目立っていた。彼は白いコートを身にまとい、本がつり下がっている。黒いズボンと靴を履いていた。


隣には剣術の神プリモがいた。彼は高慢な態度を見せ、澄んだ青い目と輝く金髪が彼の貴族的な姿を引き立てていた。彼は白い将軍の制服を着ており、金色のリボンがそれを貫いていた。彼の腰には長く細い銀の剣がぶら下がっていた。


また、欲望の女神ルナもそこにいた。彼女は豊満な曲線美を誇り、長い金髪と冠を身につけていた。彼女の透けた白いローブは想像力をかき立てるものだった。


最後に、戦闘の神アスラはその場にいた。彼は強大な力を象徴する存在で、屈強な体つきをしていた。彼は短い茶色の巻き毛と茶色のひげを持ち、ローマの腰布だけをまとい、鋼の剣を持っていた。


紫の女性は一瞬彼らを見つめた後、厳しい声で話し始めた。


「さて。全員揃っているな。時間を無駄にしないために言っておくが、今回お前たちを呼び出したのは、ある任務を任せるためだ。お前たちは、悪魔を脅かしている人物を探し出し、排除しなければならない。現地に行けば、すぐに状況がわかるだろう。」


彼女がそう言うと、彼らの背後にポータルが開き、その女性はテレポートで姿を消した。


四人の神々は、沈黙の中でお互いの顔を見合わせ、跪いたまま誰も言葉を発することはなかったが、アスラがやがて口を開いた。


「待てよ。俺たちが探している人物の詳細な特徴はわかっているのか?」


その発言をきっかけに、神々は立ち上がり、疑念に満ちた会話が始まった。


ミラが答えた。


「いや、現地に行けばすぐにわかると言っていただろう。」


アスラは引き下がらずに言った。


「それってどういうことだ?とにかく、我々の任務はそいつを排除することだろう。」


不安げなルナは、その不信感を隠さなかった。


「普通、少しは服装とか説明があるものなのに、今回は全然ないって、おかしいわ。」


ルナの不安を察したプリモは、手で髪を整えながら彼女に近づき、クールな態度を取ろうとした。


「心配するな、ルナ。俺がついている。」


ルナは苛立たしげに舌打ちをした。


「ちっ。」


しばらくして、神々はポータルに向かって歩き出した。


ポータルを通り抜ける間、ルナはその不安を拭い去ることができなかった。


やだな、なんか嫌な予感がする。


ミラは彼女を安心させるため、彼女の肩に手を置いた。


「大丈夫だ、きっと問題ないさ。」


ミラは最後にポータルを通過し、まばゆいばかりの白い光が現れ、ポータルは閉じられた。


ポータルを通り抜けた彼らは、星空が輝く森の上空に立っていた。


ミラは恐怖に凍りついた。


冗談だろう?光の柱があんなに大きいなんて。


彼らは木々の向こうに隠れた村から放たれる光の柱を感じ、魅惑的な光景が広がっていた。


彼らが近づくと、神々は驚愕した。彼らの目の前には、幻想的な場面が繰り広げられていた。


村人たちは跪きながら祈りを捧げており、巨大な光の柱が夜を照らし、神秘的な雰囲気を醸し出していた。


あまりにも多くの祈りに心配した彼らは、いくつかの疑問を抱き始めた。


プリモは神経質に言った。


「なんか変だな、ミラ、何かわかるか?」


ミラは言い返した。


「うん、わかる。できれば俺の予想が外れてほしいんだが。」


アスラは恐れを見せず、むしろ興奮を隠せない様子だった。


「そんなことはどうでもいい。とにかく原因を叩きのめせばいいんだろう!」


ミラはアスラの無茶な言動に呆れてため息をついた。


「お前はただ戦いたいだけだろう。」


彼らが祈りの中に「恐怖」「生物」「黒」「殺す」という言葉を感じ取ったとき、彼らの顔には汗が流れ始めた。


その光景を見て、ルナは心配そうに言わずにはいられなかった。


「ねえ、これって普通のことなの?祈りの中でこんな言葉が見えるなんて。」


状況を把握していたミラは、不安な思いを声に出して言った。


「そうさ…少なくとも、上級神にとっては普通のことだ。」


ミラの答えを聞いて、ルナは驚きの声を上げた。


「待って、それって…」


アスラはますます強敵との戦いを期待して、興奮を抑えられない様子だった。


ミラはルナの懸念を確認し、眼鏡をかけ直しながら冷静に言った。


「そう、彼らはこの存在に対してあまりにも恐怖を抱いているため、彼らの祈りが強まって、誰にでも見えるようになったんだ。」


アスラは鼻で笑いながら嘲笑した。


「はっ、こいつらヘタレかよ。」


神々はますます疑念を抱きつつ、任務を果たすために前進した。


彼らは空を飛び、目の前の景色を見渡しながら、敵を探していた。ミラは森の中にある広い草原を見つけ、そこに目をつけた。


ミラは提案した。


「おい!向こうに広い草原があるぞ、そこに行ってみないか?」


アスラは笑みを浮かべ、戦いに飢えた表情で言った。


「ミラ、敵はそこにいると思うのか?」


ミラはアスラの興奮を見て、苦笑いを浮かべた。


「まあ、アスラのためにそうであってほしいな。かなり興奮しているようだし。」


彼らが草原の上空を飛んでいると、木の陰に何かの影が形を取り始めているのが見えた。


好奇心に駆られた彼らは降り立ち、その神々の翼と神々しい姿が光に浮かび上がった。四人の神々が降り立ったとき、彼らが放つエネルギーは非常に強力で、いくつかの木は根こそぎ倒され、他の木々は彼らの通過によって曲がったまま残された。


彼らは草原の中心に向かって歩き、その影が何なのか見極めようとしていた。


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