第39話 一斉掃射
6月20日9:30。
ニニシア近郊の海でマタイ共和国軍は展開していた。
彼らは空から攻めてくるサーダマ師団をこの海上で迎撃することを選んだ。
今ニニシアの街では戦災によって家を失った民間人たちのキャンプがあり、再びニニシアを戦場にすることはできなかった。
そのため、民間人への最も被害が少ない場所で迎撃するとなれば、海上しかあるまい。
そうして、マタイ共和国軍はサーダマ師団を迎撃するために海で展開したのだった。
そのように、海で展開していたサーダマ師団迎撃部隊の各兵士たちは少しずつ迫る開戦の時を待っていると、
「レビナ大将!!レーダーに多数の反応を検知!!この信号はレアル帝国軍です!!」
彼らのレーダー範囲内にサーダマ師団の艦隊が入ってきた。
レビナ大将は艦橋にある窓から外を見てみるが、彼らを肉眼で捉えることはできない。
まだ彼らとの距離があることが分かったレビナ大将は全軍に指示を飛ばす。
「全軍!!迎撃の準備に移れ!!私の指示で一斉射撃を行う!!」
レビナ大将がそう指示すると、この場に集まっている兵士たちは戦闘の準備を開始する。
もうすぐ開戦だ。
そのことが彼らに緊張を与える。
それでも彼らは絶望することなく、自分のできる最大限のことをやっている。
レビナ大将はこの迎撃部隊の最高指揮官である。
そのため、彼の指示一つで部隊の勝利から壊滅までの運命がかかっている。
レビナ大将は誰よりも冷静さを保たなければならないのだ。
レビナ大将はレーダーに映る艦隊の様子を確認し続ける。
彼らが迎撃に適した位置に来るまで相手の様子を窺い続ける。
そうして、レビナ大将が戦局を見極めていると、
「レビナ大将!!全艦艦砲発射準備完了!!いつでも撃てます!!」
レビナ大将の乗る戦艦のオペレーターから全艦の一斉掃射の準備ができたとの報告があった。
後は来るべき時が来るまで待つのみ。
レビナ大将はそう思いながらレーダーを見続ける。
そうして、戦局が動かずにこう着状態が続いていると、サーダマ師団が艦隊をこちらへ進め始めた。
少しずつ近づいてくるサーダマ師団にレビナ大将は緊張で額に汗をかく。
それでも一切の集中が切れていない。
そのように、サーダマ師団が艦隊を進め始めてから少し経った時、肉眼でも彼らの艦隊が確認できる位置まで来た。
しかし、まだこの距離は有効射程距離ではない。
そのため、もう少し彼らを近づける必要がある。
だが、他の兵士たちは迫り来る艦隊に何もしないことへのストレスからレビナ大将に何度も発射の指示を請がれる。
それをレビナ大将は鋼のメンタルで全て跳ね除ける。
そうして、サーダマ師団の艦隊が全て視界に入るか入らなか以下の瀬戸際に来た時、
「全軍!!一斉掃射!!一匹も逃すな!!」
レビナ大将から一斉掃射の指示が出される。
その瞬間、迎撃部隊の全ての戦艦、ATLASによる一斉掃射が行われる。
それと同時に、サーダマ師団の艦隊も合わせるように一斉掃射が行われる。
お互いのレーザーやミサイルなどがぶつかり合い、2部隊との間に大きな爆発が起きる。
それでもその爆発を切り抜けたレーザーやミサイルなどがサーダマ師団の艦隊やATLASたちに命中し、幾つとのATLASと戦艦が撃沈していく。
そして、迎撃部隊の方にもサーダマ師団のミサイルやレーザーが被弾し、多くのATLASや戦艦が撃沈させられた。
戦果としては五分五分といったところか。
最初の一斉掃射で五分五分まで持って行けたことはこの戦闘を行う上で最低条件であったため、ひとまずは第一関門を突破したと言えるだろう。
それでも相手よりも多く撃破できなかったことは戦力で劣る彼らにとっては痛手である。
そうして、一斉掃射が終わった後もサーダマ師団は艦隊を前へ進めながら各戦艦による迎撃を続ける。
迎撃部隊もそれに対抗するように戦艦での迎撃を続ける。
そのようにして、お互いの艦隊との距離が近づいた時、一斉に待機していたATLASたちが飛び上がる。
そうして、ATLAS同士での戦闘が始まったのだった。
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