第31話 想定外




 一日に三度のメンテナンス。

 一度目は、観察。

 二度目も、観察。

 三度目で、ひとぶひんの変形の実行。

 竜の力を使い、変形させ、兵器を無害化する。

 取り除きはしない。

 これらの兵器は咲茉えまの拠り所である。

 空っぽでも、空っぽなりに必要なのである。


 半分は、本音。

 半分は、建前。


 竜の力を使う前の咲茉の身体は、全部全部、殺害したい人間の為に在った。

 兵器を組み込んだのは、改造人間になったのは、全部全部、殺害したい人間の為。




 確実に息の根を止める為であろう。

 残虐無比に息の根を止める為であろう。

 己の肉体に多種多様な兵器を組み込むほどの憎悪だ。

 このような感情を向けるべき相手ではないと、わかっていても。


 竜の力を使わなければ変形させられない、その兵器の、堅牢さに。

 竜の力を以てしても立ち入る事ができない、その殺害したい人間への想いの、堅牢さに。




 愚かにも、




 羨望の念を抱かずにはいられない。

 嫉妬の念を抱かずにはいられない。


 愚かにも、

 卑しくも、

 浅ましくも、




 メンテナンスと称して、見過ぎたのだろうか、触れ過ぎたのだろうか。


 双子を受け入れて、多種多様な顔を見たいと願うなど。




 これでは、











(2024.8.27)



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