幼馴染との未来

結城・U・雄大

第1話 再会

辛かった高校受験を乗り越え、第一志望校に合格した俺は晴れて高校生になった。

あれだけ必死になって勉強して、着たかった制服に袖を通し、一番来たかった高校に毎日通っているのというのに俺の心は全く晴れることはなかった。

むしろ憂鬱な日々が続いていた。


これが噂には聞いていた五月病というやつなのだろうか。

実際にゴールデンウィークが明けた後、無気力感から逃れることができなかった。

心のどこかで物足りなさを感じていた。

焦り、不安、苛立ち、迷い。

負の感情が胸の中でぐるぐると蠢いている。


「あ、大和やまとじゃん!」

「み、美咲みさき……」


当てもなく最寄り駅周辺をぶらぶらしていた俺は、突然話しかけられて思った通りの声が出なかった。

目の前に現れたのは幼稚園から中学校まで同じところに通っていた幼馴染の美咲だった。


「美咲……とお隣の方は?」


美咲の横には俺よりも少し背の高い金髪の男が一人立っていた。

ただでさえ小柄な美咲なのだから、彼との身長の差が際立っていた。


「あ、そうだね。紹介しなきゃだね」


紹介……?

頭の中で嫌な考えがぽつりぽつりと浮かび上がってくる。

もしかして彼氏なのか?

いや高校に上がってまだ1か月しか経ってないんだぞ?

そんな訳あるのか?

あの美咲が?嘘だろ?


「おーい、大和ー大丈夫かー?どうし……」


美咲の声が遠のいていく。

最近特に活発になっていた負の感情が頭の中で暴れ出して、止まらない。


「大和……?」

「あ、ごめん。ちょっと気分悪くて……また今度話そう」


美咲と話すことからまた逃げるのか。

俺はなんて薄っぺらで弱い人間なんだろうか。


「待って!大和」


美咲が俺の右手首をガシッと掴む。

俺がその手を振りほどくことは簡単だろう。

ただそうはしなかった。


「美咲……」

「やっと目合わせてくれた。ちょっと話そっか」


美咲に手を引かれるまま、美咲の背中について行った。

美咲の温かさが手から伝わる。


こうして俺と美咲は思わぬ形で再会することとなった。

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