私の関係性にラブコメを添えて
今回、微ラブコメ注意です
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かくして始まった一週間の病院生活。とは言いましても、簡単なリハビリをしたり、依頼人さんや護衛の方達となんとな〜く会話をしていたりしただけなので、楽しいかと言われますと……う〜ん微妙ですね。
まあ病院生活にライトノベル的な面白さを求めるのはお門違いですが。あ、でも今の立場は病弱ヒロインみたいで面白いですね!
「いやはや、病院生活って楽しいですね」
「そう感じるのは観夢だけだよ。さ、そろそろ退院の時間だ」
そんなこんなで今日は退院日。時間が過ぎるのは早いものですねぇ。
病室を出た依頼人さんと私は横並びしながら病室の入口が並ぶ、それはそれは長い廊下を歩いていきます。
ここ一週間病院で治療を受けていて思ったのですが、この廊下も含めて目に映るもの全てが新鮮ですねぇ。なにせ、私には無縁だったはずの場所ですから。
「――なにやら不思議そうな顔だね。観夢」
「そんな顔してましたかね。あ、そういえばこれからも観夢呼びでお願いします」
「それは無理な相談かな、姫」
「……怒りますよ」
他愛もない談笑……長い付き合いの依頼人さんですが、こういった仕事でないお話は初めてしましたね。何か気遣ってくれているのでしょうか。
「まあまあ、僕としては君が無事……ではないけどその命を失わずに戻ってきてくれて嬉しいんだ。作戦の時言ったよね、生還するようにって……そして、観夢――」
依頼人さんは立ち止まってこちらを向きます。
「君を失いたくないって」
「チュッ……」
依頼人さんの顔が近づくと思えば、私はいつの間にか依頼人さんに唇を奪われていました。
「僕の見た目で言うなら、そうだな……えへへっ、びっくりした?」
「――ええ、しま……した、ね」
両手を後ろに組んで前屈みをし、少し私の唾液で濡れた唇をニッと左右に広げ、元気に笑う依頼人さんを見て、私は啞然とします。
今の私はどれだけ間抜けな表情をしているのでしょうか。少なくとも、そう思えるぐらいの状況が、今目の前で起こっていました。
「いやはや、驚かせてすまないね……
「……?ああ、まあ多少は驚きましたが、依頼人さんってそんな積極的な方だったんですねぇ」
「そうだね^^」
ん〜……。何だか依頼人さんの浮かべる笑みが、まるで顔に張り付いているだけのようで少し怖いですね。こんな人でしたっけ?
「おや、話しているうちにもう出口だね」
「あ、そうですね」
二重の自動ドアを抜け、陽の光の当たる所に出ると、涼し気な風と暖かな日差しが私を包み込みます。
「中央区の……確か、
「やっぱり、偏差値の高い高校や大学が近くにあるだけあって、ここはそれなりに医者がしっかりしている。最悪たらい回しになるかもしれなかったが、無事に受け入れてもらえて良かったよ」
ホッと息をつく依頼人さんを一目見た後、私は遠くを眺めます。
目線の先には雨宿り出来るようにお洒落なガラス張りの天井をつくられた、近代的な商店街風通りがあり、コンビニや飲食店などが立ち並んでいます。
さらにその先には起眞大学のキャンパスや、高くそびえる起眞タワー、数は少ないものの、いくつかの高層ビルが建っていました。
「平和、ですね」
「観夢もそう思うかい」
「あ〜……いえ、これ以上はしんみりムードになりそうなので辞めておきます」
「そうかい」
そこから少しして、私達は病院の敷地を出て、特に目的もなく中央区を歩き回ります。
「なんだか、こんな風にただのんべんだらりと時間を使うなんて事、今までありませんでした」
「それは、きっと頑張った観夢へのご褒美だろうね」
「ご褒美は男の娘依頼人さんとのデートですか。まあ、案外悪くないですね(笑)」
「案外、か」
あっ、これやばいやつですね。
「失礼しました逃げまぁす!!」
「待て観夢っ!!」
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