運命的な出会いを求める男が運命的な出会いに会ったら?
石田未来
第1話 運命的な出会い
運命的な出会い。それは誰もが心の中で求めているものであり、恋愛的なもの、友情的なもの、師弟的なもの多岐にわたっている。
有名人にはその運命的な出会いにより人生が大きく変わり華やか人生へと変わっていく者が多々存在する。
運命的な代表と言えば恋愛である。しばしば漫画や小説などでは運命的な出会いにより物語が始まりそして主人公を華やかに彩っていく。
この男も例外でない。
スーツを着てオフィスにて仕事をするこの男、
彼は運命的な恋愛の出会いにこだわっており、それに遭遇したいとずっと思っていた。
彼は決して容姿が悪いわけでもなく、人に嫌われるような性格も趣味もない。
おそらく今までの人生で女性と付き合うことの出来る瞬間はいくつもあった。
それにも関わらず彼は付き合うことなくここまで生きてきた。
その理由はただ一つ、運命的な出会いがなかったから。
バカにも思えるが彼には大事なことである。運命的な出会いこそが自分にとって必要な存在が現れる瞬間であると思っているからだ。
「じゃあ、お先に失礼します」
唯人は仕事を終わらせて退勤時間になったので帰ることにした。
「おう、おつかれさん」
「和田さんおつかれ様です」
同僚から挨拶をされて笑顔で手を振って帰る。
彼は社会人として会社員として働いている。会社も有名企業であり収入も良い方である。
彼は人生において恋愛的なことには恵まれなかったが、生活においては恵まれている人間である。
「さてと、スーパーで食材でも買って帰るか…」
右腕につけた腕時計を見てスーパーに行くことを決めた。タイムセールまでちょうどいい時間である。
オフィスからでるまで間すれ違う会社の人に挨拶をして帰っていく。
挨拶は決して欠かさない。それは祖母から教えられた「挨拶にはスランプがないから挨拶はどんな時でもやりなさい」という言葉を守っている証拠である。
祖母は唯人の人生及び人格形成に大きく関わっている人である。唯人は尊敬しており、今でもたまに会いに行く。
「今日はカレーが食いたいな」
今日無性にカレーが食いたくなった唯人は早速行きつけのスーパーに行くことにした。
オフィス街にある唯人の所属する会社はサラリーマンやOLなどの仕事人たちの往来がすごく、その道行く人の中には付き合っている男女が手を繋いで帰っている姿なども目撃する。
唯人はそんな男女を見てふと思う。彼らは運命的な出会いで付き合っているのだろうか。
そうだとしたら羨ましいことこの上ない。
唯人にはそのような運命的な出会いに出会ったことがない。女性と付き合うのなら運命的な出会いから付き合いたいと思う唯人は今まで女性と付き合ったこともない。
決してモテないわけでもないがそんな性格であるが故である。
「いいよな〜運命的な出会い…」
カップルを見る度そう思う。幸せそうにしている
男女が羨ましく思ってしまう。
そんな独り身の男の帰る背中は哀愁が感じた。
家の近くの行きつけのスーパーに来て買い物カゴを手に取った。夕飯準備の主婦やら子供連れの客やカップルなど様々な人が買い物をしていく。
最初に野菜を選んで行く。じゃがいもに人参、玉ねぎなど次々に選んでいき、買い物を進めていく。
カレールーはこだわってミックスさせるため2つのルー選ぶ。そしてカレーに入れるお肉。
今日は牛肉にしようと思って牛肉を選ぶことにした。
ちょうど店員が半額シールを貼り始めており、それを待つハイエナたちが後ろで待っていた。
唯人もまた終わるのを待っていた。店員が半額のシールを貼り終えると、やはり次々と取っていく。
なかなか商品を取れないでいる唯人は隙間がないから探すものの、その隙間はなく次々と狙って行く獲物は取られる。
ようやく一段落して人がいなくなり始めた。
そこには残り1品になっていた牛肉切り落としがあった。
「よしこれでいいや」
唯人はその残り1つになった牛肉切り落としのパックに手をつけると、その手に重なるように手が置かれた。
「え?」
「あっ。ご、ごめんなさい!」
唯人は自分の手に触れてきた手の先を見るとそこには清楚な雰囲気のある綺麗な女性が立っていた。
慌てて手を離した女性。綺麗なブロンズの髪をハーフアップにした純白のワンピースを着た女性。
一言で言うのなら清楚が歩いているようであった。
彼女の宝石のように綺麗な瞳を見た唯人は心が高鳴っていく音を感じた。
これが運命の出会いのだと、その瞬間感じたのだった。
運命的な出会いを求める男が運命的な出会いに会ったら? 石田未来 @IshidaMirai
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