第3話  ロリッロリですよロリッロリ。




とある一室に連れていかれた。


「嬢ちゃん、そこの椅子座っといてくれるか?」

「あ…はい。でも、その前に杖を返してほしいんですが」


私の杖は未だおっさんの手に握られている。

いざとなった時に身を守る為に、私には必要なものだ。


「これか?……って言われてもなぁ…。嬢ちゃんの説明が先だなぁ」


うぇぇ……。

転移早々大失敗。

でももしかしたら大量自殺のことについて分かることがあるかもしれないんだよなぁ。


情報を得るためには人と関わる必要がある。

でも無闇に関わると怪しまれる。

思ったより大変なことやってるな、私。


「そんで、嬢ちゃん。なんでこんなところにいるんだ?親御さんは?」



っすぅ………。

あれ?

あれれ?

もしや私、めちゃくちゃ幼く見られてる?


一応私16歳だし、見た目もそれ相応のはずなんだけど…。

確かに現世の人と比べると少し低いけれど、それは育った異世界の食べ物や環境があまり良くなかったってだけだから、こんな幼児みたいな扱いをされることは………。



………そういえばよ、私。



なんか全体的にでかくね?


椅子とか机とかも。


ゴミの山もでかかったな…。


おっさんも。でかいよね。



身体には違和感がなかったから気づかなかったけど、

これはもしや。


もしかしたらもしかするのかもしれない。



「あの、ここ鏡ってありますか?」

「鏡ぃ?そりゃあるにはあるけど、その前に嬢ちゃんの話をだなぁ…」

「鏡、どこですか?」

「んん…、分かった。ほらこっちだ」





鏡の前に立った。



あ、もうお察しの通りです。


ちっちゃくなってます。


それはもう誰がどう見てもロリですよ。

ロリッロリですよロリッロリ。

古今東西の異世界作品に最強ロリは多数存在するが、書庫の管理人とかいう肩書きだけでかくてクソ雑魚ナメクジなロリは私が初めてだろうね。

現世だったらギネス貰えんじゃない?無理か。


いくつぐらいだろう…。

基準にもよるけど…8〜9才ってとこ…?


駄目だ。これは駄目だ。

こんなので書庫に帰ろうもんならもれなくスロミアの弄り放題になっちゃう。


「おーい嬢ちゃん。また固まってるぞー」


いけないいけない。

このおっさんもいるんだ。

理由とか確認とかはまあ後でいいでしょ。


「それで?話を戻すが、なぜこんなところにいるんだ?」

「あぁ〜……えっと…」


なんて言えば良いんだろう。



解法1 空から降ってきて〜


うん。却下。


解法2 迷子になっちゃって〜


こんな所で迷子になるロリがいてたまるか。


解法3 お母さんを探してて〜


母親が迷子のパターン?意味不明では?


解法4 近くの公園で遊んでたらボールが中に〜


うーん。現実性がまだまだ…。


解法5 ゴリ押す


詰みじゃね?

これしかないって、詰みだよね?

でも、なーんかこのおっさんなら信じてくれそうな気がするんだよなぁ。根拠ないけど。


(『実は私は現世と異世界の本を管理する書庫から来て、その杖は私の力を使うのに必要な大切なもので、ここに来たのはただの偶然なのです!』)


やっぱ無理か?

信用度ゼロすぎて笑えてくるよ。




「よっーす。お疲れさまでーす…ってその娘、どしたんすか?」

「おう。お疲れさん。この娘なんだがなぁ、俺もさっぱり分からなくてなぁ」

「………娘さんいるのに」

「おい待てなんだその目は」

「いや…。人の趣味にあんまり口出すのも良くないとは思うんで…」

「いい年した大人をロリコン呼ばわりするな」

「いやいや別にロリコンとは言ってないですけども」



んー上司と部下って感じ?

中々良好な関係っぽいけど。


「この嬢ちゃんが区域の中を1人でふらふら歩いてたもんだからびっくりして連れてきたんだよ」

「えぇ…?そんなことあります?」


いやーどうしたもんかね。

私今すっごい要注意人物みたいな扱い受けそうです。

なにもしてないのに。


「あの…」

「あ、喋った」

「お家に帰りたいんですが…」


とりあえずここから出よう。

特にプランがあった訳でもないけれど、流石に場所が悪すぎる。

帰りたいと言えば帰らせてくれるはず……?


「うーーん。どう思う?」

「なぜここにいるかはさておき、不安ではありますよね〜…」

「そうなんだよなぁ…」


どうやら心配してくれているらしい。

おっさんに関しては最初怖さが勝っていたけれど、案外優しい人達なんだろう。


「嬢ちゃん、自分の家が何処にあるか分かるのか?」

「分かります」


嘘である。

そもそも存在しないのだから、分かる分からないどころの話ではない。


「じゃあここからの帰り方も?」

「はい、分かります」


大嘘である。

ここはどこ。私は…、、いや流石にそれは覚えてる。


「親御さんに連絡は取れるか?」

「…無理です」


真実である。

そもそもこの世界に少なくとも『私』の両親はいない。


「うーーーん…。本当に1人で帰れるんだな…?」

「……はい」

「…そうか。光弥、ちょっといいか?」

「どうしたんですか?」

「申し訳ないんだが、これから俺は別の作業が入ってるからお前がこの嬢ちゃんを出口まで送ってくれないか?」

「あー了解っす!」


思ったよりすんなり出れたみたいだ。

ぐっじょぶ私。


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異世界アンチ もんたな @montanadayo

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