異世界アンチ

もんたな

第1話  現世のクソ頭お花畑共よーく聞け


あれ。この本棚…。

1冊増えて……って。

おいおい待て待て、……まさか…!!??




【バイト三昧の俺が過労死で異世界転生!?~職業スキルで無双します~】



………無いわぁ……。

マジ無いわぁ……!!!!!!


なんなのほんとに!!!

異世界無双?いずれ最強??ハズレスキルが覚醒???


そんなの幻想だよばぁーか!!!


良いかよく聞け。クソ頭お花畑共。



そのいぃぃぃちぃぃ!!!!


「異世界に希望を求めてはなりませんわぁ。」


そのにぃぃぃぃ!!!!


「転生したからって、自分が特別だと思うとすぐに魂を持っていかれてしまうのですよぉ。」


そのさぁぁぁぁぁん!!!!!!


「異世界の能力なんてゴミだぞクソ頭お花畑共」



ふぅぅぅぅ………。

え、マジで現世の奴らなんなん?

漫画を読めば?

すーぐ異世界異世界。

ラノベ(よく分かってない)を読めば?

すーぐ異世界異世界。

アニメ(絵が動くやつ)を見れば?

すーぐ異世界異世界。


ふざけんな!!!!

良いか!?

お前らが思い描いてる『異世界』なんてねぇーんだよ!!

なんで分かるかって!!??


私が異世界に居るからだよ!!!





私が今いる場所は、異世界と現世の間に存在する、


《創宮の書庫》


この書庫には現世・異世界に存在する全ての本が置かれている。

どんなジャンルでも。

もちろん、転生したら最強なったぜ!みたいな夢見話も。

そういう作品がここ最近増えてる。

多分、もうすぐ1万タイトルぐらい行くんじゃないかって勢い。

いや増えすぎでしょ。いくらなんでも。

別に?増えることはいいと思うの。

異世界に期待しなければ。


良いかよく聞け。クソ頭お花畑共。



そのいぃぃぃぃちぃぃぃ!!!



……あ、これさっき聞いたって?

ごめんごめん。


まあ、異世界に期待する輩がいるのは仕方ないことなのかもしれない。

人間誰しも、未知の世界にはワクワクする生き物だからね。


1億歩譲ってそう思うことにした。


だ!と!し!て!も!!!


これはだめだろ。


私は机の上から現世の新聞を引っ張ってくる。

新聞も『本』として持ってきてくれる。

これは数ヶ月前のもの。

その見出しには、


『2人の高校生が自殺。異世界へのあこがれか。』


ね?やばいでしょ?

いくらなんでもこれは違うと思うのよね。

いやいやそんなの起こるわけがと思ってるそこの君。

実際にいるんだよ、世界には。

異世界こんなのに憧れてる奴らが!!


そうかそうか。

分かった!

そんなに言うなら教えてやろうじゃないか!


炎を操る力?

もちろんありますよ。

マッチの火に困らないくらいならな!!


瞬間移動の能力?

もちろんありますよ。

失敗すると臓器の位置ぐちゃぐちゃになるけどな!!


隠密スキルで最強暗殺者?

止めはしませんよ?

効く相手は犬限定だけどな!!!


探知スキル?

マイナーですねぇ?

でも半径30センチを1秒展開するだけで気を失うんだぜ!!!


雑魚スキル?

そんなん全部ですよ全部。


覚醒?

早く夢から目覚めてほしいですね。


魔力チート?

現世の人に魔力は毒物です。



ふぅぅぅぅぅぅ…………。

……疲れた。

これで伝わっただろうか。

この世界がどれだけゴミか。

科学が発展しなかったこの世界は、武力を用いて毎日戦争戦争。

領土を持つ上級貴族共に虐げられる人々は日々を生きるのに精一杯。

仮に異世界に来ても、さっき言ったように現世の魂には魔力は毒。

何もできず、いつの間にか虐げられる側になって、そして終わる。


こんな世界に来るくらいなら現世のほうが100倍マシだ。


あ〜あ。

なんで異世界転生なんて流行っちゃったんだろうね?

現世あっちからしたら面白いのかもしれないけど、異世界こっち側としては舐めてんのかてめぇって感じ?


「また愚痴ですか?」

「………口には出してないんだけど…?」

「リアウェル様のお考えなど手に取るように分かります。大方、異世界舐めんなよ果てちまえクソガキ共、と言ったところでしょうか?」

「惜しい。クソガキじゃなくてクソ頭お花畑共、ね」

「これはこれは。わたくしもまだまだですね…」

「ちなみにクソガキは私好きだよ」

「リアウェル様はご自身のこと大好きですもんねぇ」

「なんか言った?」

「いえいえ余計なことなど何も」

「……………………」

「……………………」

「……………………」

「……………………」

「…紅茶」

「…かしこまりました」



今のはスロミア。

私が書庫の管理者で、スロミアが私の補佐兼メイド。

純黒ショートで赤目の私とは真反対で、スロミアは白銀髪ロングの超絶美人。

いつもは目を閉じていて、綺麗な碧の瞳は見えないけど、なんか普通に暮らせてる。

いつだっけな?

昔1度だけスロミアの目を見たことがあるけど…。

…よく覚えてない。

覚えてないってことは、どーでも良いってことだ。うん。きっとそうに違いない。


あと、さっきまであんな話をしといてなんだお前ってなるかもだけど、

スロミアは超強い。

多分私が逆立ちして100人になっても、スロミアからしたら赤子の手よりも簡単に捻れると思う。


そもそも、私は異世界人と現世人のハーフ。

魔力の受け皿が不安定だから大した能力も使えない。誇れるのはその数だけだろうか。

まあその数も借り物なんだけどさ。


いやハーフってなにそれと思ったそこの君ぃ!!!

いい質問じゃないかぁ!!


それはそれは昔のお話。

現世で死んだ人々のいくつかが異世界に来たときに、こっちの人達と家庭を築く者もいたわけさ。

そういう人達の子孫が私達ハーフってこと。

そのまんまでしょ?



ボサッ



ん?

机の上にまた……。

あ、これ今日の新聞だ。


《自殺者が急激に増加傾向。またもや異世界転生か》


あぁぁー……。



彼らには決して届かない。

異世界はクソ。

その事実が届かない。

幻想に憑かれた人々は希望を胸に自死を選ぶ。

いや、そうだ。

異世界がクソかどうかじゃない。


ただ、その命を大切にしてほしいだけ。


現世人からみればただのエゴ。

でも、こっちの住人は日々頑張ってる。

自死の考え方をする奴なんて滅多にいない。

そんな世界に、現実に飽き飽きしたからとか、異世界なら勝ち組だとか。

そんな心意気で来るな。

もっとその価値を大切にしろ。











な〜んてシリアスな話は私好みじゃ無いんですよネ!!!!


書庫の管理とか!!

結構大変だけど!!

毎日!!

笑う!!

それが私!!!!


でーもどうにかならないもんかねぇ?

訳が分かんないし、分かんないし、分かんないし………。うん。もう何が何だか分かんねぇや。思考ホーキ。


よし!決めた!!

クソ頭お花畑共の自殺事件解明&ちょっと今の現世が気になるなぁ〜ってことで!!



「現世に行こう!!!」



「なに馬鹿なこと言ってるんですかリアウェル様?」

「うおおぉぉぁああぅうぅ?」



びっくりしたわぁ…。


「紅茶を持ってまいりました」

「あぁ…うん。ありがとう」


スロミアから紅茶を受け取り、椅子に座って飲む。

ちなみに、たまにスロミアがこの椅子がおこちゃま用と変えたりするから、その時は容赦なくキレてる。


「それで?なにゆえ現世に行こうと?」


「いやさ、異世界に行きたくて自殺するとかいう、訳わかんないことが増えてるみたいで、私としては命をそんなふうに投げ捨ててほしくないというか」

「本音は?」

「嘘ですすみませんクソ頭お花畑共のことなんて無視して遊びに行きたいですお願いしまーす!!」

「やっぱクソガキじゃないですか」


(とはいえ、リアウェル様が現世に行きたいなんて言うことは今までなかった…。やはり双世界を調律する管理者として、口には出さないが彼らを心配しているのでしょう。)


「一ヶ月です。」

「…え?」

「現世時間で一ヶ月の間なら、私が書庫の管理もしますし、リル様にバレないように誤魔化します」

「スロミアぁぁぁ!!!」


やっぱ最高。私のメイド。

頭上がらねぇっすわぁ……。



「ところでリアウェル様。現世への行き方はご存知で?」





「……………………………………」




はぇ〜…?

なにそれ知らない。


「……分かんない」

「ですよね」

「スロミアは知ってる?」

「それはもちろん」

「スロミアぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」


なんか、よくあるうちのメイドが優秀すぎる系になってる気がしなくもない。

そりゃスロミアは優秀なんだけどさ。


「あの杖、出せますか?」

「杖?うん。出せるよ」


そう言って私は地面を足で軽くノックする。


そうすればなんと!!

あ〜ら不思議!!

手元に綺麗な杖がでてきましたぁ〜!!



これ、私の力じゃなくてこの杖の力なんだよね。

今のは私の座標を教えただけで、私自身は特別なこと何もしてない…。

フッ…。悲しくなるぜ……。


「話進まないんで一旦その脳内の謎テロップ止めてもらっていいですか」


なんか呆れられてる。


「そしたらその杖で現世の本がしまわれている部屋の扉を3回叩けば現世に行けます」

「え、そんだけ?」

「はい。リル様がその杖に込めた力は相当なものなんですよ。リアウェル様が変な引き出し方しているだけで」

「それはしょうがないじゃん。お師匠と比べられても私は困る」


あ、変な引き出し方って言われてるじゃん?

それ、さっき言った犬限定とか気を失うやーつ。

あれ全部私が杖の能力引き出そうとして失敗してるやーつ。

これで分かるでしょ?

現世の人はこの世界に適合は出来ない。

よーく覚えとけ。



「そんじゃ、行ってくるね」


「書庫のことはお任せください」


「お師匠もね」


「それに関しては正直断言はできません」


「いやだなぁ…バレたら絶対怒るよあの人」


でも、一応今回は異世界への夢を見させなくするという大義名分(?)がある。

なんとか………ならないな。多分。


それじゃあ…クソ頭お花畑共を改心させて来ますかぁ…。


「それと、もし危険を感じた場合はすぐに杖の力を使ってくださいね。リアウェル様は現世でもどうせすぐ危険な目にあって後悔する気がしますので」

「いやなにその正確な予測」





































どもども。作者のもんたなです。

「異世界アンチ」第一話を読んでいただきありがとうございます!

なぜあとがきを書こうと思ったか?

この作品書いててやべーなって。

うん。謝ろう。


今作において、異世界系の作品とその作者様が不快に思われる表現があるかも知れません。というか、多分あります。ですが、勘違いしないで欲しいのは私自身異世界作品はめちゃくちゃ大好きです。

決して。そう、決して。

異世界作品とその作者様に暴言を吐いているなどということではございません。

ご理解とご協力のもと、楽しく読んでいただければと思います。





あと更新遅いだろうけど許せヨ!!!





















  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る