男、突っ走る!(専門学校篇)
壽倉雅
第31話
2014年4月。僕は、名古屋の専門学校へ入学した。入学式は、慣れないスーツとネクタイに革靴というスタイルで、早速靴擦れをしたほどだった。ネクタイも、家を出る前に父にやってもらった。
入学式から間もなく、通常の授業が始まった。高校の頃と違い、大の苦手だった体育の授業がないのが一番の救いだった。また、必須授業は、小説執筆や記事執筆、アイディアテクニック、文章表現といった文章全般の基礎と、イラストレーターやフォトショップという専門ソフトを学ぶための授業があった。シナリオを学ぶために入った専門学校だったが、よりクリエイターに必要なあらゆる知識を入れるための授業ばかり。また、学校への通学も、最寄り駅から私鉄と地下鉄を乗り継いで1時間半。高校とは全く違う大きな環境の変化に、戸惑う日々がしばらく続いていた。正直、高校の頃に戻りたいというホームシックになった時期もあったほどだ。
新入生歓迎会の時に初めて顔を合わせた同級生たち。もちろん、全員と自己紹介をしたわけではないが、その時話した学生たちの中には、通常授業日において廊下で会った際に声をかけてくれたことも。そこから、不思議とよく話すようになり始めたのは、文章やシナリオを学ぶ同じ専攻の学生ではなく、ゲームプログラマーやゲームプランナー、雑貨アクセサリー、CG映像クリエイターという、異なる専攻の学生たちだった。
帰り道が一緒になって声をかけてくれたり、中には全く面識がないのに学校の廊下で声をかけられたこともあった。また、高校と違って、話す場所が自販機と喫煙所のある屋上だったり、プリンターと椅子が置かれている廊下や、それぞれ専門のソフトの入ったパソコン教室など。明らかに、高校時代とはシチュエーションも異なっている。友人たちと過ごしていく中で、いつの間にか高校へのホームシックもなくなり、専門学校という新しい生活が楽しい日々になっていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます