魔法探索
音宮日弦
プロローグ 魔法
「魔法というものがある。それは現在、世界に13個あるといわれる現象。魔法とは魔術師が求めてやまず、そして魔術師を拒むもの。それは魔術師がどれだけ犠牲を払おうと現代の科学がどれほど消費しようと、決して実現出来るものでは無いのだ。」
By どこかの魔法使い
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朝というものがある。それはどうしても好きになれないものだ。
なぜなら、
「起きたか?」
「起きたよ。先生、気分は悪いけど。」
「それはよかったな、昨日まで最悪といってたじゃないか。」
この憂鬱な気分に毎朝苛まれる。
「朝食の時間だ。さっさと着替えて下にこい。」
そういうと白髪の初老の男は部屋を後にした。
白いシルク製の寝間着を脱ぐ。起きる時も憂鬱だが、着替える時も憂鬱だ。
前腕と上腕 右腕と左腕に赤紫色の生々しい注射の痕が無数にのっかっている。
黒いズボンに白い長袖のワイシャツをきてから部屋とも物置ともとれるような小さな部屋をあとにする。 部屋にはベッドと小さなタンス 少しの本以外
何も無い。
木造の階段をおりバスルームに入る。この家はトイレとシャワーが同じ部屋にあるのだ。
洗面器で顔を洗い鏡を見る。
鏡で顔を見る時も憂鬱だ。
自分の白くにごった右目を再確認させるからだ。
リビングに向かいパンケーキがおかれたテーブルの席に着く、メープルシロップとシナモンをたっぷりとかけてから口に含む。
少々甘味を感じた後、カップに入った熱い真っ黒なコーヒーを一気に飲み干すと少し苦く感じる。
「味覚はどうだ?」
さっき僕を起こした男が疑問を投げた。
「いつも通り、不調だよ。」
そういうともう1切れパンケーキを口に含むさっきと同じように甘味は少ししか感じられないが、作ってくれたことには感謝しているし、それは嬉しい。
さらに1切れ食べるとこの2人で住むには大きすぎる家の窓からまだ見えている左目だけで外を見る。
夏の日だった。太陽の光がやさしくあたり、外はなんとも心地よさそうだ。
ここは、カナダのアルバータ州 南西部 ロッキー山脈の麓の森林 穏やかな気候の中 この家はひっそりと佇んでいる。
僕を起こしそして朝食を作ってくれたのは僕の魔術の先生、初老でありながら185cmの身長と鍛え抜かれた筋骨隆々な身体が特徴だ。
僕をこの家に連れてきてくれたのも先生、ここに一緒に住み始めて2年になる。
僕の名前はアルカニオ。アルカニオ・パラ・ド・プラチナ 名前は適当に自分でつけた。
本当の名前があるのかは分からないがどうでもいい。
そう名前なんてもうどうでもいい。
2年前まで僕は大量の薬物を摂取していた。
医者に言われた。そのツケで僕の余命はあと一年らしい。
希望はない 夢はない 未来はない。そんなどん底な状況。
僕はただここで死を待つしかない。
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