異世界銃士 〜俺と同じ時間を生きられる者はいない〜
溶くアメンドウ
第1話 時を加速する銃
…確かクラスで1番の美少女?だとかいう姫桜さんが橋から飛び降りるのを見て、走り出して…それからどうしたんだったかな??
「…拳銃?」
モデルガンではあり得ない重量と輝き。更には昔のヨーロッパの貴族が蒐集していそうな緻密で繊細な装飾が施された代物だ。映画で筋肉モリモリのイケメン俳優が使っていたのを思い出しながら弄り回してみる。
「リボルバー…だよな?」
弾丸を入れる回転するところを押したり引いたりするが特に開くといった感じではない。どうやって開けたんだっけな?よくよく思い出す…筋肉…マッチョ…ヘンタイ…違う違う! リボルバーの方だよ。
「…あ」
リボルバーは真ん中から折れるようにして6発全てが装填されているのを俺に見せ付けた。弾丸の1つを摘み出して眺めてみる。
「見た事ない…当然か。それにしても普通弾丸ってこんなに青いんだっけか」
弾丸の先っぽは珊瑚礁に彩られた海のような綺麗な青色をしている。
「あれ? ———なんで俺冷静にリボルバーなんか弄り回してるんだ。そもそも生きて———」
突然視界に満たされる人、人、人…。皆怯えて、叫んで、逃げる様に俺の背後へと一直線に身体の全部を使って走り去っていく。外国人?ばかりで皆髪が金髪だったり目が碧かったり緑だったり、服装も日本のものと少し違うように見えた。外国のどこかか?
(相当な重傷を負ってアメリカでしか行われていない特殊な手術を受けて記憶が飛んだ…とか?)
創造力は大分豊かな方だと自他共に認めているが、流石にそれは突拍子がなさ過ぎる。
「おい、そこの黒髪のガキ!!突っ立ってねえで跪け!!! 死にてえのか?? あぁん???」
———その中年の男の背後には人間大の「炎の掌」が周囲を焦がしながら男の指示を急かすように宙を浮いていた。CG? プロジェクションマッピング? いや、肌に焼き付いてくるこの熱は本物だ。眼前の非現実が過ぎる現実に放心していると、中年の男に抱えられていたローブの人が叫んだ。
「早く逃げてッッ」
「…え? 姫桜さん???」
「なんだ、同業か。死にな」
余りに非日常的なセリフを男が吐き捨て長大な杖を振るう。それは映画や漫画の世界で見かけるような
『
「逃げてッッッ」
「あ」
巨大な掌が近づいて来る。段々と俺の肌を灼く熱さが強くなっていく。もし掴まれるような事があれば骨まで溶けてしまうかもな。…どうして俺は死ぬ直前なのにこんなに穏やかで静かな胸中でいられるんだ?? 2度目だから…なのか。そんな事より。
——ダァン。蒼白い閃光と共に世界が蒼一色に染まる。無意識の動きで、俺はリボルバーの引き金を引いていた。本当に、なんでそうしたのかもそうすれば助かると思ったのかも未だに分からない。
『時間が、——止まった?』
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