コラム:ねこまた

「ねこまた」


 猫股ねこまたまた)ともくが、漢字かんじ

 諸説しょせつあるが、年経としへた猫はれ、二股ふたまた(又)になるからともいわれる。が、それもねこまたのおんからの後付あとづけとも。


 町奉行まちぶぎょうつとめた江戸えど後期こうき知識人ちしきじん根岸ねぎし鎮衛やすもりあらわした「耳嚢みみぶくろ」には、ねこまた自身じしんかたったとされるねこ妖怪化ようかいかする過程かていがある。


「猫はだれしも10ねんきれば人語じんごはなすようになる。さらに14、15年も生きれば神通力じんつうりきる。しかし、きつねまじわってまれた猫は生まれながらにして人語を話す」抜粋ばっすい意訳いやく


 これは江戸時代じだいの猫に対する一般常識いっぱんじょうしきであったようだ。そのため人口じんこう膾炙かいしゃし、噂話うわさばなしあつめた「耳嚢」にもおさめられたとみられる。


 ながく生きた猫、それも尾がながいものがけるとしんじられていたため、生まれた時点じてんで尾をることもおこなわれていたようだ。あるいは「おやく御免ごめん」と7年ほどでてられることも行われていたようである。


 山中さんちゅうねこは、そうして妖怪化した家猫いえねこげてやまくっているものともられていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る