ねこまた

 はなし江戸時代えどじだいからあるようだ。


 ぼくまれるまえのこと。

 じいちゃんのいえではしろねこっていた。

 名前なまえはありふれたシロ。


 ある、じいちゃんが農作業のうさぎょうからかえってくると、庭先にわさきでシロがしっぽをり振りしてなにかをねらっていた。すずめのようだ。


 シロにはえさをしっかりやっていることだしと、じいちゃんはパン! と、った。


 それで雀はげたが、シロも仰天ぎょうてんがった。


 ビックリしたぁ!


 はっきり、シロはそういった。


 じっと二人ふたりつめう。


 さらば。


 シロはやまはしっていった。

 人間にんげん言葉ことばはなねこ退治たいじされるとおもったのだろうか。


「何も逃げなくてもいいのになあ」


「バツが悪かったんじゃない?」


「そうか? そうなのか。……なあ、シロ?」


 ニャアとだけ、老猫ろうびょうのシロはいた。

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