第16話 盗賊団との戦い
扉を開けた先は、城塞の廊下が広がっており、右側に2階への階段が奥に続き、左側に部屋への扉がある。
そして奥にT字路になった廊下があり、その廊下をちょうど一人の盗賊が通りがかった。
油断した様子でこちらを見ずに歩いてきた盗賊に、「ツインエレメント」と強化をかけてから、上昇した速度で素早く接近し、
「スラッシュ!」
と接近戦の基本技である強撃スキルで抜剣しながらの一撃を見舞う。
盗賊はこちらを驚いた表情で見つめたまま絶命。
剣を仕舞い、左右を確認するも、人影はなかった。
と、後ろの師匠を見ると、何やら不機嫌そうな表情で「0点です」と言わんばかりに0を指で作っている。
どういうことだろうと考え出した時には、城に入って左側にあった部屋からぞろぞろと盗賊2名が現れ、すぐ傍にいる師匠を発見。
「おいおい、なんか可愛い子いるじゃん! 誰が連れてきたんだぁ?」
「せっかくだし盗み食いしちゃいましょうぜ、兄貴!」
俺は全然その部屋に人がいる可能性を考慮できていなかったが、おそらく師匠はその気配を鋭敏に察知していたのだろう。
俺は黙って素早くカオスカッターを発射し、会話していた盗賊の一人はそのまま首が飛んだが、兄貴と呼ばれていた方の盗賊はぐるんとこちらを向くと素早く抜刀しカオスカッターを受ける。
く……流石に楽に行く相手ばかりじゃないか……!
流石にLv3の複合魔法を受けた剣はぐにゃりと折れ曲がったが、その奥の盗賊は無傷。
「しんにゅ――!」
素早く助けを求めて叫ぼうとする判断も的確だったが、横にいた相手が悪かった。
さんざん師匠と訓練した俺でも何が起こったのか捕捉できなかったほどの抜剣術で、師匠が盗賊の首を吹き飛ばす。
「残りはサルヴァがやってください」
その言葉に、俺は素早く部屋に突入すると、後ろで驚いて固まっていた盗賊1名を発見。
俺が剣を持って突入したのを見て、素早く抜剣して構えるが――
「リプレイスメント」
ふっと俺の姿がその場から消えたようにしか見えなかっただろう。
その隙に男の足元の影から浮き上がった俺は、そのまま手に持った剣で背中を袈裟斬りにする。
派手に血飛沫を上げて倒れた男の他には、その部屋には盗賊はいなかったようだ。
「ぼやぼやしてる時間はないですよ。さっさと掃除を済ませましょう」
師匠に促されるまま、俺は剣を構えたまま部屋を出て、1階部分の探索を始める。
左右に分かれた廊下の左側は、奥に大扉があり外に繋がっているようで、左側にいくつかの部屋がある。一方、T字路の右側は、左右に一つずつ大き目の扉があり、その奥に2階への階段があった。
俺はまず左側から探索を開始し、一つずつ部屋を開けていって、そこが無人である事を確かめていく。左側の部屋は誰もいなかったので、T字路に戻り右側の2部屋を覗きにいく。
最初に右側の大扉を開くと、そこは食堂のような場所だったようで、大きく開けた空間があり、いくつもテーブルが置かれている。 手前側のテーブルで、何やら賭博を行っていたらしい盗賊4名ほどがおり、扉を開けた俺を見て、素早く立ち上がり、剣を手にする。
「んだてめぇ!」
「冒険者か! 仲間がいるかもしれねぇ、すぐに連絡を……」
「――カオスカッター」
初手、カオスカッターを4つ飛ばすと、助けを呼ぼうと後ろを振り向いた盗賊は反応できずに首が落ちたが、残りの3人は剣で受け、剣がひん曲がりながらも無傷でこっちに向かってくる。
「死ねやぁ!」
上段に振り下ろされた剣を、いつか師匠がやっていたように、ふわりと剣で受け、そのままつつーっと剣先を滑らせる。
この時に特殊なオーラの使い方をしながら横に力を加えると、それで斬りかかった盗賊はバランスを崩す。素早く剣を横薙ぎにして、盗賊は血を噴き出して倒れた。
「……こいつ、つええぞ!」
逃げ出そうとした2人に対して、
「――リプレイスメント」
追いすがるように変わり身を使い、彼らの奥のテーブルが作る影から現れながら、
「――カオスカッター」
足元にカオスカッターを放つ。
一人は命中しそのまま倒れ伏すが、もう一人はジャンプして避けながら、魔法を放ってくる。
「ブレイズボール!」
それを慌てずに「ウォーター!」と魔法で受けつつ距離を取ってから、俺は改めて「リプレイスメント」と天井の隅に出来ていた影にワープして、視界外の背面上空から斬りかかる。
だがこの盗賊は戦い慣れているらしく、俺が消えたのを見た瞬間後ろに振り向き剣を構えようとしており、一瞬ひやりとするが――
「インパルス――!」
力で押し切ろうと唱えた戦技により、俺の剣を受けた敵の剣が金属音を立てて折れ、そのまま横薙ぎに斬りつけると、驚きで動きが止まっていた敵の身体は真っ二つになって地面に倒れ伏した。
「今のは60点、悪くないです。ですが今の音を聴いて上から人が降りてきています。階段前で迎え撃ちましょう」
「押忍!」
いったいどんな聴覚をしているのか、そんな敵の動きを教えてくれた師匠に感謝しつつ、俺は素早く部屋を出て、2階への階段へと走った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます