第2話

雨が激しく降りしきる夜、旧市街地区のスタジアムの廃墟の中で、MILLENNIA(ミレニア)はIRIS(アイリス)の冷酷な告白を聞いていた。彼の声は冷たく、雨音にかき消されることなく、彼女の心に深く刻まれていた。


「このスタジアムに、小型爆薬を仕掛けた。」IRISは言った。その声には感情が込められておらず、まるで事務的な報告のようだった。「爆薬は230秒以内に起爆スイッチが入る。退避しろ。」


MILLENNIAはその言葉を理解し、内心で冷たい恐怖が広がるのを感じた。彼女の思考は混乱し、状況を受け入れるのが難しかった。しかし、彼女は冷静さを取り戻そうとし、IRISに質問した。


「それで、あなたはどうするつもりなの?」彼女の声は震えていたが、心の中では必死に状況を整理しようとしていた。


IRISはその問いに答えることなく、ゆっくりと懐から十字架を取り出した。雨に濡れた十字架が微かに光り、その姿は不気味に輝いていた。IRISは何も言わず、ただ静かに十字を切った。その行動は、無言の決意と神秘的な儀式のように見えた。


MILLENNIAはその光景を見て、心の中で混乱が激しくなった。彼の無言の行動に、ただならぬ覚悟を感じ取った。しかし、まだ210秒以上の猶予があると自らに言い聞かせながら、彼女は冷静さを装った。


「まだ時間がある。まだ死ぬには早すぎる。」彼女は微笑みながら、胸の中で沸き起こる恐怖を必死に押し込めた。「一緒に逃げましょう。」


彼女はIRISを強く抱きかかえ、必死にスタジアムの出口へと走り出した。雨の中で、彼女の全身は冷たい水に浸り、雷鳴が響き渡る。彼女の心臓は激しく鼓動し、逃げるための全力を尽くしていた。


IRISは無言のまま、彼女の腕の中で静かにしていたが、その存在感は圧倒的で、彼女にとって一縷の希望となっていた。二人は闇の中を疾走し、時間との戦いが続く中で、運命の行方がどこに向かうのかは未だにわからなかった。


爆薬の起爆スイッチが刻一刻と迫る中、彼らは逃げる先に希望を求め、雨に打たれながらも必死に夜を駆け抜けていった。

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