第6話
FEBRUARYは自分の魔法力が急激に上昇していることに気づき、バスルームで魔法の調整と浄化を行っていた。
FEBRUARYは、JUNEの部屋にあるバスルームで魔法の調整と浄化を行っていた。
バスルームは、どこか神秘的で幻想的な雰囲気を持っていた。一般的なものとは異なり、まるで魔法の世界に足を踏み入れたかのような、特別な空間が広がっていた。天井には、柔らかな光を放つ魔法のランプが数個吊るされており、その光が水面に反射して揺らめいていた。壁には古代の魔法陣が彫り込まれており、わずかな魔力がそこから放たれ、空気を満たしている。
バスタブは大理石でできており、滑らかな表面が美しく、そこから湯気が立ち上っている。湯は常に温かく、魔法の力によってその温度が一定に保たれている。バスタブの周囲には、魔法の薬草や、精製された水晶の瓶が置かれており、それらは浄化とエネルギー調整を手助けするための道具だった。空気の中にはほんのりとした花の香りと、少しの薬草の香りが混じり合い、心を落ち着かせる。
バスルームの中央には、魔法の水流を作り出す小さな泉があり、その水は絶え間なく流れ続けている。泉から流れる水の音が静寂の中で響き、まるで時間が止まったかのような感覚を生んでいる。この水流は、魔法使いが魔力を調整し、浄化するために最適なエネルギー源となっており、特別な魔法を使う者には欠かせない存在だった。
床は大きな水晶のタイルで覆われており、その表面は魔法のエネルギーを吸収する性質を持っている。タイルは足元を踏むたびに、ほんのりと輝き、魔法の力を引き寄せているかのようだった。バスルームの端には、魔法の杖や呪文書、必要な道具が収められた棚があり、壁に掛けられた魔法の鏡には時折、微かな光の波が映り込む。
全体的に、ここはただのバスルームではなく、魔法使いがその力を調整し、浄化するための神聖な空間であり、流れる水とともに魔法が静かに満ちている場所だった。そのすべてが、彼女の魔法力を強化し、調和をもたらすために整えられていた。
温かい湯気が立ち込めるバスルームの中で、彼女は静かに深呼吸しながら、魔法の力を感じ取っていた。手のひらを水面にそっと触れ、魔法のエネルギーが水を通じて流れ込む感覚を味わう。水は魔法力を調整するための重要な媒介であり、彼女にとって必要不可欠なものだ。
彼女の魔法は徐々に力を増し、これまで以上に強大なものとなっていることに気づき始めていた。その変化に驚きながらも、FEBRUARYは冷静さを保つよう努力していた。魔法の力を過剰に引き出してしまえば、制御が効かなくなる危険があるからだ。水の中で、自らの魔力を調整するための儀式が始まる。
「魔法の浄化…力の均衡…」
彼女は心の中で呪文を唱え、魔法のエネルギーを意識的に流す。水は彼女の周囲を包み込み、魔法の調整がゆっくりと行われる。湯気が立ち込める中、彼女の体の隅々まで魔法のエネルギーが行き渡るのを感じる。浄化の儀式は、彼女の魔力を安定させるために必要不可欠だった。
水の中に漂うその感覚は、まるで自分がエネルギーの源に触れたかのような奇妙な心地よさを彼女にもたらしていた。しかしその静けさも束の間、突然バスルームの扉が開かれる音が響いた。
FEBRUARYは一瞬、魔法の流れが乱れるのを感じ、急いで魔法を遮断しようとした。しかしその時にはすでに遅く、魔法のエネルギーがそのまま空気中に広がり、わずかな混乱を生み出していた。彼女は驚きと焦りの中で、どうにかそのエネルギーを整えようとする。
FEBRUARY(心の中で)「まずい…これは危険だ…」
目の前に現れたJUNEの姿に一瞬驚き、慌てて魔法の詠唱を試みる。水の力を使い、JUNEの意識に干渉しようとするが、バスルームの湿気と魔法のエネルギーの混乱が影響し、魔法の発動は予想外に困難を極めた。
JUNEが驚いた顔でFEBRUARYを見つめながら、そのまま近づいてきた。
JUNE「FEBRUARY、君ここにいたの?」
FEBRUARYは心の中で焦りながらも、再度魔法の力を振り絞り、JUNEの記憶を封印する魔法をかけようとした。しかし、その途中で、もう一度魔法が暴走しそうになる。魔法の力が強すぎて、調整がうまくいかない。彼女の体は微妙に震え、魔法のエネルギーが体内を駆け巡る感覚が続く。
JUNEは不安げな表情を浮かべるが、それでもFEBRUARYの様子を気にかけることはなく、何事もなかったかのように話しかけてきた。
JUNE「FEBRUARY、君の顔色が悪いよ。もしかして体調が悪いの?」
FEBRUARYはその言葉にさらに焦り、魔法が成功したのかどうか確信を持てないまま、最後の手段として記憶封印の魔法を全力でかけようとした。しかし、その魔法の力を扱うために必要な水の流れが不安定で、どこかでひとつ間違えば、魔法が暴走してしまうかもしれないという緊張感が彼女の体を覆っていた。
FEBRUARY「今は…すぐに出て行ってもらわないと!」
JUNEは軽く驚きながらも、いずれにしてもFEBRUARYが求めるならばという理由で、すぐに部屋を出ることにした。
JUNE「分かった。君がそう言うなら、すぐに出るよ。」
バスルームのドアが静かに閉じると、FEBRUARYはひと息つき、魔法の調整を再開する。浄化の儀式を続けながら、魔法のエネルギーを自分の体内に集め、今一度そのバランスを取る。水の力を使って、魔法の力を均等に保つことが、彼女にとって最も重要なことだった。すぐにバスルームは静寂を取り戻し、FEBRUARYは再び魔法の調整に没頭する。
その後、ようやく心が落ち着き、魔法の流れが整ったことを確認したFEBRUARYは、再び自分を取り戻したように感じた。しかし、JUNEにかけた魔法がどうなったのか、まだ不安が残ったままで、その夜はさらに多くの問題を考えさせられることとなった。
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