ハルとお父さんの白い息

@d_kokucho

ハルとお父さんの白い息

ある雪深い村に、ハルという元気な少年が住んでいました。ハルは冒険心が強く、毎日が新しい発見でいっぱいでした。冬のある寒い日、ハルはお父さんと一緒に暖かい家の中で朝食をとっていました。外は雪が降り積もり、窓からは白銀の世界が広がっていました。

朝食を済ませたハルとお父さんは、防寒着を身につけて外へ出かけました。外の空気は刺すような冷たさで、ハルがお父さんを見ると息が白く霧のようになっていました。

「お父さん、どうして口から煙出してるの?」ハルが好奇心いっぱいに尋ねます。

お父さんは優しく微笑みながら、ハルに説明しました。「これは煙じゃないんだよ。寒い日には、私たちの暖かい息が空気に触れて小さな水の粒に変わるんだ。それが集まって白く見えるんだよ。」

ハルは少し残念そうにうなずきました。「えー、お父さんは魔法使いじゃないの?」

お父さんはハルの頭をなでながら、さらに話を続けました。「魔法使いじゃないけど、寒いときにはだれでも魔法を使えるんだよ。」そう言って、お父さんは深く息を吸い込み、ハルの手をとって、ゆっくりと白い息を吐きかけました。すると、ハルの手がぽかぽかと温かくなりました。「ほら、手が温かくなるだろ?」

ハルは目を輝かせて、「ぼくもやってみたい!」と言いました。

お父さんは「おまえも白い息がでてるじゃないか。」とハルにもやってみるように促しました。

ハルはお父さんの真似をして、ゆっくりと息を吐きました。すると、ハルの手も温かくなりました。「わあ、魔法だ!」

お父さんは笑いながら、ハルを抱きしめました。「そうだね、ちょっとだけ便利だろ。」

その日から、ハルは寒い日が来るのを楽しみにするようになりました。白い息を吐いて、手を温める魔法を使うたびに、お父さんとの特別な時間を思い出すのでした。


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