第30話 ベッドでの会話
「私さ、こう言っちゃなんだけど、桂吾のことは もう終わったことだと思ってるからさ。
それと、桂吾も、もう私にこだわっては いないと思うんだよね」
ベッドで横になって、柚希は言った。
「だから、三崎さんの話、断っちゃおうって思ったんだけど」
「あぁ、行くって俺が言ったから。
ゆきが、須藤さんのこと、なんとも思ってないのは 俺もわかってるよ。
ゆきが言うように、須藤さんも、もうなんとも思ってないのかもしれないよね。
それは、そうかもなんだけど、三崎さんの想いを大事にしたいって思っちゃったんだ」
「三崎さんの想い?」
「5年間ゆきのことを探していたのは、須藤さんの為であり、自分の為なのかな?って。
須藤さんのことが好きで、それは自分でも気づいてないのかもしれないけど。
好きな人がずっと、忘れられないでいる人のことを知りたかったってのと、ハッキリと終わりにしてほしいって気持ちなんじゃないのかな?って」
「ハッキリと終わりにするって、会ったら終わりになるの?」
「それは、わかんないけど……
三崎さんがそれで気が済むのなら、須藤さんに会いに行ってみた方がいいのかな?って思った」
「気が済むのなら……か。
とおるは、優しいね。
そうゆうところだな。うん、理解しました」
と、柚希は笑った。
理解しました、って なに?
明日の日曜日、俺も休みだから、午前に道場へ行って、松井田先輩に子どもたちを預かってもらって、六本木のルピアーノ本社ビルに行くことにした。
ちょうど明日は、衣装の打ち合わせで、午後 Realのメンバーが本社に来ることになっているのだと。
三崎さんの名刺には、ルピアーノの衣装部と書かれていた。
Realの担当なのだと。
須藤桂吾
気にして見ている訳じゃなくても、テレビでよく見かける。
Realとしての活動にとどまらず、アイドルグループに楽曲提供したとか、ファッションブランドとのコラボ商品が発売されるとか、カメラが趣味のkeigoがツアー中に写真を撮る為に立ち寄った場所が聖地のように紹介されていたり。
表紙を飾った雑誌が重版になったとか。
なにかと、話題に事欠かない。
40過ぎても、かっこよさは衰え知らずだ。
ってか、矢沢弘人も超イケメンだし、なんか、柚希の元カレって、レベルが高くないか?
最終的にダンナこれ?って、感じだよな。
須藤桂吾に会うのは、俺も6年ぶりになるのか。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます