もう一人の私
グイ・ネクスト
第1話 影とはそもそも何か?
影。太陽の光によってできる物理的な影。
そんな影でも。時には、そう、何かの瞬間。
恐怖を感じることだってあるかもしれない。
影が伸びてくる。影に食べられる。
まあ、そんな事は実際には無いわけだけど。
心は・・・伸びてくると、感じたり。食べられると感じたりするかもしれない。
そう。心。心にとって影は決して遠い存在では無く、身近な存在なのだ。
それでも影を意識して生活している人なんてボクは少なくとも
自分を除いては・・・見た事が無い。
影を意識して「心理学」として研究している学者の本や、作家さん。
そういう部類の人は知識として存在し、尊敬し、影と仲良くするために学ばせてもらった。
影との出遭いは、ボクにとってはストレスの様な物であり、触れてはいけない。
遠ざける。話してもいけない。そう感じていた。
だが、いざ手を取り合って、話し合って、一緒に歩いてみれば・・・。
これほど素晴らしいパートナーは他に存在しない。人生における、一番優しい道。
幸せの青い鳥は遠くにいるのではなく、
ちゃんと最初から「我が心の内」にいたのだ。
本当に「人生における、いちばん優しい道」。それが目の前に現れる。
それがストレスだと思っていた影と一緒に生きる道。
それだけ聞くと・・・影とは何とも素晴らしい物と思ってしまう。
だがやはり、安易に近づいてはいけない。
影。それはもう一人のあなたでもあるわけだ。そう、もう一人のボクでもあるわけだ。
影はもう一人の自分。もう一人の私。
現実逃避から主導権を渡すと・・・精神分裂を引き起こす。
ビリーミリガンと二十三の棺という作品が示すように、それはそれは悲惨な事になる。まあ、現実逃避をし続けていたいならそれでもいいが。
せっかく生まれて来たのだから。
人生の主導権はあなたであり、自分でありたい。
私自身でありたい。
多重人格は正確には「病気」では無く、「ごく自然な人間としての状態」である。
これは本当に信じられない事だが。
逃避では無く、現実と向き合うために「人格」を人間は創造できるのだ。
創造のプロセスは影との協力が必須になってくる。
やはり、影に近づく必要が迫られる。
しかし、それでも影と最初に感じる物に安易に近づくのは、とても危険であり、生きるか、死ぬかの瀬戸際を彷徨う事になる可能性だってある。
最悪、出遭った瞬間、人生は終了する人もいる。
影はドッペルゲンガー(鏡の魔神)と呼ばれたり、サタン、悪魔そのものとして語られる事が多い。
実際、影に人生の主導権を譲ってしまったために、自らの正義のために多くの殺人、犯罪にあっさりと手を染めてしまう事も少なくない。
何故なら影が欲求してくる、最初の衝動は「暴力であり、破壊であり、他人の絶望」を望む。
だからこそ。正しい近づき方をしなくてはならない。
影と対話する方法を宗教でもいいし、ヨガ、WHOが勧めるマインドフルネスなどで対話するのが良い。
マインドフルネスを実践した事がある人なら、それは対話では無いと分かってもらえるとは思う。そう、決して対話などはできたり、しない。
何度も言うが、最初の衝動は「暴力であり、破壊であり、他人の絶望」なのだ。
それゆえに電車に乗れないと、相談された知人を知っている。
街を歩く他人、電車ですれ違う他人、そのどの他人にも殺意を感じると、知人は話していた。どうすればいいのか、分からない。と、叫んでいた。
そう言うわけで、自分。ボクの場合の瞑想を記録として残す。
二十歳の頃の瞑想。心がモヤモヤしていた。
大いなる何か、大自然、宇宙を本体として信仰していたボクは大自然(山の頂上)からボクと言う存在を眺める。
すると、目の前のテレビを壊したい。目に映る物を壊したい。・・・その衝動を静かに見つめる。ただ静かに見つめる。
父親、母親、祖母・・・に認めてもらいたい。長男としてじゃなく、ボクと言う存在を認めてもらいたい。
ホントにただ認めてもらいたい。
それをまた静かに見つめる。
抱きしめてもらいたい。寂しさが湧き上がる。
それも見つめる。心、心臓の部分が暖かくなる。大自然から見ているボクの体の胸
胸の辺りに白い輝きを見る。
これが、本体。ボクの本体。
よくよく見ていくと、白い輝きに当たり一面囲まれている。包まれている。
抱きしめられている。
ますます心臓部分が暖かくなる。
以上で記録としての瞑想は終わりとする。
ただ 静かに見つめる。
それは肯定も否定もしない。
湧き上がったモノを認めて行くだけ。
ただただ、静かに見つめる。
それだけなんだ。
話は変わって、瞑想を続ける事で、影とは何なのか、少しずつ理解できていく。
恐ろしい衝動もあれば、幼い思いもある。
心にはいろんな思考、思いが湧き上がる。
それを静かに見つめる。それは影からの叫びであり、
もう一人の私からのメッセージそのものなんだ。
そうやって、隠された自分。
私。
そう、私の本音みたいなものが見えてくる。
私は本当は何をしたいのか。
私は本当は何者なのか。
大きくもなく、小さくもなく
ありのままの私が見えてくる。
私は二十歳の頃。父と母と祖母に認めてもらいたかった子どもだった。
そして認めてもらえず、頑張りが無駄に終わり、逆に迷惑をかけてしまい
それを環境のせいにして世界を呪うことしかできなかった私。
私は私を許して、認めてやればよかっただけだった。
背伸びしなくても。
何かを為さなくても。
ただ生きているだけで。
存在しているだけで。
それだけでいい。
私は私という存在を存在する事を許してやればよかった。
認めてやればよかった。
世界を呪う事しかできなかった私を。影を
今なら一緒に歩こうと誘える。
分かるよ。愛してる。
だって、お前もボクなんだから。
まとめ:影は危険な存在。しかし、瞑想を実践することで、影の正体が形が理解できていき、友達、パートナーになる事ができる。
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