心のかけら

紙の妖精さん

第1話

仁奈が通う高校は小中高大学とつながっており、広いキャンパスを持つ。朝の登校時、学生たちが通り過ぎる賑やかな校門前は慌ただしさの中にあった。


仁奈は校門をくぐりながら、胸に抱えたカバンを軽く叩いた。毎日のように見慣れた風景の中、今日は少しだけ特別な気持ちでいっぱいだった。新学期が始まると、さまざまな変化がある。彼女は、その変化の一つとして、新しいクラスメイトとの出会いを楽しみにしていた。


知子が校門を通り過ぎた。その横顔は何か落ち着いた空気を漂わせ、優雅な歩き方が印象的だった。知子は、今日が初めてこの学校に来る日であり、ちょっとした緊張感を抱えていた。彼女は、どこかで見たことがあるような気がしたが、どこだったか思い出せない。


仁奈はクラスに向かう途中で知子の楚楚としている姿形とその奥に潜む透明な無垢の静謐さに、温かい感情が芽生える自分を感じた。そして彼女の持っている特別な雰囲気に引かれるように、自然と歩み寄った。


仁奈「こんにちは、あなたは新しい生徒さんですか?」


知子は驚いた表情を浮かべ、少し戸惑いながらも笑顔で答えた。


知子 「はい、初めまして。知子です。今日は転校生としてこちらに来ました。」


仁奈 「ああ、そうなんですね。私は仁奈です。もし何か困ったことがあったら、何でも聞いてください。」


知子 「ありがとうございます。仁奈さん、ここでの生活に慣れるのは大変かもしれませんが、よろしくお願いします。」


二人は歩きながら簡単な自己紹介を続けた。仁奈は知子がこの学校にどうして転校してきたのか、興味津々で聞きたかったが、知子はその理由については詳しく話そうとはしなかった。


仁奈 「それで、知子さんはどんな科目が得意なんですか?」


知子 「音楽と体育が得意です。でも、今回は学業がメインになります。」


仁奈 「それは素晴らしいですね! 音楽や体育も大学に進んだときには役立つかもしれませんよ。」


会話を交わしながら、二人の距離が少しずつ縮まっていった。仁奈は、知子がどんな人なのかを知りたくてたまらなかったし、知子は仁奈の親しみやすさにほっとした。


その日、昼休みには二人は一緒に昼食を取ることに決めた。学校生活の始まりとして、これが新しい友情の始まりになることを、二人はどこかで感じていた。

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