第37話 それじゃあ!! LETS!! バンジー!!

「あの〜本当に俺……乗らなきゃいけないすかね?」


 俺はそう前に並んでいる月野さんと中川さんのお二人さんに聞いた。


「当たり前じゃーん!! 山田くんもどうせなら楽しもう!!」


「あはは……そうだね笑……」

 なんてこった……


 はっ! そういえば正孝のやつはどこ行った!?

 そう思い、俺は後ろを見る、すると俺の後ろに橘さんに連れてこられてた正孝がいた。


「勘弁してくれぇーー!!」

 そう、正孝が俺と全く同じセリフを吐いて、そう言う。隣には逃げらないようにがっちり橘さんに腕を掴まれている。


 なんというか……ドンマイ……


 すると、正孝が俺の腕を掴み、女子たち三人に、問いかける。


「なぁ! このウォータスライダー最大二人乗りだろ!! 俺と海人で乗ろうと思うんだが! いいよな!!」


 そう、言った。

 

「ん? あー! うん、いいよいいよ!」


 そう月野さんが了承した。


 すると、正親は俺の肩をがっちりつかみ俺の耳元で


「おい……逃げるぞ! 海人!!」


 そう小声で俺に言って来た。

 

「は? どうやって! 逃げるって……」


 俺は正孝に聞き返した。

 すると、正孝が鼻を指でかいて


「それは、あれだ! トイレとか何だか理由をつけて逃げればいいだろ!!」


「確かに! お前頭いいな!!」


「ふん、ようやく気づいたか!!」


 そう言って二人でニヤニヤする。

 そして、正孝が切り込む。


「あ! あのな三人とも俺たち実は今トイレ行きテェーんだ!! だからさ、ちょっと抜けていい?」


 そう正孝が三人に言うと、月野さんがウォータースライダーの頂上指さして……


「ええー! トイレならこのウォータースライダーの頂上付近にもあるじゃん!」


 そう言った。


「え? あはは笑、そんなのないって元々ないの!」


 そう、正孝は、そう言って、笑っているが顔からめちゃくちゃ冷や汗が流れている。


 てか、それよりもなんで、ウォータスライダーにトイレがある!!

 

 ……てか、どうする、これはやばいぞ……

 俺は正孝に目でアイコンタクトをとる。


 すると正孝は突如俺たちから距離を置いて……


「あーー!! そう言えば俺チェロス食べたくなってきたなー!! ちょくら行ってくるわ!」


 そう言って、ウォータスライダーの列から抜けて、歩き出した


 ……は? おいおい! ちょと待て!


「あ〜! 俺もちょっとお腹空いたからチャクラ行ってくるよ!! はは笑」


 そう言って俺は平然を装って後に続こうとする。

 すると、月野さんと中川さんに腕を掴まれて、


「えへへ、山田くん……山田くんはどこにも行っちゃダメだよ」


「そうだよ! 楽しもう! ウォータースライダー!」


 そう、月野さんと中川さんに言われた。

 

「正孝〜〜〜!!!」


 俺は正孝に歩いて行く彼に向けて手を伸ばして、そう叫んだが、正孝は後ろに振り返ってグッチョブして


「海人よ……男にはな……時には覚悟を決めなきゃいけない時もある……」


 そう言って、かっこよくこの場から去った。

 俺はそれを聞いた途端、とても笑顔をなびかせ


 うん……あとであいつ……しばこう!!


 そう心に誓った。


 それからというもの、俺たちは着々に列を進んで行った。


「緊張してるの?」


 俺がおそるおそる歩いていると……月野さん心配そうにがそう聞いて来た。


「まぁ……こういうの初めてだから……」


 もちろん嘘だけど……本当はすっごく怖いから緊張してるんだけど……


「きっと、大丈夫だよ!! きっと楽しいよ」


 そう言って月野さんは最高の笑顔を馴染ませた。


「おっ……おすっ……」


 そして、俺たちはウォータフライダーの入り口、頂上付近に到着する。


「さてさて、滑るペアどうしようっか?」

 

「俺はその……一人で滑るよ……何というか……色々まずいので……」


 そう、月野さんが俺たちに聞いて来たので、俺はすかさずそう答える。


 てか、俺ほんとに滑るの!?  

 いっそのこと、正孝にしがみついてでも一緒に逃げればよかった……

 やっぱり今からでも逃げられないかな……


 すると、ほかのお客さんの悲鳴が聞こえてきて、俺は唾を飲む。

 これは……何というかやばいぞ……ほんとにやばすぎる……


「ええー! 今、田中くんどっか行っちゃったから四人だし! 二対二で滑れば万事急すじゃん!!」


 そう、月野さんが提案して来たが、俺は首を横に振る。

 だって二人で滑るってことはその……女の子とガッチリ体を密着するってことじゃん……

 それってさ……なんか恋人みたいじゃん……


「じゃあ! 私と滑ろうか! 山田くん!」


 そう、中川さんが俺に言ってくる。

 ちょっと俺の話、聞いてました? 中川さん……


「うん! じゃあ! アタシと雫が滑るってことで!」


「うんうん!! 了解了解!!」


 ……ちょっと待て、橘さん、月野さん……勝手に話を進めないで欲しい……

 てか、俺はまだ滑るとは言っていない……いや、これまじで……


 俺が色々思考を巡らせていると、俺たちはウォータスライダーの頂上に到着した。

 そこには、丸い土管のような入り口に係員の人が、長細い浮き輪を置いて、その浮き輪に二人揃って座って、滑っていく……そんな光景が広がっていた。

 ひやー! まじでやばそう……


「さあ、行こっか!! 山田くん! ほら!」


 まじで……行くのか……

 中川さんは俺に手を伸ばし、俺は中川さんの手を取る。


 そして、最初月野さんと橘さんが土管の入り口にある、長い浮き輪に乗って、滑って行った。


「キャーーーーーー!!!」


「あははーー!!!!!!」


 そう彼女たちの叫び声が聞こえてくる。

 勢いやばいって……ほんとにやばいって……まじでやばいって……

 俺はそれを聞いて、また唾を飲む。


「次のお客様!! どうぞーー!!」


 すると、係員のお方が俺たちを案内する。


「じゃあ! 私が前に乗るね!」


 そう言って、中川さんが長い浮き輪の先頭になる。

 おいおいって事は……俺が後ろから……中川さんの体に手を回すのか……


 俺はそれを知って、一気に顔が真っ赤になった。

 俺は恐る恐る長い浮き輪の中川さんの後ろに座った。


「失礼します…………」


 俺はそう言って、少しだけ中川さんにくっついて、ほんの少しだけ……腰に手を回す。

 やばい俺……今、中川さんの体に密着してる……

 なんかいい匂いするしやばい……俺と体が密着しているドキドキと、ウォータースライダーに対するドキドキの二つが合わさってよくわからない感覚になってるよ……


 俺は、内心ドキドキしっぱなしだった……


「ねぇ…山田くん!! もうちょっとくっついてくれないと危ないよ!!」


「えっ……そう言われもうしても!」


 彼女はもっとこっちに近づいてと言って来た。

 俺は内心、勘弁してと思った。


 すると、俺がウジウジしていると……彼女は俺の両手を掴んで、自分の腰に思いっきりくっつけた。

 俺はそれに引っ張られて、中川さんと体ごと思いっきり密着する。


 これは……まじか!?


「それじゃ! 準備できました!!」


「では!! 楽しんで!! 行ってらっしゃい!」


 そう、中川さんが係員の人に伝えて、係員の人が言う。

 すると、中川さんが前に体重をかけて、勢いよく滑り始めようとする。

 今から逃げようとしたら逃げられるかな……

 すると、その瞬間彼女は大きな声で!!


「それじゃあ!! LETS!! バンジーー!! イェーイ!!」


 いやいや、これはバンジージャンプじゃないよ!! 中川さん!!

 てか、やめてバンジージャンプなんて言うの、余計に怖さが倍増する……怖いって……怖いって


 俺はそう彼女に言おうとするが、時すでに遅し、俺たちは思いっきり土管の中を滑って行った。


「バンジーー!!」


 俺はあまりのウォータースライダーの速さに思わずそう叫んでしまった。

 やばいからまじでやばい……


「あははーー楽しい!!!」

 

 ウォータースライダーを滑り始めている時……

 彼女はめちゃくちゃ笑いながらそう言った。


 俺はまじで流れが速すぎて中川さんに目を瞑りながら思いっきりしがみついていた。

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