第21話 私の気持ち……
私は今、同級生のお家に半ば居候という形で住んでいる。
私は私の世界からこの世界にやって来たいわば、別の世界の住人だ。
今、私は彼の家で彼を待ちつつテレビを見たり、掃除をしたりして過ごしてる。
やはり、この世界のテレビは、とても面白い。
「たのしいな……」
そう私が口走った。
どうやら私は彼、山田海人くんとの暮らしが、この世界が楽しいと思っているらしい……
私と彼の出会いは今週の月曜日に遡る。
私は最初、突如いきなりこの世界にやって来て、私は困惑した。
この世界には私の知り合いも誰もいない、私は不安に駆られた。
学校でも、授業どころではなかった。
そして、学校が終わり、夜になって、私は帰る家がなく、道を彷徨い歩いていた。
これからどうしよう……その時はそれだけが頭の中に浮かんだ。
そんな時だ、一人こっちに歩いてくる、私が転校してきたことになっている学校の制服を着ている人が歩いて来ているのが見えた。
そしてその人の顔をじーと見た……
その人の顔が電柱の光に照らされて見えた瞬間その人の顔は私のお友達の岡村くんにそっくりだった。
私はなにを思ったかその人に……
「今日私の事……泊めてくんない?」
などと、言ってしまった。
その時の私はこの世界に来た動揺で、誰かに助けてほしい、その一心だった。
そう、私が声をかけた張本人こそ、同じクラスで……
私のこの世界で最も親しい友人、山田海人くんだった。
彼はこんな私をこんな所に置いておかない、そういう理由で、家に招き入れてくれた。
彼の家にお邪魔した時、玄関の先に私のポスターがあった時は流石に恥ずかしかったし、驚いた……
彼の部屋には私含め、私の世界の人たちが写ってるポスターが飾られたりしていた。
そこには、私立金森学園物語の文字が……
私たちの世界は、この世界に私立金森学園物語って呼ばれてるの?
たまたま……私に似ている人がいて……と思ったけど……私の通ってた学校は私立金森学園だし……
何といっても名前が中川鈴音と一緒だった。
私はこの世界に私の世界が私立金森学園物語と呼ばれているのだと、瞬時に理解した。
そして……
もしかして……彼になら……
そう思い、私は打ち明ける。
「……私、別の
彼はとても驚き、困惑していた。でも最終的に信じてくれて、元の世界に帰れるように協力までしてくれるって言った。
この世界に来て、彼と暮らし始めて、
私は新しい体験と驚きの連続だった。
学校では……山田くん以外の友達が出来た。名前は月野雫ちゃん、まだこの世界に来て一週間だけど……彼女とはとても仲良くなったと思う。
彼は学校の穴場や、昨日行った外食など、まだ私がわからないこの世界に色々連れ出してくれた。
彼と初めて会った日、多分、彼は私がハンバーグが好きだから、ハンバーグの出前を取ってくれたのだと思う。
夜に食べたあのデミグラスハンバーグの味が今だに口に染み付いてる。
この世界の料理はとても美味しかった。
夜……誰がどこで寝るか問題のときも……
彼は優しいから……私にベットで寝るように促してきた。
私はそれでは、山田くんが困ると思い、自分がソファで寝ることを言っても、彼は聞き入れてもらえなかった。
だから、私は二人で同じベットで寝よう、そう提案した。
私は彼の支障になることはしたくなかったから。
彼はひどく動揺していた。
だから、私は彼に安心してもらうため
「私!全然平気だから!そういうの!」
などと、全然平気じゃないのにそう言った。
私だって内心ドキドキしていた。
だって、男の人と同じベットで寝ることは初めてだったから…………
だけど……ベットで彼の横で横になった時……なぜだかわからないけど……自然と安心した。
私はこの世界に来てから、ショッピングモールのスーパーの不思議お菓子など、私はこの世界のものに驚かされた。
それから、彼は家に住まわせてくれるだけでなく、洋服なども私に買ってくれた。
私はなにか、かれにお返し出来ないかと、お弁当やご飯を作ることを提案した。
彼はいつも私のお弁当やお料理を褒めてくれる。私はいつも褒められてとても嬉しかった。
そして、彼はサプライズまでしてくれた。私はお菓子を見てるだけで満足だったけど……心の中では……
食べてみたい、そう思っている自分もいた。
彼はカバンからお菓子を取り出して、「サプライズ」そう言って、私にお菓子をくれた。
その時、食べたお菓子は、美味しかった。
その時、貰ったお菓子は、まだ二つ、食べてなくて、ここにある。
何だか、サプライズ!!そう言われたのが嬉しくてなかなか食べられなかった。
どくん、どくん
何だろう、この感触と、この気持ち……
私は今まで感じたことのない気持ちを味わった。
とても胸が熱くて、でも何だか優しい感じのする、言葉では説明することができない……そんな気持ちに……
それは、昨日外食に行った時、彼と一緒にハンバーグを食べている時……彼のとても優しい笑顔を見た時……
とても胸があったかくなった。
私の初めての感触…………
私はそれに動揺した。
けれど反対になんだか、優しい感じがした。
この優しく、甘酸っぱい感触は今は説明ができない。
「ふっ〜このテレビ番組面白かったな、ってあれ! もう夕方なの? 山田くん遅いな……」
「よーし! 今日は思いっきり美味しいお料理作って山田くんをびっくりさせちゃうぞっ!」
そう言って私は立ち上がり、キッチンへ向かう。
そして、食材を取り出してこう思う。
……山田くん……喜んでくれるといいな……
私は笑顔でそう思い、山田くんが喜んでくれるように山田くんの帰りを待ちつつ、お料理を開始する。
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