第6話 やっぱりこの世界の食べ物はすごく美味しいね!!

「あ、山田くんラーメン頼んだんだ!」


 俺の横に座った月野さんが俺が頼んだラーメンを見てそう言う。


「うん、俺ラーメン好きなんだ……」


「そうなんだー! わたしもラーメン好きー!」


 俺がそういうと、月野さんが嬉しそうにそう言った。

 ちなみに現在、テーブルを挟んで俺の隣に月野さんが、正孝の隣に中川さんが座る形になっている。

 正孝は俺の目から見ても明らかに緊張していた。それはそうだ……横にあんな美少女がいるんだから……

 まあ、そんなことはさておき、中川さんがちゃんと食堂で料理を頼むことができてよかった……

 俺は中川さんの前に置いてあるオムライスの料理を見て俺はそう思った。ちなみに俺の横にいる月野さんはきつねうどんを頼んでいた。


 すると中川さんがスプーンでオムライスを一口分すくって口の中に入れた。


「……う!? んんんん〜〜!!」


 オムライスを食べたと思われる中川さんは食レポをしているかのようなそんなとても幸せそうな顔をした。

 

「鈴音! とても幸せそうに食べるね! そんなに美味しかった?」


「うん!! このオムライスすっごく美味しい!! やっぱりこの世界の食べ物はすごく美味しいね!!」


「この世界……?」


 中川さんが嬉しそうにそう答えると、それを聞いた月野さんがきょとんとしてそう呟いた。

 俺はそれを聞いて気が気じゃなかった。


「あはは! 中川さん面白いこと言うね……」


 俺は焦りつつ中川さんのフォローをするため、そう言った。

 中川さんのことはできるだけ俺がフォローできるようにしないと……


「ねえ、そうでしょ! 山田くん! やっぱり中川さん面白いでしょ!!」


 俺がそう言うと横でうどんを食べている月野さんがなんだか楽しそうにそう言った。


「そうだね、とっても、あはは……」


 俺は月野さんの言葉に賛同しながらも素直に笑うことができなかった。


 それから俺たちはご飯を食べ終わり、食べ終わった食器を食堂のトレー返却台に返した。

 すると、ちょうど俺の横にいた一人の女子生徒にいきなり話しかけられる。


「……あら? 山田くん……山田くんよね?」


「……先輩?」    


「違うでしょ! ここでは、先輩じゃなく! 生徒会長と言いなさい〜」


 そう、俺に話しかけて来た女子生徒は……俺と同じバイトで働いてる一個上の先輩で、この学校の生徒会長である。橋本愛佳だった……

 てか、先輩でも生徒会長でも呼び名は別にどっちでもよくないですかね……


「……せん……生徒会長も、食堂でお昼を?」


 俺はびっくりしつつ、そう聞いた。


「……そうよ〜あたしはいつもお昼はいつも食堂を使っているわ〜」


「……そんなんですか……」


 ……まあ、俺はいつも食堂を使わないからな……こうやって学校で、バイト以外で先輩と会うのは何だか新鮮だな……


「そういえば……山田くんは何食べたの?」


「……え? 俺、ラーメンを……」


「へぇ〜奇遇ね〜あたしもラーメンなのよ〜!」


「そうなんですか!」


 へぇ〜先輩もラーメンが頼んだのか〜


「あっ! そうだ〜山田くん、ここであったが八番目! あなた、生徒会に入らない?」


 ……急だな……ってか、なんだ、その八番目とかいうのは……てか、俺今生徒会勧誘されましたか?

 そういえばこの先輩生徒会長だったな……先輩に生徒会に勧誘されるのはこれが初めてではない前にバイトでも勧誘されたことがある……その時はきっぱり断ったが、この人はまだ俺を生徒会に入れることを諦めていないのか……


「急ですね……ですが、早速の誘いですが……お断りします……」


 俺は……自分は生徒会に入るような玉じゃないのと、あと……単純にめんどくさい……


「ええー、残念だなー、山田くんなら生徒会にぴったりだと思うんだけどなーそれに、山田くんが生徒会に入るなら無条件で次期生徒会長はあなたにしてあげるわよ!」


「いやいや、あなたにそんな権限ないでしょ……」


「あら? 生徒会の権限舐めないでもらえるかしら……」


 先輩はそう言って髪をいじりはじめた。

 え? 生徒会ってそんな権限あるの? じゃあ例えば夏休みを2ヶ月間にするとか……期末テストだけにして中間テスト廃止とかそんなこともできちゃったりして……もしそうなら俺もちょっと生徒会に興味が出てきたな……


「ちょっと、山田くん大丈夫?」


 すると俺と生徒会長である、

 橋本先輩が話している所に心配そうな顔をした月野さんがやって来た。


「うん……大丈夫……ちょっと知り合いの先輩と話してだけだよ……」


「……知り合いの先輩って、せ、生徒会長!? 」


 彼女は、俺と生徒会長が知り合いだということにえらく驚いているようだった。

 まあ、当然と言えば当然だな……これが正孝だったとして、正孝の立場が俺だとしたら俺だって大層驚くと思うもん! うん! 絶対に……


「……あら、あなた、もしかして……エミーさんかしら?」


「……っ! はい!!」


 彼女は大きな声でそう返事をした。

 …てか、なぜ橋本先輩が、月野さんを知ってるのかわからないけど……

 ん? てか、エミーってなんだ?


「……あの、生徒会長、私の事……ご存じなんですか?」


 彼女は、驚きを隠せない表情で言った。生徒会長って生徒のこと把握してそうで、してなさそうで、してるいるからな……


「ええ! 私たちの学年でも話題になってたわよ……去年の文化祭……美女と獣人のヒロインエミー役の子が可愛いって!」


「そんなっ! 可愛いだなんて……えへへ」


 橋本先輩にそう言われ、彼女は体をフラフラさせながら照れる。

 エミーって去年の文化祭の月野さんのクラスがやった演目のあれか……ちなみに俺たちの学校の文化祭には各クラスに一つ劇をやることになっている。俺は去年、梨太郎の背景役……石役として出た。石役はその場でずーと座ってなきゃいけなかったからまあ、普通にきついっちゃきつかった……


 それに……先輩が言った通り、やはり月野さんは可愛いのだ……だが、なぜそんな彼女が俺に接して来てくれるのかは、ますますわからなくなった気がした……


「どうしたの? 二人とも?」


「海人お前誰と話……せい!? 生徒会長!?」


 すると、俺の元に中川さんととんでもなく驚いた様子の正孝がやって来た。

 まあ、それは驚くのも無理はないな……


「あら? 山田くんの友達?」


 生徒会長が不思議そうにふとこちらにやってきた中川さんの顔を見る。


「あら!? 山田くん!! あんな可愛い子! この学校にいたかしら!?」


 生徒会長は中川さんの顔を見るなりテンションが上がって興奮し始める。

 生徒会長って可愛い子見つけると以上にテンション上がるからな……


「生徒会長……この子は昨日転校してきた人なんです……中川鈴音って言って……」 

 

「うん! 知ってるわ!」


 は? 今、知らなそうな顔してたよな……あんた……おっと、先輩だった……


「あら? そんな顔しないでよ〜もう! 山田くん! あたし厳密には思い出しただから……」


「思い出した?」


「ええ! そういえば昨日とても可愛い子が転校してきたってワタシたちの学年でも騒ぎになってね! 今山田くんの話聞いてそういえばって思ったのよ! でも、名前は知らなかったから! 教えてくれてありがとう!」


 なんだ……そういうことなのか……

 てか、生徒会長が俺に感謝するなんて珍しい……


「あら? そういえばもうこんな時間ね……アタシもう行くわ……」


「はい……ありがとうございました」


 生徒会長はスマホの時計を見てそう言って食堂を後にして行った、俺は生徒会長になんとなく感謝して月野さんは会釈をしていた。あと、その場にいた中川さんと正孝はなんだか知らないけどポカンとしていた。


「おい!? お前生徒会長他お知り合いとかどういうことなんだよ!?」 


「確かに……ワタシびっくりしちゃったよ!!」


 正孝が俺の肩をガッチリ掴んで俺にそう問いかけてくる。それに続いて月野さんもそう呟く。


「それは……生徒会長は俺と同じバイトの人で成り行きで話すようになったと言うか……」


「山田くんって意外とすごいんだね……」


「お前があの星が煌めく高嶺の花とそんな関係だったとは……」


 月野さんが目を輝かさて俺に言ってくる。てか、生徒会長そんな異名ついてんの?

 確かに生徒会長と関わった人からはそう見えるかもしれないけど俺からすればとっても好きなポテトチップスバーベキュー味の袋を開けたら中はすっからかんで何も入ってなかった……って感じに生徒会長は見えるぞ……ちょっと例えが意味不明だが……

 

 それから俺たち四人は歩いてゆっくり教室へと歩いて行った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る