第6話
プールのスタート台に立つ理科は、深い呼吸を繰り返しながら、心の中で集中力を高めていた。周囲の観客や仲間たちのざわめきが、彼女の耳にはぼんやりとしか聞こえない。全ての意識は水面に向けられ、目の前の競技に集中していた。
スタートの合図が鳴ると、理科は一瞬の躊躇もなくスタート台から飛び込み、冷たい水の中に体を滑り込ませた。水の感触が全身を包み込み、彼女はすぐにリズムを取り戻す。心臓の鼓動とともに、彼女の体はスムーズに、しかし力強く水を切っていく。
観客席では、古琴と数名の部員たちが緊張した面持ちでプールを見守っていた。古琴の表情は真剣そのもので、手にしたスポーツウォッチに目を落としながら、理科の泳ぐ姿を追い続けていた。
古琴(心の中で)
「理科さん、頑張れ…!君の努力を信じてるから。」
理科は全身を使って泳ぎながらも、冷静さを保ち、これまでの練習で培った技術を活かしていた。肩の筋肉を使い、手を水にしっかりと引き込む感覚を意識しながら、彼女は一泳ぎ一泳ぎを大切にしていた。
ゴールが見えてくると、理科の視界に数人の競技者たちが近づいてくる。彼女は最後の力を振り絞り、フィニッシュラインに向かって全速力で泳ぎ続ける。水しぶきが立ち上り、プールサイドでの歓声が高まる中、理科はゴールにタッチした。
プールサイドに上がった理科は、息を切らしながらも自分の結果に期待を寄せていた。古琴が駆け寄り、すぐに彼女を励ました。
古琴
「お疲れ様!良く頑張ったね。タイムがどうであれ、君の努力は確かに実を結んでいるよ。」
理科は微笑みながら息を整え、古琴の言葉に感謝の気持ちを込めて頷いた。
理科
「ありがとう、古琴さん。頑張れたのは、あなたの応援のおかげです。」
理科はプールの端に立ち、仲間たちと喜びを分かち合っていた。
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