第6話


 私たちは、リビングのソファで今までとは違い互い隣同士で座っていた。和斗は今までと違うことに戸惑いながらも、私が指したところに座る。

 主従関係とはいえ、この距離が適しているのかは和斗にとって疑問だろうが、私は友人としてそして大切なパートナーとしてあることを和斗に伝える。


「和斗、私はねあなたが覚えているかは分からないけど、最初の出会いの時にこう思ったの、神様が貴方と出会わせてくれたのたと、そしてこんなつまらない世界に色をつけてくれる存在になるとそう思った。」

「え?それって……」

「だけどそれは、私に取ってはただの神から与えられた退屈を凌ぐためのモノとして捉えていたから、恋愛感情なんて存在しなかった。そして私や私に雇われて鍛えてくれていた。人達を使って貴方との関係を構築して言った。」


 そういって、一息つきながら告げる。


「要するに、貴方との関係もただのお遊びのような関係として傍に置いておいたというわけなのよ。」

「なんだよそれ?僕の人生を牧菜が操作していたって言うのか?」


 私の言葉に対して、声色からして和斗は怒っているのかそれとも呆れているのか私には分からない。顔を見ているのにモヤがかかったように私の主人格としての前世の俺が閉ざしているのかもしくは見なくないものを目にして拒絶し和斗の表情が分からないのか。


 私はそれでも淡々と告げる。


「ええ、貴方と学校や学園に通うために、ひたすら努力をさせて、貴方を鍛えていずれ来るだろう。彼女たちを宛てがうように仕向けたのは私よ。最も、あの元気いっぱいの千晶は想定していたものとは違うのだけどね。」

「…………」

「驚いた?それとも私のことを軽蔑した?いずれにしてもろくなことでは無いと自覚はしているし、人を操作するように仕向けるのはこの世界だとタブーに近いわよね……」


 そうして一言...二言、和斗に私の想いを口ずさむ。こんなことを言われたところでやった年月やそう言った行いをして来たのは私なのだ。それが例え転生して得た機会だったとしても、それが本当に偶然や必然だったとしても、許されることでは無いと私は改めて思った。


 どんな事を和斗にされても許されるのか分からないことなのは確かだ。だけど、それに対して和斗は


「確かに、牧菜は妙にゲームをしているかのような育成訓練内容をしてたから、僕を何故なんだろうとは思ったことはあったけど、そうだったんだね。それに僕のことを考えているのは分かってもそれは恋愛に対して出ないのは、この8年近くいたから分かってたよ。」

「………………」

「だけど、なんで今になってこんなことを言ったのかは何となくわかるよ?みんなの事でそう思ったんでしょ?」

「そ、それは……」


 私は、図星を付かれて少し拒むような顔になる。それに和斗は


「牧菜の言葉を借りるなら、今の話で言えば宙に浮いているような言葉だったんだよね?それがやっと皆との付き合いで地面に降り立ったような感じと言えば、何となく僕も納得がいくんだけど、どうかな?」

「――――うん、そうだね。全く私といるからそんな事も言えるようになるのよ。でも私と同じ考えが言えることには嬉しくはなるわ。――だけどね。」


 私はそう言って決意したように私は和斗を見て告げる。


「私は、貴方をパートナーとしては見るけど結婚対象としては見ずに今仲のいい彼女達を宛てがって生きていく。だから私に恋愛感情を求めても無駄なのをここに告げるわ。だから私を振り回さないでね。」


 私はそう言って、和斗を拒絶するように突き放す。単なる婚約関係されど底には見えない壁があるかのように突きつけりのだった。



      †  †  †



 〈side和斗〉


 目の前のそしていつもと同じ位置ではなく隣に座り、真剣な表情で自分のことや最近仲良くなった彼女たちの事を告げる牧菜は何処か今まででは間の抜けた話だと思えるようなことを話し始める。


 今までのこと、そして僕をシミレーションゲームの駒のように扱っていたことを告げられる。それは到底知りたくも無い言葉だった事は言うまでもない。


 確かに扱いは使用人と言うよりも育成ゲームのような扱いで決められた訓練を拒まずにやってきた。それは一重に彼女、早乙女牧菜さおとめまきなの為だ。企業を保つ為に決められた間柄で、僕もこんな凄いこと生涯ともにするなんて夢でも見ているのかと思えた。


 だけど、そこに恋愛感情はなくただのパートナー関係、そしてあの時に告げられた。意味へと繋がる牧菜の「少しはいいなと思える女の子達と接するのもいいと思うわ。」という言葉

 それは私は恋愛感情を持たずに生涯を共にするけど、貴方の想い人を見つけて囲ってもいいと言うある種の寛容とも取れる突き放すような言葉、それを聞いて僕は自分が許せなかった。


 今まで傍に居たのにそれを考えずにノウノウとあるがままを受け入れていた事に、苛立ちを抑えられなかった。彼女は恐らくだが、ただ僕の事を幸せにすることに全力を注いで今まで、お嬢様として厳しく皆から恐れられるように振る舞い、僕に選択肢を与えるようにことはを紡いできたのだと、今更ながら気付く。


 そして最後に突き放すように牧菜は、改めてと言える言葉を僕に伝える。


「私は、貴方をパートナーとしては見るけど恋愛対象としては見ずに今仲のいい彼女達を宛てがって生きていく。だから私に恋愛感情を求めても無駄なのをここに告げるわ。だから私を振り回さないでね。」


 その言葉を言う牧菜は何処かあの宙に浮いて何処かに向かうような危機感を抱かせる雰囲気を見えて僕は――――


「―――僕は、それでも諦めない。必ず僕に振り向かせて見せるよ。牧菜が何度突き放してもいずれは一緒になるのなら、僕にもまだまだチャンスがあるからね。だから覚悟しててよ。」


 僕はそう告げて牧菜を見つめる。そうしたと牧菜が


「―――ふふ、やれるものならやってみなさい後悔しても知らないわよ。」


 そう言って、いつものようなもう地面に付いていない牧菜がそう応える。それを見て僕は、必ず君を引き摺り降ろして上げると心の中で決意するのだった。

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