第15話 バッカスの町

バッカスの町の中は水路が張り巡らされていてそこに澄んだ水が流れていた。


町人も多く賑わいを見せている。

まだ誰もシルスラたちに気付いていないようだ。



「お前の親御さんはどこにいるんだ?」


ガルーダがそう言うと前に冷や汗を流し駆けずり回っている中年の男が見えた。



そして男はガルーダの姿に気付いた。それと同時にすごい勢いでこちらに駆けてきた。



「フレッドー!!」


中年の男は叫ぶ。

フレッドとはこの少年の名前だろう。



「大丈夫か。怪我はないか?」


男はフレッドを抱きかかえ体に傷などがないか見ている。そして視線をシルスラたち三人に向ける。



「よくものこのこと戻って来れたな。薄汚い魔物共め。衛兵!」


男の口から出たのは決して感謝の言葉ではなかった。


町の兵士が十人ほど男の叫び声ですぐに駆けつけた。



「ち、違うんです。僕たちは他のモンスターに襲われていたその子を町に送り届けに来たんです」


シルスラは誤解を解こうとする。



「ふん。聞く耳持たんわ。貴様らのようなゴミクズの言うことなんて嘘ばかりだろ。おい、こいつらを牢屋へぶち込んでおけ!」


口髭をたっぷり蓄えたその男は衛兵に命令する。


するとフレッドがシルスラたちの前に立ち衛兵たちの方を向き手を広げる。

そして首を横に振った。

彼らは悪者ではないと必死に訴えているようだ。


しかし言葉を発せない彼の訴えは届かなかった。


「どうした。この魔物共に何か吹き込まれたのか。でももう大丈夫だ。お父さんがしっかりとこいつらを処分してやるからな。おい、捕らえろ」


その声とともにあっという間に縄で縛られてしまった。



「ほらな。人間なんて信用するべきじゃねえんだよ」


ガルーダはやっぱりなという口調でそう言った。


しかし結果は何をしても変わらない。

三人は町外れにある牢獄へと入れられてしまった。

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