経験値いっぱい持ってるスライムだけどそろそろ辛い
ぺんた
第1話 苦労
「あ、シルバースライムだ。よし、みんなあいつを総攻撃だ!」
髪を逆立てた恐ろしい形相をした男が仲間に命令を出した。
シルバースライムは他のモンスターよりも経験値がとても高いことで有名なスライムだ。
シルバースライムは男たちに見つかった瞬間一目散に逃げ出した。しばらくは男たちに追いかけられたがなんとか振り切ることができた。
「チッ。獲物がせっかく出たのによ。次見つけたら絶対倒してやるからな!」
リーダー格の男が捨て台詞のように言った。
「はあ、もうどっちが悪者かわからないよ。僕は何もしてないのに」
シルバースライムは独り言を呟いた。
「よお、シルスラじゃねえか!」
シルスラとはこのシルバースライムの愛称だ。
シルスラが声のした方を振り向くとワシのようなタカのような姿をしたモンスターが羽ばたいていた。
「あ、ガルーダさん」
鳥のモンスターはガルーダという。
「また人間に殺されかけたのか?」
ガルーダが言う。
「そうなんです。あいつら楽して強くなろうとして僕ばっかり狙われるんです。ほんと酷いですよ。この前なんか毒針で急所狙われてほんとに危なかったんですから」
シルスラは泣きそうになりながら言った。
「ハハハ、でもお前は逃げるのが早いから大丈夫だろ?」
涙目のシルスラとは対照的にガルーダは笑っていた。
「そうでもないんです。最近は僕が逃げようとすると足が速くなる薬とかを飲んで追いかけて来る奴らとかもいるんですよ。それで仲間たちがどんどんやられていってるのを見てきました」
シルスラは答えた。
「ふーん。なら魔王様に翼をつけてもらえるように頼んでみろよ。そしたら俺みたいに飛んで逃げられるぜ」
ガルーダは提案した。
「そんなことできたら最高ですね。でも僕なんかのお願い聞いてくれますかね?
シルスラはガルーダに聞く。
「まあ、その辺は分かんねえけどよ。でもこのままびくびくしてるよりは良いんじゃないか?」
ガルーダが言う。
「たしかにそうですよね。僕、魔王様にお願いしてみます」
シルスラは納得して言った。
「よし、じゃあ俺が魔王城まで連れてってやるよ。明日の昼、またここで待ち合わせようぜ。それまで死ぬんじゃないぞ?」
そう言ってガルーダとシルスラは明日に備えるため別れた。
そしてシルスラは人間に会わないように注意しながら寝床へと帰っていった。
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