ひきこもり主婦の読書ノート
楠 悠未
長くつしたのピッピ/リンドグレーン 大塚勇三訳
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「あしながおじさん」にヒントを得て、作者リンドグレーンの小さい娘が、「ねえ,長くつ下のピッピって女の子のお話を作って」と母に頼んだ。そこで生れたのがこの世界一つよい少女の物語だった。自由ほんぽうに生きるピッピに、子どもは自分の夢の理想像を発見し、大人は愛さずにはいられない野育ちの永遠な少女を見出す。
(岩波少年文庫公式サイトより)
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ピッピはごたごた荘と名付けた家で、お猿のニルソン氏と馬と一緒に暮らしています。ごたごた荘に両親はいません。お母さんはピッピが生まれてすぐに亡くなり、船乗りのお父さんは嵐の日に海にのまれて消えてしまったのです。しかし、ピッピはお父さんが亡くなったとは少しも考えていません。ピッピは、お父さんはいつか帰ってくると信じて待ちながら、自由に生活していました。そんなピッピは、お友達になったトミーとアンニカにいろいろな面白い遊びを教えたり、大人たちを振り回したりと町を賑わせます。
私がこの物語を子どものときに読んだなら、さぞ夢中になったに違いありません。だって、ピッピののびのびとした暮らしぶりは、幼き日の憧れそのものだったからです。
まず一人で暮らすというのも、現実はさておき、子どもにとっては夢のようなことですよね。
それからショウガ入りクッキーを作るとき。ピッピは、なんと床の上で生地を伸ばします。
“ショウガ入りクッキーを、すくなくも五百つくろうなんてときは、ふつうののばし板なんて、てんで役に立ちゃしない”──p30より
実際にこんなことしたら絶対にお母さんに叱られちゃいますし、大人目線で読んだら「そんなところでやめてー!」と悲鳴ものです。笑
でも、床の上に広々と生地を伸ばし、腹ばいになって型抜きをするピッピはとても楽しそう。
他にも、掃除ブラシを足にくくりつけてスケートを滑るように床掃除をしたり、いじめっ子や警察をひょいひょい投げ飛ばせるくらいの力持ちだったり。
私が特に好きだったのは、ピッピとトミー、アンニカが木にのぼってコーヒーを飲む場面です。年齢だけはいい大人の私ですが、こういうのに憧れちゃうんですよね。現実は「ひゃー! 怖い!!」と落ち着いてコーヒーなんて飲めたものではないかもしれませんが(高所恐怖症)。
木の中が空洞であることを発見し、その中に入って遊ぶシーンもとってもワクワクしました。
良いとか悪いとか関係なく、やりたいからやる、という姿勢がピッピを素敵に見せるのかもしれません。その奔放な振る舞いは、読者の「やってみたい」や「いいな」と思っていたことを見事に叶えてくれます。
大人になってから読む児童文学も、童心に帰ることができたり、その純粋さに元気をもらえたりして、いいものですね。
“晴れた きれいな 夏の日に
わたしは 野山を こえていく
やりたいことなら なんでもしてみる
わたしがあるけば キュウキュウ
チャプチャプ!”
──p129
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