最恐魔王の従者
@feinerl
第1話 魔王に拾われた日
僕は今日学校の屋上から落ちて死ぬ。
理由は簡単クラスの人間たちによるいじめだ。
そんな程度で命を捨てるなんて勿体無いって?
そうかもな。
他人から見ればそうなのかもしれない。
或いはしばらく時間が経ってしまえば俺自身も
気にならない些細な問題なのかもしれない。
でも、今を生きる僕にとってはそれが苦痛で
仕方がないんだ。
だから僕は今日この屋上で死ぬ。
履き物を全て脱いだ足で屋上に立つと、
コンクリートが夏の太陽に熱せられていて
ジリジリと熱が伝わってきた。
その痛みが僕がまだ生きていることを強調して
いるようで気分が悪かった。
僕は足裏に確かな熱を感じながら端まで行き、
屋上の柵をよじ登った。
「はぁ。」
死のう、
僕は手で握っていた柵を手放して宙に身を放り投げた。手に食い込んでいた柵の感覚が
じんわりと広がるように消えていった。
初めての投身自殺は不格好であった
かもしれないが僕に大きな開放感を与えた。
だが、その開放感を堪能する間もなく僕の体は
地面に直撃した。
背骨に電流が走ったような痛みを感じると
同時に「カヒュッ」という掠れた声が出た。
....痛い..一周回って痛みで冷静になれて
しまうほどに。
冷静になると僕をいじめていた奴らの
嘲笑う顔が浮かんだ。
最後に思い浮かぶのがあいつらだなんて嫌だ。
でも、あいつらは僕が死んだらどんな
リアクションをするだろうか。
焦るのか?それとも悲しむのか?
いや、あいつらは僕が死んだと聞いたら
笑うだろう。ついに逃げ出したのだと。
悔しい。僕はなにもしていないのに奴らに人間として扱われず酷い目にあった。
なのに、あいつらは僕が死んだことも気にせずのうのうと生きていくんだ。
クソッ。
死にたくない。
死ぬ方が楽だと散々思っていたのに実際に
死が近づくと死にたくない。
くそッ死にたくない。
「....にたくない...死に...たく..ない...」
でも..あんな
「俺のこと...を人間とも..思わないような奴らと
同じ...生き物でいたくない....!!!」
なぜかその言葉ははっきりと口に出して
言いたかった。
今まで一度も言い返せなかった分最期くらいは
言葉に出してみたかったのかもしれない。
いや、というよりはなぜかこの言葉は口に
出すべきだと感じたのだ。
「そう、じゃあ悪魔になってみる?」
俺の前に突如現れた綺麗な白髪の天使のような美しさを携えた女性が俺に怪しげな笑みを
浮かべてそう言った。
俺の悪魔としての生はこの日から始まった。
最恐魔王の従者 @feinerl
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