6 金朱への応援コメント
油と火というモチーフが作品の底をしっかり支えているのが素晴らしいと思います。
また、銀杏の色味と臭気が特に後半オーバーラップすることで、冬へ至るまでの時期がもつ寂寥感が、終盤の出来事の悲劇性を高めていると思います。
佳作だとは思うのですが、10000字だとちょっとサイズが足りないような気がしています。どのモチーフもエピソードもきちんと役割を果たしているから削れないし……。
私だったら「水(湯)」をより重要な位置に格上げして水-油-火-水……という円環構造の中編にするかも、と書きつつ、それだと語り手が兄を永遠に失い続けるな……と頭を抱えました。とりとめない感想ですみません。
作者からの返信
コメントありがとうございます。
そうなんです、1万文字にぎゅうぎゅう詰めにしたんです……。
カクヨムコンでは1万文字でOKなのですが、基本的に中途半端な文字数でして……
どこか公募に出せるかなぁ→文字数(原稿用紙換算枚数)で無理かーorz
と、いつもなります(泣)
水-油-火-水、なるほど、興味深いです。
そうかぁ、みなさまそういうことを考えるのかぁ……すごいっ。
兄を永遠に失い続けるというのは確かにそうですが……
うーん、うーん……(何も思い付かない)
でもそういったアイディアをいただけるとすごく助かります。
きちんと脳内にしまって、改めていろいろ考えてみたいと思います。
お褒めのお言葉もいただけて本当にうれしいです。
とても励みになりました。
ありがとうございました!
6 金朱への応援コメント
どうもです。
自主企画に参加いただき、ありがとうございました。
高度経済成長期の作品とは、なかなかに珍しく、興味深く読ませていただきました。
貧しいながらも懸命に生きる姿に感銘を受けました。
その中から生じた歪みというのもまた切ない。
歴史の中にあるこうした無名の人々にもまた、積み上げた歴史の中にある事を再認識いたしました。
興味深いストーリーをありがとうございました。
作者からの返信
コメントありがとうございます。
おっしゃるとおり兄妹の仲が歪んでいく様を描いたのですが、これも本当にそのとおりで、歴史に名を残さない人々も生きていて、その社会の流れの中に確かに存在したのだということを伝えたくて本作を書きました。
汲み取っていただけてうれしいです。
とても励みになりました。
こちらこそ、ありがとうございました!
編集済
6 金朱への応援コメント
祐里さん、こんばんは。
祐里さんが一番気に入っているお話……。これは読まねば! と足を運びましたが……、これは凄い。まるで映画を観ているようでした。
四話でお兄さんが丁寧に塗ってくれたハンドクリーム。浸透し保護されていたのは、手だけじゃなくて関係性だったり心だったり……。絆、だったのでしょうか……。
嵐の中を突き進む兄と、家の中で嵐が去るのを待つ妹。どちらが正しくて、どちらが間違っていたのか。噛み合わない兄妹の心がとても歯痒くて、そして、切ない……。
気になって銀杏を少々検索したのですが、『イチョウの木には雌雄があり、メスの木には実が付くが、オスの木には実は付かないんですね。 どちらにも花は咲くが、実が付くのはメスの木だけ』と知恵袋にあり、胸が引き絞られるようでした。
心が揺り動くお話、誠にありがとうございましたm(__)m
作者からの返信
槙野さん、こんばんは。
ようこそ「糾正の燐寸」へいらっしゃいました。
映画みたいと言われてとてもとてもうれしいです。
いろんなところでいつも言っていることなのですが、基本は脳内で起こした妄想の映像を文章にしているので。
ハンドクリーム、そうですよね、おっしゃるとおりです。
兄も知美をかわいがってはいたんですよね。
子供の頃から一緒にいる妹だし、家事をしてくれてありがとうという気持ちもあったでしょう。
絶対に兄妹の温かい絆はあったと思います。
ただ、兄は時代の急流に飲まれて知美の手を離してしまった。
私は手を離されたほうの感情を書きたかったんです。
そうそう、イチョウは植物にしては珍しくオスとメスに分かれてるんですよね。
検索までしてくださって、ありがとうございます!
実は横浜の慶應義塾大学日吉キャンパス内の道がモデルなのです。
イチョウがたくさん植えられていて、銀杏がなるんですよー。
(私は卒業生ではありませんがw)
槙野さんのお心を揺り動かすことができてうれしいです。
本当に励みになりました。
こちらこそ、ありがとうございました。
6 金朱への応援コメント
コメント失礼致します。
貧しいながらも幸せに生きる兄妹、そんな二人の中に生まれた大きな歪み。
個人的な解釈ですが、限られた「今」を噛み締める主人公に対して、兄は「未来」を望んでいたのだと思いました。例えそれが妹の望むところではなくとも、ある種の独善を孕もうとも、自分の理想と主人公の為に。
主人公は「女性の人」、兄は「女」と言っているのも印象的でした。発言の中に溶け込んだ無意識的な差別意識も、二人のすれ違い、そして悲しい結末を招いたのだと思います。
解釈違いでしたらごめんなさい🙇
改めて自主企画へのご参加、ありがとうございました。
作者からの返信
コメントありがとうございます。
おっしゃるとおり、知美は「今」、兄は「未来」を考えていました。
また、知美は「女性」「女の人」、兄は「女」と言っています。
気付いてくださってありがとうございます。
当時はおそらくこういう言い方が一般的だったと思います。
(さすがの私も生まれてはいませんでしたがw)
私はどんな解釈をされてもいいんです。
ただ、ポイントを突いて解釈してくださったことがとてもうれしいです。
戦後の混乱を乗り越え、復興も進んでいて……という状況では仕方ないことですが、物価が上がるごとに国民の不満が少しずつ溜まっていっていたようです。
安保闘争の一端なので一概に「これ」という原因を挙げることはできないのですが、そんな中、未来を夢見る若者、未来に悪夢を見る若者が多かったそうで。
ただ、女性の身としてはそんなことは望んでいない、これまでに教育されたことで生きていくつもりだった、そういう女性がほとんどだったんじゃないかなと。
たまにテレビなどでも安保闘争でこんなことがあった、こんな事件を起こした人物は現在こうしている、などとドキュメンタリーで流れたりしますが、その家族についてはあまり触れられないので、こうして物語にしてみました。
丁寧に読んでくださったのがわかって本当にうれしく思うし、励みになります。
ありがとうございました。
6 金朱への応援コメント
最初、ビールをくすねたのかな、と思ってから、ビール瓶をかわかす件で、え、と。そのあとの火炎瓶を作り家を出るまでの文章に、これまでの丁寧な描写が結びつき、おお、と感嘆の溜息が出ました。
投げなくて、よかったんだろうな。と、思いました。
面白かった、というのは少々場違いなのはわかってますが、面白かったです。
作者からの返信
くすねたのは空き瓶ですね。
このラストのために、1話目で兄ちゃんがビール瓶を片付けるという描写を書きました。
丁寧な描写、おもしろかったとのお言葉、とてもうれしいです。
投げなくてよかった、というのは本当にそうだと私も思います。
知美を犯罪者にしたくなくて、こうなりました。
活動家の家族の話ってあまり表に出てこないので、きっとこういうこともあったんじゃないかな……と思って1万文字に詰め込んだんです。
コメントたくさん書いてくださってありがたいです。
本当にありがとうございました。
6 金朱への応援コメント
田舎の人が大学に進まないのは、費用の面の他に、こういうこともあるのかと思ったりもしました。
世間のうねりは都市部で起こり、山村にはどこ吹く風。
時代の波に乗り学生闘争へと発展していったあの時代、今だに何が起こっていたのか私は計りかねています。
義憤、と考えればしっくり来るのかもしれませんが、その実やっていたのは他者の意見に寛容になれない人間たちの差別的衝動から来る暴力の連鎖だったのではないかとも思います。ちょうど、今起こっている民族対立、宗教対立のような。
大学へ行き、学のある人間がこぞってその流れに乗っていったというのが、なんとも愚かしく感じてしまいます。
真実を知ってじっとしていられなかった、と言えば聞こえはよくなるかもしれませんが、狭いコミュニティでの同調圧力と集団心理の暴走ともとれるものです。
いつも思うのは、優しさと闘争心は両立するのだな、ということ。
お湯を作りハンドクリームを塗る優しき兄と、集団のなかで活動に身を投じようとしていた兄。
どちらも同じ、兄。あるいはその優しさ故に、槍玉に挙げられることになってしまったのか。
当時の人間の話を聞いても、目的がなんなのか見えてこない部分があるのです。結局のところ思春期を引き摺った未分化の衝動のぶつけ何処が無かっただけのような気もするのです。
彼女の日々の営みは、日陰であったかもしれませんが決して恥じるものでもなかったはず。
女であることの苦しさ、不運さは、私の母でさえも口にしていました。女に生まれたせいで、こんな生き方しかできなかった。
でも、活動家になろうとは思わなかったのでしょう。
時代の狭間、変革の萌芽の時代の、悲しい物語だと思います。そんな時代を経て、なお、今この世間だとするならば……それはあまりにも悲しい人の世だと思わざるを得ませんでした。
胸に刺さる物語でした。ありがとうございました✨
作者からの返信
コメントありがとうございます。
失礼ですがこちらでまとめて返信させていただきます。
衣紋掛けは古い言葉です!
危うく「ハンガー」と書きそうになって、直しました!
大学生になって、制服を着なくなって開放感みたいなのもあったと思うんですよね。
高校生もこういう活動をしてはいたようなんですが、それほど多くはなかったようです。
兄ちゃんは優しさが仇になったというか、多くの人のために!と、まっすぐに考えてしまって……義憤です、まさに。
誰かを傷付ける、殺すなんて犯罪なのに、犯罪とも思えなくなるくらい視界が狭くなっていたのかもしれません。
いわゆる正しい意味での確信犯ということでしょう。
兄ちゃんは巻き込まれてしまいました。
女性にも人権を!社会への進出を!
戦後やっと女性も選挙権が認められてからの話ですが、女性にも権利を与えよう!と息巻く人々と、じゃあこれまで女性がやっていたことはどうなるの?誰がやるの?という疑問が出る時代だったと思います。
実際、学生運動に身を投じた女性も差別を受けていたようです。
女性だからという理由で。
冷蔵庫や洗濯機は普及していたようですが、それでも家事には時間を割かなければいけなかったんじゃないかなと。
それに、帰宅して脱いだコートを何も考えず自然に妹に渡す兄です。
そういう行為がもう身についている。
妹はそれでよかった。
なのに、知らない誰かに影響されて「女性も社会に」なんて言い出したわけです。
そりゃ戸惑いますよね。
改善されつつはあるのでしょうが、現代日本にも通じる問題かなと思います。
お時間を割いて感想を書いてくださったことに感謝します。
ありがとうございました。
編集済
6 金朱への応援コメント
こんばんは。
怒り、ですね。今の時代ならば絶縁して独りで暮らしていくという道もあったのでしょうけれど、この時代は女性が独りで暮らしていけるほどの懐の深さもなく…もちろんいつの時代にもそれなりの生きにくさはあったのでしょうけれど、どうすればよかったのかなあ…究極「生きてさえいれば」ということになるのでしょうか…
お兄さんも純粋な怒りで自分を支えていますが、少し経験すれば正義とか悪とかないことが分かるんですよね…生きること自体が戦いなのに…
「花は、咲う。」に通じる祐里様のテーマ、確かに感じることが出来ました。ありがとうございました。
作者からの返信
はい、おっしゃるとおりで、1969年という時代にはおそらく今とは違う寛容さはあったと思うのですが、女性についてはその範囲が狭かったかもしれないですね。
「生きてさえいれば」と知美は思うだろうけど、周りがそうは思わない、あそこの子かわいそうねと囁かれる、みたいな。
兄ちゃんは、優しくて生真面目な長男として書きました。
まっすぐすぎる感じです。
なので、利用された感ありありでして。
詳しくは書いていませんが、1万文字制限なければ三人称で兄ちゃんサイドも書いていたかもしれません。
(そのために福沢諭吉先生のところへ取材に行っていたかもw)
色々お考えになってコメントを書いてくださったのがわかって、とてもうれしいです。
こちらこそ、ありがとうございました。
6 金朱への応援コメント
何の気なしにつけたテレビから始まったドラマに見入ってしまうように、お話の中に引きずり込まれました。
2人の慎ましい日々。すれ違っていく兄妹の考え方。そしてお兄さんの悲しい結末。その後の主人公の生活。
ああ、私もこんな風に上手にお話が書けたらな、と思わずため息が出てしまうほど、素晴らしかったです。
小説を読む時の最大の喜びは、思わず引き込まれて夢中になれる時間を過ごせる事だと思っています。
このお話は私にそんな時間を与えてくれました。
ありがとうございました!
作者からの返信
テレビドラマ見入ってしまう感じとおっしゃっていただけて、光栄です…!
私は脳内に描いた映像を文章にしているので、ちゃんと文章にできたんだなと思えて。
学生運動については色々記録が残っていて、たまにNHKのドキュメンタリーでも見られたりしますが、その家族はどう考えていたのか触れないんです。
集団リンチはよくあったと聞いたことがあるけど、やっぱり触れない。
そういうのを伝えていかないといけないのでは?という、怒りにも似た疑問をぶつけた作品です。
まあ、私の十八番でもあるのですがw
なのでお褒めのお言葉をいただけて本当に本当にうれしいです。
ありがとうございました!
6 金朱への応援コメント
自主企画への参加ありがとうございます(´▽`)
この時代の大学に通うちょっと貧乏なインテリ男子学生、というところから嫌な予感がしていたのですがどんどん雲行きが……銀杏、銀杏の素揚げを食ってくれ!という祈りも届かず……だけど妹を最後に守ったのも、間違いなく兄貴だったのがせつないです。個人的に昔のストーブの灯油が燃える匂いがしてきたのがよかったです。ありがとうございました(*゚▽゚)ノ
作者からの返信
ストーブ、昔はあんなんだったなぁと一生懸命思い出しながら書きました。
はい、雲行き怪しくなっちゃいました。
そして銀杏は兄ちゃんには食べられませんでした。
けっこう集団リンチはあったみたいなんですよね、あの頃……。
コメントありがとうございました!
2 倹約への応援コメント
2人の育ちと困窮した様子
酒を飲む大学生との交流
戦闘の跡の表現
乾燥した北風もそうかな?
全部1つの方を向いてます。
あと火にまつわる表現の散りばめももう…こんな平穏なのに。
兄の背中をテレビを見るようにぼんやり眺めてしまったことが主人公にとって致命傷ですね。それさえなければまだなんとか物語の宿命から逃れられるのに。あの一文が18歳の女の子の先々の波乱を絶対的にしているように感じています。短い文章で先々の展開を物語っていて最高です。
天ぷら油みたいに私の心がざわざわしてます。一度クールダウンするためにコメントしてみました。
残酷な予想が立って、でも読まずにはいられない。物語の推進力が強い。読み進めます。
作者からの返信
コメントありがとうございます。
ぽんぽん丸さんをざわざわさせられたとのことで、喜んでおります。
この先の知美もよろしくお願いいたします……!