第7話

「おいおい! アレンさんよぉ、また売れなかったのか?」


「……あんたには関係ないでしょ」


 またも売れずため息を吐いていると、同業者であるオッサン商人が声をかけてきた。


「いーや。同じ奴隷商人として心配なんだぜ俺ぁよ?」


 心配って言いながらも、このニタニタ笑っているオッサン商人が何を言いに来たのかなんて分かりきっている。


「うーん、やっぱりお前には才能がないんだわ。お前はな、奴隷を奴隷として見てねぇ。ただの商品に情を抱いている大馬鹿ってところだもんな!」


「うっせえ。そんなの僕の勝手だろ」


 僕は僕のやりたいようにやっている。


 それに、自分が売っている商品を大切にするなんて当たり前のことだろ。奴隷だって一生懸命生きているだ、大事にするだろ。


 万が一売れたのなら、そこで幸せになって欲しいと願うのは当然のことじゃないのか。


「そ・れ・に。お前が扱っている魔族ってやつは商品の価値すらない。全く使えそうには見えねえじゃねえか。ああ? よかったら俺様がそいつらに教養とやらを叩き込んでやろうか?」


 オッサン商人が舌なめずりしながら近づいてきたので、俺は立ち上がって突き飛ばした。


 そろそろいい加減にして欲しい。


「僕の大切な子たちをそんな目で見るな! 不愉快なんだよ!」


 今回は強めに拒否をする。


――今頃は大金持ちになる予定だったのにちっとも商品が売れないそれが今僕が貧乏な要因だった。

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