真実の民衆

 真実の王は広く声を張って民衆に尋ねた。

「この世でもっとも重宝されるべきはなんだ」

 民衆は歓喜を膨らませ答える。

「真実の王さまです」

「なぜ私なのだ」

「慈愛で満ち溢れているからです」

「慈愛とはなんだ」

「知りません」

「では満ち溢れるとはなんだ」

「知りません」

「では諸君が知っている言葉で教えよう」

「お願いします」

「それらはすべて争いの種である」

 このあと王は民衆から反乱され、立場を追われた。

 王が言ったことは正しかった。真実の王だからあたりまえである。

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