神様の憂鬱-12 結婚式に乗り込んじゃえ!
アキくんたちの旅行を覗いていると、どうも奇妙な塔に閉じ込められてしまっていた。
そして屋上に出たところで現れたヤツを見て、オレは驚愕した!
「ムーオ!?生きてたのか!?」
「ダミーって名乗ってるよ!?空中庭園のヤツもダミーだったなんて···」
「ナビくん!今すぐオレを顕現させて!さすがにアキくんが変身してもうまいことやって相打ちだろうから、救出してあげないと!」
「ちょっと待って!追加能力は必要かな!?」
「魔力多めで転移と回復魔法が使えればいい!」
「あいあいさー!あっ!?塔が崩壊していくよ!エレくん!救出に向かって!」
「ありがと!行ってくる!」
ふぅ〜!なんとか塔のガレキに巻き込まれる前にアキくんを救出できたぞ!魔力を使い果たしてしまって気を失ってるな。
どこか休ませれる場所といえば···、リオの仲間のカーネとアイリの領主邸がいいか。勝手に入ると問題だから、エントランスに置いておけばすぐに気づくだろう。あんまり姿をみせるわけにはいかないからな。
領主邸に送ってからすぐにメールで状況を知らせておいた。まぁ、ここで死んでも旅行保険で生き返れるけどな。ただ、所持金が心もとないから2回目は厳しいだろうし、これでよかったんだろう。
さてお次は···、んっ!?ぶわっはっはっ!ア、アキくん!!女の子にされちゃってるぞ!!
本人は嫌がってるなぁ〜。まぁ、男の娘だから外見に違和感ないけどな!あれって邪法の中でも宴会芸用のネタ魔法で、すぐに廃れちゃったんだけど、まだ使い手がいたんだなぁ〜!
ちなみに女の子にされても赤ちゃんはできないからな。『妊夫さん』にはならないぞ。···そういう特殊性癖もあるらしいが、オレにその気はない。
ついでだ!身分証アプリを更新して『正式に女の子』にしておいてあげよう!これで審査はちゃんと通るから安心だな。オレって優しいだろう?いい事したあとは気持ちいいなぁ〜!ふふふっ!わははは!!
『貴様、見ているな!?』って思ってるぞ!その通り!見ていてたーのしーぞ〜!
さて、アキくんたちは港町に着いてまたトラブルか。魔獣が多くなってきてるなぁ〜。ムーオの仕業なのはわかってるんだけどな。
おっ!?凄腕冒険者と共同で魔獣退治ね。···えっ!?あれって、もしかして!?
「神狼族だ···」
「そうだね。生き残りがいたんだね」
「···やっぱりあの時見逃した子は、生きていたんだな」
「どうするの、エレくん?討滅しちゃう?」
「···いや。もうこの子以外はいないんだ。しばらくは様子を見るよ。もう···、あんな事はしたくないからな」
監視対象が増えたものの、オレはあんまり気にしないことにした。どうやらアキくんと一緒に行動するようだ。
アキくんを見ていると、不思議とムーオ関連のイベントが発生するから、監視と爆笑コントを一度に見れて一石二鳥だ。
そして、やっぱりムーオ絡みの事件が起きて、龍脈から魔力を吸い出せる特殊な魔石が奪われてしまっていた。
あいつら、次は何を仕掛ける気だ?
そして、アキくんはハルちゃんと結婚した。
神狼族の悲しい歴史はあったけど、これからはアキくんとハルちゃんが、新しい歴史の出発点となるんだ。せっかくだからドッキリ祝福をしかけてやるか!
だいぶGPに余裕がでてきたから、ちょっとお遊びに使ってやろう!
まずは神父さんだな!ちょっとだけお休みしてもらって、姿を模写してから結婚式用の
そうして神父に化けてから、アキくんとハルちゃんの結婚式を文字通り目の前で見させてもらったよ。
「では、アキさん、ハルさん。お二人はお互いに助け合ってこれからの人生を歩むことになります。お二人の誓いを、ここで述べましょう」
「はい。ボク、星川
「···私、ハルはアキを大切にします。これから立ち塞がるであろう困難を、アキと協力して必ず乗り越えていきます。···そして、幸せになる事を誓います」
「素晴らしい誓いを述べられました。それでは、お互いの絆と誓いの証として口づけを···」
「はい。···ハル。これからもよろしくね」
「···うん。アキ、よろしく」
おぉ〜!めっちゃいいじゃん!これは将来は安心だわ〜!せっかくだし、GP大盤振る舞いしちゃうぞ〜!
「今ここに新たな夫婦が誕生しました。年若き夫婦に神からの祝福を!」
そう宣言したあとに、オレの像を光らせてやった!ちゃんと見てるぞ〜!って演出だ。もちろん、目の前にいるって事は内緒だ。
さて、教会から出たのを確認したら、神父さんを起こして何もなかったようにしといて、オレはすぐに領主邸に向かい、結婚お祝いの品と祝電をメイドさんに渡そうとした。
「ごめんくださ〜い!」
「どちら様ですか?どういったご用件で?」
「私は旅の吟遊詩人でして、今日こちらにいらっしゃる客人がご結婚されたそうで、お祝いの品を持ってきたんです。お渡し願えませんか?」
「そんな客人はいらっしゃいません。勘違いでは?正式なアポがない以上、お取次致しかねますので、お引き取りください」
「そんな固い事言わずに〜。預かっていただくだけですから〜」
「ちょっと!?困ります!こんな
「まぁまぁ、そう言わずに。怪しいものじゃないですから」
「あなたが十分怪しすぎます!これを持ってお引き取り下さい!」
「大丈夫ですって!今日結婚した2人に渡していただくだけでいいですから」
「ダメです!···おい!ゴラァ!!ダメだっつってんだろ!?いい加減、帰れ!!そぉおーい!!」
「ちょっ!?うわぁ~!?」
あんまりオレがしつこかったから、メイドさんがブチギレてしまったな···。思ったより力強くて襟首掴まれて放り出されてしまったよ。身体強化ができるメイドだなんて、優秀な人材がいるんだな。
仕方ないからお祝い品を敷地内に投げ込んでおいた。壊れ物じゃないから大丈夫だしな!
どうやらお祝い品を受け取ってもらえてハルちゃんは嬉しそうにしてくれていたな。···保障には程遠いけど、幸せになってほしいものだな。
さらにリオも結婚したので、もう1回お祝いを持っていくと···、先日応対してくれたメイドからこう言われた!
「お館様より、あなたが現れたら捕まえておくよう指示がありましたので、拘束させていただきます」
「えっ!?ちょっと!?待って!!」
「おい!ゴラァ!!待てやーー!!」
「わーー!?お祝いもってきただけなのにーー!」
「あたいに勝てると思ってんのかぁー!?大人しくしやがれ!!」
オレは慌てて逃げ出したものの、しかしまわりこまれてしまった!!
張っ倒されて押さえ込まれたあげく、縄で簀巻きにされてしまい、ミノムシ状態にされてしまった···。まるで生意気な勇者に拘束された魔王のようだわ。オレ、神様なんだけど···。
止むをえまい!忍法・すり抜けの術!!
「なっ!?消えた···、だと!?」
ふぅ~。転移で逃げてしまったな。とりあえず領主邸のエントランスホールにお祝い品を置いて帰ろう。
しかし、とんでもなく優秀なメイドだなぁ〜。二重人格っぽいな。清楚な雰囲気からバーサーカーみたいに豹変したしなぁ~。
まぁ、とりあえずリオたちにもお祝い品が届いたようだし、これでいいか!
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