二話 葉流香とらむ


訳がわからな過ぎて、あんた誰だのここはどこだの俺が聞きたいくらいだ。


「そんな事俺が聞きたい!ここはどこなんだ!」


 通る人全員が俺を見て不思議な顔をする者、コソコソと耳打ちや手を口元に添えながら話、内容を聞かなくても、訝しげなのは良く分かる。


 今の状況は例えれば、東京渋谷のスクランブル交差点や秋葉原の電気街直ぐ、とにかく人や街、店などが立ち並ぶそんな中のベンチにポツンと現れ異国語を発狂している。そんな状況だ。

 

「ってか、おまえ……日本語、通じるのか??」


「ニホ、ンゴ……??」


「あれ、そういえば他の人の言葉は分からないのに何でアンタの言葉は日本語として分かるんだ?」


「んー、まあとりあえずよく分からないけどここで喚いていても仕方ないし、一旦離れるわよ」


「あ……あぁ」


「てか、なんか探してるんだろ?良いのか」


「え、あ!そうだコンタクト!!」


そういう彼女の目をよく見ると、片目は緑でもう片目がピンク色になっている。


本当に見た目はらむそっくりなのだ、クローンかドッペルゲンガーかと思うくらいに。


 おそらく格好に合わせるためにピンクのカラコンを入れていたが、落としてしまったという事だろう。


「まあ。目が悪い訳では無いからこのままでも行けるわ、私も聞きたい事もあるしあなたも困ってるみたいだからお茶でもしながら話しましょう。」

 

 「ああそうだな」


 (本当にらむに似すぎて信じて良いのか分からんけど)



 ******************


「ホットキャラメルマキアートで」


「え…と、アイスカフェオレで」


 カフェに移動した俺たちは、各々飲み物を頼んで本題へと進んだ。


「名前、言ってなかったわね?私は、龍門寺 葉流香りゅうもんじ はるか



「龍門寺……本当に、夢乃らむじゃ、無いんだな」



「ええ」



「そっか、あ!俺は百目鬼 紗烙どうめき しゃらく



「お待たせいたしました。ごゆっくりどうぞ」



 お互い自己紹介が終わったタイミングでちょうど注文した飲み物が届いた。


 「お待たせ致しました。こちらキャラメルマキアートでございます」


 濃いキャラメルの甘い匂いが湯気をもくもく

 立ち昇らせながら鼻腔をつく。

それが葉流香の前へと置かれると、次は俺の前へとカフェオレが置かれる。

 おそらく20代前半の大学生アルバイトだろうか、黒川を肩ほどまで伸ばした女性店員は落ち着いた音色の声でドリンクを置き、一礼すると去って行った。

 とても感じの良い気持ちの良い接客だ、是非とも長く飲食関係のお店で働いて欲しい人材だ。


 なんて事を内心思いながら去るのを横目に、葉流香の方へと目線を戻し話を続ける。


 

「それで俺が言うらむなんだが、竜門寺と瓜二つなんだよ。本当に。」


 


そのまま俺は話を続け、らむとの出会いや、殺されたはずだと言う事。自分の記憶が覚えてる限りの事を話した。



「なるほどね、なんと言っていいか……。それでねここの街の事を少し話すとすると。此処はアストリアという都市で今いるこの場所は市街地よ」


「アストリア……って事は、ここは外国……と言うか、異世界か」


「街を出て少し行けば森だったり、精霊の森にはエルフ族などが住んでる。影の王座、星降谷とかまあ色々あってねこの都市に住む種族もそこそこ居るのよ」



「それじゃあ俺の住む東京とはやっぱり大きく異なるんだな。でも、その割にはあれだなその竜門寺の服……なんか、異世界あるあるな服って感じじゃ無いんだよなぁ」


「割と現代人っぽい感じの、俺らの国の服とかと似てるよな素材は違うかもしれないけど」



「うん……?」

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