[その身に傷を持つ子]
「なぁ、お前癒せるんだろ?オレの体も癒してくれよ」
そんなことを言われ続けて早数年。
教会は利益を得るために私を使い。
癒されたものはそれを当然のごとく享受し。
女どもは私のことを男を誑かすメスだといい。
お前らも味わってみろよ。
私が傷を癒すたびに。
私の体はボロボロになっていく。
私の持つのは癒しの手ではない。
私が持つのは肩代わりをする力だ。
生来の頑丈さで生きることができても。
傷跡は残ったまま。
ああ、あいつらも私と同じ手を持ってみるがいい。
私と同じことになってしまえ。
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