第2話 タクシー

深夜、若い女性が手をあげている。


人気の少ない田舎道。


「この道を真っ直ぐいってください。」


「かしこまりました。」


しばらく走った。


長い髪の女性はうつむいていて、顔が見えない。


「次の信号を右に曲がってダムの辺りでとめて下さい。」


「ダム?あっ 、はい。かしこまりました。」


こんな時間にダム?何しに?まさか……



ダムに着いた。


「ありがとうございました。」


お金を渡す女性の顔は、泣き腫らした後のようだった。



もしかして自殺する気じゃないか!


ダムに向かって歩いて行く女性。


「お嬢さん! ちょっと待って! 」


それから二人でたくさん話した。女性は失恋したようだ。


だが、まだ若い。人生これからだ。

女性は自殺を考え直してくれた。


「さぁ、帰りましょう! 」


「本当にありがとうございます。運転手さん。」




「運転手さん、あそこに立ってる女性、もしかして…」


危ないところに女性が立っていた。


「助けましょう! 運転手さん! 」


「そうだな!」


女性に近づき声をかけた。



女性はゆっくりゆっくり振り返った。



首がギシギシ音をたてている。


そして首だけがぐるっとこっちに向いた!




「ぎゃーーーー!! 」


あれ、たぶん、ひ…人じゃない!



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