第42話 聖女にされた少女の言い訳
そのまま、泣き続けた聖女マミは、護衛騎士様が呼び、駆け付けた院長先生に抱きつき「大丈夫よ」と抱きしめられると、さらに大泣きした。
泣き声の合間には、両親や親しいであろう人の名前と、寂しい、帰りたい、と繰り返し、声も涙も涸れ果ててしまうのではないかと思うほど沢山泣いていた。
その姿はまるで、雑踏の中、助けを求めても誰もが無関心に通り過ぎてしまい、途方に暮れて泣いている小さな迷子の様に思えた。
そんな聖女の泣き声は、にこにこしていたアニーや、お腹いっぱいでうとうとしていたシンシア、きょとんとしていたダリルまでまきこみ、養育棟は泣き声の大合唱になった。
そんな泣き声の真ん中にいた聖女マミは、やがて他の赤ちゃんたちと同じように、院長先生の腕の中で泣き疲れて眠ってしまった。
侍女と護衛騎士に抱き上げられ、院長先生が付き添って部屋に戻っていった聖女マミは、私が夕食の時間に食事を持って部屋を訪れた時も、青い顔をして、涙の痕に髪の毛を張り付けて眠っていた。
濡れた手巾で顔を拭ったが、彼女は身じろぎ一つ、声ひとつあげることなく……起きる様子は全くなかった。
「急に泣きだしてびっくりしたけれど……溜まっていた不安や恐怖が、赤ちゃんに接することで出てきてしまったのかもしれないわね。」
夕食のスープに匙を沈めたまま、食事の進まないシスター・サリアの言葉に、手に持ったままのパンを持て余していた私は頷いた。
「そう、かもしれませんね。」
実際、彼女がどうして泣き出したのかはわからない。
だが、泣き出した彼女の瞳は、今までの様に私利私欲の為に獲物を狙うぎらぎらとした瞳ではなく、赤ちゃんのそれのように澄んだ、綺麗なビー玉のようだと思った。
あれが彼女の素の姿なのだとしたら、こちらでは随分背伸びをしていたような気がするし、こちらの世界に住む同年代の者とは、やはり精神的な成長にかなり差があると感じた。
召喚される前の彼女は、家族に愛され何不自由なく育った普通の高校生。
(そんな中での異世界召喚、ね。)
ズシリと伸し掛かるような重たいものを胃の辺りに感じながら、何とか夕食を食べ終えた私たち。
シスター・サリアは夜勤めのために養育室へ入って行き、私はお昼の騒ぎで残ったままになっていた仕事を片付けて、一日の終わりのお祈りと湯あみを終えて自室に戻った。
「……今日は、疲れたわね。」
もちろん肉体的にではない、精神的に、だ。
あんな風に人が泣くのを見たのはローリエ……マーガレッタ嬢が子供を手放さなくてはならないと両親に言われた時以来だ。 人の心が壊れてしまいそうだと思うような激しい泣き声を聞くのはあの時が初めてだったが、今日の泣き声は、それとはまた違う意味で、心にずっしりとくるものだった。
「考えていてもしょうがないわ……。 今日はもう寝ましょう。」
近況を含め、弟へ手紙を書こうかと用意してあった便箋を片付けると、私は寝台に入って目を閉じた。
翌朝はいつもと変わらず。
トントン、と聖女マミのいる部屋の扉を叩くと、すぐに扉は開いた。
「おはようございます。 朝食を持ってきました。」
「おはようございます。 どうぞ、おはいりください。」
昨日とは違う侍女に促され部屋の中に入った私は、少し驚いた。
「……おはよう……。」
と、消え入るような小さな声ではあったが、この部屋の主から挨拶されたからだ。
昨日までであれば、ベッドの上、シーツにくるまったまま、挨拶をしても何も言わず、ただ私の行動を監視するように見ていた聖女マミは、今朝はすでに起きて着替えを済ませ、テーブルについている。
「おはようございます、マミ様。 今日は起きていたんですね。」
「……別に。 昨日、早く寝ちゃったから早く目が覚めただけ。」
彼女の待つテーブルに朝食を置き、努めて穏やかに挨拶をすると、椅子に座った彼女はバツが悪そうに口をとんがらせてそう言った。
そう言うだけあって、いつものようにだらしなく目ヤニなどつけて欠伸、というわけでなく、綺麗に洗面を済ませ長い黒髪も綺麗に梳いて一つに縛ってあった。
ただあれだけ泣いたため、目の周りは赤く腫らしたままだ。
「そうですか。 さぁ、朝食をどうぞ。 昨夜食べずに寝られていたようなので、お腹も減っているでしょう?」
そう言って食事を目の前に用意すると、彼女はひとつ頷き、食事の載ったトレイを少しだけ自分の方に引き寄せてから、両手を合わせ、小さく頭を下げた。
「いただきます。」
私も懐かしいと思う食事の前の挨拶をした彼女は、ミルクのたっぷり入った紅茶のカップを手にした。
(今までそんなことをしたことはなかったけれど……。 纏う雰囲気も少し、穏やかになった気がするわ。)
そんな気持ちで見ていると、暖かい紅茶を飲み下し、ほっとしたような顔をした聖女マミは、ふっと息を漏らすように一言漏らした。
「……美味しい……。」
穏やかな口調でそう言ってから、もう一口、二口と飲み下し、カップから手をはなすと、今度はカトラリーを手にした聖女マミに、私は笑んだ。
「お口に合ってよかったです。 それでは、私はこれで失礼します。」
「え? いっちゃうの?」
「え?」
いつも通りの挨拶をしてテーブルから離れ、部屋を出ようとした私を止めたのは、聖女マミの声だった。
彼女に引き留められると思っていなかった私は一瞬戸惑ったが、背筋を伸ばして彼女の方を見た。
「えぇ。 他にも仕事がありますので。 何か御用事でもありましたか?」
「……そっか、そうだよね……。」
私の言葉にそう言った彼女は、うつむき、手に持ったカトラリーでスープをぐるぐると少しかき回して……それから、顔を上げて私を見た。
「あの、あのさ。 食べる間だけでもいいから、一緒にいてくれないかな? ……1人でご飯食べるの、ほんとはすごい苦手なの……。」
命令口調ではないその物言いに再び驚きながら、私は一つ、頷いた。
「わかりました、大丈夫ですよ。 じゃあ、隣の椅子に失礼しますね。」
頷き、もう一つあった椅子を引きよせようとすると、侍女が察したように椅子を引いてくれ、私は静かに座ってお礼を言う。
「……ふぅん、そうやって座るんだ。」
「そうですね。 こうすると皺になりにくいですし、綺麗に座る事が出来ますよ。」
初めて知ったような口ぶりでそう言った聖女マミに、私は頷いて答えると、そっかぁと納得したように頷いた。
「さ、マミ様は朝食をとられてください。 お腹がすいていたのでしょう。」
「うん。 そういえば、あんた……じゃなかった。 えっと、ミーシャ? は、朝ごはんは? もしかしてこれからだった?」
「私達修道院で働く人間は、早い時間にいただいていますので、大丈夫ですよ。」
「そっか。 そういえばそんなこと言ってたね。」
気を遣うようにそう問うてきた彼女にそう答えると、侍女が淹れてくれたお茶をいただきながら、彼女が食事を食べるのを見た。
掬ったスープを飲み、それからパンに手を伸ばす。
こちらではパンや焼き菓子は、かぶり付くものではなく、一口サイズにちぎって食べるものだが、彼女は手に持った丸くてやわらかいパンにそのままかぶりつき、もぐもぐと咀嚼し飲み込んだ。
歯型の着いたパンをお皿にもどし、紅茶を飲む。
食事マナーは相変わらずのようだと思いながら侍女の方をちらりと見れば、顔には出していないようだが、彼女もやはりそのマナーは気になっているようだ。
(食器とカトラリーが良く当たって、音が立っているし、啜ってはいないけれど上手とも言えない。 口に物を入れたまま喋ってはいないから、あちら的にはまだセーフの部類かしら。)
ファミレスでは、カップのままスプーンを使わず飲むこともあるし、おうちでスープをお皿で出す、という事も一般家庭ではあまりないだろうから、そう考えれば、彼女はあちら基準で考えるとマナーに関してはそこまで常識に外れたことはしていないのかもしれない。
しかしそれはあくまでもあちら目線でだ。 こちらではこれらは完全にマナー違反で、1年半の間、学院では何をしていたのだろうかと思わないでもない。 しかし、つい昨日までの彼女を振り返ってみれば、この態度の軟化はかなりの進歩だろう。
これから、ここにいる間にみんなで少しずつ教えていくしかないかしら、と思いながら様子を伺っていた私の視線に気が付いた聖女マミは、残っていた食事をすこし慌てるように口に入れ、しっかり咀嚼すると、ごくんと飲み込み、紅茶を飲みほして、ごちそうさまでした。 と手を合わせてから、恐る恐ると言ったように私の方を見て口を開いた。
「あのさ……。」
「はい? もしかして足りませんでしたか?」
「いや、そうじゃなくて……あの。」
うつむいた彼女は、そのまま頭を下げた。
「……ごめん、なさい。」
初めて聞く謝罪の言葉に、私は首を傾げた。
「嫌な事いっぱい言って、嫌な事たくさんして、なのにこうして私の我儘聞いて、ご飯食べる間、何もすることないのに一緒にいてくれて……その、ありがとう。 それから、本当にごめんなさい。」
「……。」
それに対し私は、許す、とも、許さない、とも、いう事が出来なかった。
この場に居てくれて、というのはわかったが、それ以外の何に対しての謝罪かがわからなかったからだ。
対して聖女マミの方は、頭を下げたまま、ぎゅっと、膝の上に置いた手でワンピースの裾を握った。
「……あのね。」
少しだけの沈黙のあと、彼女は顔を上げた。
「許してもらえないってわかってるんだけど……言い訳、してもいい?」
「結構ですよ。」
そう答えた私に、マミは明らかに動揺した顔を見せる。
「え? 駄目? ……うん、まぁ、そうだよね。 あたし、ひどいことしたし……」
ガタン、と勢いよく立ち上がり、それからひどく落ち込んだ顔をして椅子に座り込んだマミに、私は首を振る。
「あぁ、申し訳ありません。 聞きますよ、という意味だったのですが、言い回しがわかりにくかったようですね。 どうぞ、お話しください。」
「え? ほんと? ごめん、ありがとう。」
顔を上げて私を見た聖女マミは、もう一度頭を下げると一度、息を吸って、それから吐いた。
「……あのね、あの……あたしね、高校生だったの。 一年生。 16歳。」
頷いた私に、ほっとした顔をした聖女マミは、ひとつ、息を吐いてから『言い訳』を始めた。
「あっちのあたしにはパパとママと、それから、ちっちゃい弟がいたの。 ソウタ……ソウちゃんって呼んでて、まだ一歳にもなってなかった。 もともとうちのパパとママ、娘が引いちゃうくらい仲良しだからまぁありうるんだけど、……でも、信じられる? あたしと15歳も離れてるんだよ。
初めは、恥ずかしくって嫌だったんだけど、悪阻がひどくて一人で病院に行けないママの通院に付き添った時にエコーを見せられたの。 先生がこれだよって画面指さして教えてくれたんだけど、ピカピカって心臓が光ってるみたいで、クリオネみたいで感動しちゃった。
それからは、毎回通院について行ってエコー見たんだ。 どんどん大きくなって、指吸ったりしてるのが凄い可愛いの。
その度にママが、あなたもこうして大きくなったんだよ、赤ちゃんはこうやって大きくなるんだよって。 あたしがびっくりする度に、育児雑誌一緒に見ながら教えてくれた。
生まれるときも立ち会いって言うの? ずっと一緒にいた、ママがものすごい辛そうで、死んじゃうんじゃないかって思ったけど、無事にソウちゃん生まれたの。
こんな小っちゃくて、でもでっかい声で泣いてて、生まれてきてからのほうがうんと可愛くて。 ママも年だから、一人で育児するの大変でしょ? だからあたしも手伝ったの。 育児雑誌もいっぱい読んだし、おむつも替えたし、ミルクもあげた。 夜泣きでママが起きれない朝は、あたしが代わりにお世話したの。
それまであたし、ガキなんかうるさくって大嫌いだったんだけどソウちゃん生まれてから超可愛く思えてね。 街とかでもちっちゃい子見るとなんか可愛くて、ソウちゃんももうすぐこうやって歩くようになるのかな? って楽しみで、バイトしてちっちゃい靴買ったりもしたんだ。
でね、そのうち、将来はぜったい保育士になろうって思ったの。 そしたらまだ学校行かなきゃいけないってわかってさ。 勉強大嫌いだったけど、進学するため勉強も頑張ってたんだ。」
頬を紅潮させて、そう話すマミは、眉根を下げた。
「あの時も、ソウちゃんのために買い物にいってたの。」
震えはじめた声に、青ざめた顔。
「ミルクと、おむつ、それから離乳食。 安くなってるってママが言ってたから、学校帰りに買って帰るって約束したの。 お店に行ったら可愛い服やおもちゃもあってね。 お小遣い持ってたから、ガラガラも買ったの。 ソウちゃん喜ぶだろうなって思いながら、青信号の横断歩道わたってたら、目の前にでっかいトラックがいて、びっくりして動けなくて、そしたらここにいたの。」
ふぅ、っと息を吐いたあと、聖女マミは右手をぎゅっと握って、1回、2回と縦に振った。
「……あのガラガラ、ソウちゃん、喜んでくれたかな……?」
椅子から立ち上がった私は、彼女の目元にジワリと滲んだ涙をポケットに入っていた手布で拭った。
「可愛い、タオル地の、水色のガラガラ。 こっちに来た時、あたし、何にも持ってなかったから、きっとあっちに残ってるよね?」
彼女の体がここにある以上、あちらでの彼女の体と荷物がどうなっているかは私にはわからない。 でも、私は一つ頷いた。
「きっと、弟さんに届いていますよ。」
「……そうだといいな……。」
ふうっと息を吐いた聖女マミは、強張ったようにぎこちなく動く両手で、自分の腹を抱えた。
「……あたしのお腹にも、いるの?」
なにが? と彼女は言わなかった。 だが、私は頷いた。
「王宮の侍医は、そう判断したそうです。 それに、マミ様もご自身でもわかっているのでしょう?」
そう、文句を言っているとき、暴れているとき。 不意に、腹に手を当てているときがあった。 それは、そこに子がいると自分でも自覚があるからなのだろう。
そう答えると、彼女は幼子の様に目を彷徨わせた。
「ど、どうしよう……。」
それには、私はどう答えていい変わらず、口を閉ざした。
「エッチしたら赤ちゃんが出来るって、解ってたけど……学校でも、友達からそういう話聞いたことあったし、友達の友達が妊娠しちゃったけど、相手が解んなくて親にも言えないからカンパしてって言われたことある。 だけど、あたしが出来るなんて、全然思ってなかったの。」
真っ青な顔をしてガタガタと震え出した彼女の背を擦り、涙を拭う。
「さ、寂しかっただけなの。 パパも、ママも、ソウちゃんもいない。 お友達も彼氏もいない。 こっちの人達はご飯も寝る場所もくれたし、優しいことも言ってくれるけど、結局は自分の都合のいい事ばかり言ってくるの。 あたしのこと勝手に連れてきて、聖女なんだから聖女の仕事をしろって毎日毎日。 もううんざりっ。 思い出せるのは思い出していっぱい言ったよ? ガスだって、電気だって、スマホだって、クーラーだってっ。 あたし頑張って教えたんだよ? でもそんなものじゃダメだって怒るの。 がっかりした顔するの。 役立たずだって口で言われなくても態度でわかるよっ。 ……だからっ……このままじゃダメだって、味方を作らなくっちゃって!
なのに、味方になってくれると思ったジャスも、私の事好きって言ったのに、大好きって言ってくれたのに、私に頑張れ、自分のために頑張ってくれってしか言わなくなって……。 だから逃げたいって思ったの。 でも味方がいないの、お友達も味方もいなくて、逃げるとこも、なくって……だから、だから……。」
(その結果があの行動……。 自分を肯定してくれる人を求めて、自分の身を削って。 だけどそれは、果たして本当に自分の事を考えた末の行動かしら。 ……なんて。)
ある日突然異世界から連れてこられた、真っ青な顔をして震える少女に言う事は、私には出来ない。
やったことへの責任は取らなくてはいけない。 彼女の場合は、聖女という立場を利用し、王太子を篭絡して婚約破棄騒動を起こし、学院内の秩序を乱し、王家と貴族を巻き込んだことだろう。
けれどそれは、異世界の少女を本人の了承のないまま聖女として召喚し、知識を出させ、そこから生まれる地位・金、名声と言われる極上の甘露だけを搾り取り、役に立たなければ幽閉や臣下へ下賜すると言う、王家と神殿の思惑と癒着がなければ起きなかったことだ。
ふぅっと息を吐くと、私は静かに震える聖女マミを抱きしめた。
「私には、貴方が私や他の令嬢、その婚約者を巻き込んで行った行動を、知識がなくて行った事であったとしても、『奪っても構わない』という悪意もあったようですのでそれが正しかった、ということは出来ません。 そしてその行為の末、貴方のお腹に子供が出来たことをなかった事にすることもできません。 ――ですが。」
ビクリと大きく跳ね上がった聖女マミの体を、ぎゅっと強く抱きしめて、私はトントン、と背中を擦った。
「こうして場所を変え、再び貴方と出会った。 言い訳と言いながら、自分の行動と向き合う事が出来た貴方と、一緒に過ごしながら理解し合うことは出来ます。 それから、貴女を害し利用しようとする者の手から、貴女と子供を守る事も約束します。 院長先生もおっしゃったでしょう? ここは貴方を守る場所だと。 私も同じ気持ちです。」
そっと腕の力を緩めて彼女に微笑みかけると、真っ青な顔をゆがませて、彼女は頷いた。
「ごめんなさい……ごめんなさい。」
ボロボロと顔を歪めて泣き始めたマミに、私は穏やかに微笑んで、涙を拭った。
「むやみに謝るのはこれで最後にしましょう。 その謝罪は、それを受ける権利のある方に対して行われるものです。 それよりも、これから先どうしたらいいのか、分からないままではマミ様も不安でしょう? まずは院長先生の所へ行き、これから先の事を話し合いましょうか。」
こくんと頷き、涙を袖で拭った聖女マミに私は微笑みながらも思案する。
嘘偽りなく、彼女とお腹の赤ちゃんはかなり危うい立場にある。
王家が、彼女の胎の父親の可能性のある貴族たちが、目をぎらつかせて、己の立場の安定のため、金のため、名誉のため、母子の身柄を、もしくは命を狙っているのだ。
(まずは院長先生に相談を。 今優先されるべきは、彼女と赤ちゃんの身の安全だわ……それにしても。)
婚約破棄されて清々して修道院に乗り込み、おとなしく3年過ごしたらさっさと還俗して自由気ままに生きるつもりだったはずのに、なぜこんなことに巻き込まれてしまったのかしら? と、私は首をひねってしまった。
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