五分でソウゾウした物語

チェンカ☆1159

五分即興小説

「時計」

 彼の手にはいつも懐中時計がある。

 そのくせ私のお茶会にはいつも遅刻する。


 今日も遅刻確定だ。

 約束の時間を過ぎた時計を見上げ、溜め息をつく。

「おーい!」

 遠くから待ち人の声がした。

 走ってきた彼は息を整えつつ聞いてくる。

「今日はギリギリセーフ?」

「アウトよ」

 上の時計を指差すと、彼は首をかしげた。

「おかしいな?こっちの時計では確かに――ありゃ?」

「どうしたの?」

「五分遅れてた……」

 落胆する彼に私は言う。

「その時計、五分位早くずらしてもらった方が良いわね」

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