はまだくんの勘違い♡

ZENWA

第1話 非の打ちどころが悪い

私は高校二年生!

季節も移ろい学年も変わり、私は…



はまだくんに恋をしました‼



 はまだくんは私と二年連続同じクラスの男子で、背はそんなに高くないんだけど、

とても優しくて気が利くし、それにとっても可愛いの!


一年間で確信した恋心。一年かけて育んだ勇気。一年磨き続けた私自身。


私は今日、はまだくんに告白します。


「あの…はまだくん、来てくれてありがとう」


私はあらかじめはまだくん宛てに手紙を書いて、放課後屋上に呼び出していた。


「いや別に。それで用って」


私の想い。受け入れてもらえるかわからないこの気持ちを、いま届ける。

これまで何度も、何度も何度もシミュレーションしてきた。それこそ一年。


ここでできなきゃ、私は一生彼にこの胸の内を晒すことなんてできなくなる。

この鼓動、この動悸、この苦しみを共有してほしい。受け止めて欲しい。


―それで散るなら、構わない―


「えっとね、私去年からずっとはまだくんのこと見てたの。何でもできて、誰にでも優しくて、非の打ちどころがないはまだくん」


去年も仲良くさせてもらっていた。”友達として”だけど。それでも私は嬉しかった。

だけど…それじゃもう満足できないの。


「私、はまだくんのことが好き」


「………」


鬱陶しいほどの静寂。哀しいまでの夕日。苦しいまでの春風。


「それって……」


でも、彼には誰も知らない欠点があった。


「親友になろうって…ことか?」


カァ カァ カァ カァ カァ…


「………へ?」



 彼は、とんでもなく


   鈍感な勘違い野郎だったのだ‼‼‼‼

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る