6話.緊急招集
side アンノ
デイノから猛烈な配信者勧めがあってから約1年、やっと配信なるものを見ようと
思い、1つだけ見てみたが、意外と面白い。
他のダンジョンがどうかは知らないけどこの初心者ダンジョンは深淵から地上のネットにアクセスできる。だから地上からこっちの情報は探れなくてもこっちからは筒抜けってわけ。
「で、みんな急ぎで集まったわけだけど……」
ここにいる4人は基本的に深淵でも別の領域で暮らしていいる。遊びに行くも勝手だが、できるだけプライバシーを尊重している。
「問題はこいつだな、忍野勇斗」
「そうだけど……そこまでやばいん?俺ちょっとしか見てないけど」
俺はまだ配信を見出したばっかりで言ってしまえばにわかなのだ。
「ポイジェは見てたよな、どうなん?」
「ん〜私より強いんじゃない?」
「まじかい、そりゃ強いな」
ポイジェより強いのか。
一応ポイジェはこの4人に中では純粋な戦闘力では最も弱い。だがこいつがここまで余裕ぶっているのは不死身だからだろう。
「いいっすよね不死身は。僕なんて多分負けて死んじゃいますよ」
「えぇ。そんなに強いのか……」
ポイジェだけでなくこいつより強いとなると……あれ、まじでやばいんじゃね?
「待て待て、まだ決まったわけではない。俺の予想ではクラッキーと同レベルだと見ている」
「だとしても強えなおい」
クラッキーって一応めちゃんこ強いからな、こんな見た目で性格だけど。
「ん〜、じゃあ他のダンジョンはなんって言ってるん?」
「そこが問題だ。他のダンジョンは協力してやつを倒すことを考えている」
んん?協力?今とんでもない言葉聞こえたよ?
「協力ってまじ?俺たちの間で協力関係なんかほぼなかったじゃん、どうしたの急に」
「それだけ忍野勇斗がやばいってことだ、もうほとんどのダンジョンが手を貸すと決めている。総勢約10箇所だ」
10箇所ってめちゃくちゃ多いな。自我持ったストレンジがいるダンジョンって多分15個ぐらいだからもうほとんどじゃん。
「Sランクダンジョンの”奈落”と”闇夜”も加盟している」
「いやいやいや、過剰戦力だろ明らかに」
奈落、闇夜は馬鹿ヤバいダンジョンだぞ?普通にそこにいる自我持ち全ブッパで済む話だろ。
「ん?”破獄”はどうしたの?入ってないの?」
「え?もしかして知らないんすか?」
「何が?」
あれ、まじでどうしたの?
「破獄ダンジョンはもうほぼ攻略されてるんだよ、知らなかったの?アンノ君」
「……こう、りゃく?」
攻略っていえばあれだ、ボスストレンジを倒して探索範囲を拡げることだ。
「え、死んじゃったの?自我持ち、あそこの」
正直どうでも良かったから他のダンジョンの自我持ちなんて知らない。デイノはそこら辺はダンジョンマスターとして交流してるから知ってそうだけど。
「いや、全滅はしてない。だがダンジョンボスのウロボロス以外死んだ」
「はあ?ちなみに今のところ何体やられてる?」
俺は破獄ダンジョンの自我持ちの数を把握していない。
「5体だ」
「うん、やばいねそりゃ」
多分話の流れからその5体の自我持ちを殺ったのは忍野って人間だろう。だとしても人間で、それも一人で……あれ?
「俺ちゃんと見てないけど、それってソロなの?クランでガチ攻略したとかじゃなくて?」
「ソロ、といえば嘘になるがほぼソロだ」
ん?含みのある言い方だな。なんだよはっきり言えやコラ。
「ソロじゃないの?ほぼってことは」
「いや、人気配信者とやらの娘を何人か連れての攻略だった」
「え?そこは知らんのかい?配信好きなんじゃないのかよ」
「いや、俺が好きなのはガチパーティで攻略してるやつらだ。見た目を売りにしてるやつは全く見てない」
まあ、俺たちからしたら種族違うし別に見たくはないわな。恋愛感情なんて絶対沸かないし。情ですらもわかないんだから。
「僕も知らないっすねそこまで。でも忍野なるものの配信は見てるんでわかりますよ、ちょこちょこ出てくるんで」
「私も知ってる、リナちゃんだよ!一番有名なのは」
別に名前聞いてねえわ。
「そのリナってやつは強いん?」
「いや弱いっすね、世間ではとんでもない速さでCランクになった、なんてもてはやされてますけど」
嘘、最悪のパターンだ。
「じゃあその忍野って人間は足引っ張られてる状態でそんな暴れ回ってるのか」
「ああ、それに足枷はその女人間1人だけではない。他にも何人か連れてたはずだ」
うっわハーレムのパターン?まあどうでもいいけど、正直。
「てかさ、それ破獄から応援要請は来てないのか?」
「もちろん来てるぞ、だがみんな断ったから、俺も断った」
「そっか」
んじゃ、見捨てるって方針なのね。ていうかそもそも応援要請なんて初めて出たんじゃない?
「で、どうすんの?加盟すんの?その謎の協力組織」
「どうだろうか……あちら側としてはうちに入ってほしいみたいだが」
でも入ったほうがいいんじゃないかな〜そうなると。一応うちも最古参のダンジョンになるし。
「足枷はずしたらどんくらい強いか分かってないから入ったらいいんちゃん」
「僕も賛成、みんなで協力して倒すべきっす」
「私はどっちでもいいよ〜」
「なら、一応協力はすると伝えておく。これで終わりだから帰ってくれていいぞ」
「「「はーい」」」
デイノが出ていくが、俺達は動かない。なぜなら暇だからだ。
「ねえねえアンノ君、それとクラッキー君、私がもしやられたら助けてね?」
「いややられんだろ」
何言ってんだよ、俺の知る限り「死」と最も遠いやつが「助けて」なんて死んでも言うな。
「いやいや、僕がやられそうになったら助けてくださいね?」
「あ〜そんときは行ったるわ」
「え?なんか態度ちがくない?」
当たり前だろ、クラッキーは万一でも死ぬ可能性があるんだ。
「ポイジェはやられても復活するし、どうせ逃げかえって来れるだろ」
「ま、まあ確かに逃げるけど……」
「てかお前もクラッキー助ける側だからな?なんならデイノも。俺たちもうほぼ家族みたいなもんなんだから」
「か、家族?そうかも……」
「やろ?じゃあほら、守る側の俺たちは絶対弱音吐いちゃ駄目だからな?」
「う、うん。そうする」
「頼むからそうしてください、僕弱いんで」
俺も、親しいやつが死ぬのは嫌だからな。まあポイジェは確定で死なんからそこは安心できるけど。
それにしてもあの破獄が踏破目前、か。
忙しくなりそうだな。
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