【劇用台本】友人ではなくなった日

おかぴ

友人ではなくなった日

(SE:遠くからの花火大会のアナウンス。開催時刻)


渡辺「よし。準備完了」


田村「しかし渡辺よう。こんな田舎の花火大会よく見つけたなぁ」


渡辺「いいっしょ。その名も『寝そべり見物花火大会』ですよ」


田村「前に来たことあんの?」


渡辺「そこは聞かないでくださいよ田村さん……」


田村「お、おう……すまんかった」


渡辺「って残念ぷっぷー。小さいときに友達と来ただけでしたー」


田村「余計な気を回して損した」


渡辺「いいじゃんそれは田村さんの優しさ優しさ」


田村「うるせー」


渡辺「ほら早く寝そべって。せっかく田村さんの好きなプーさんのシート敷いたんだから」


田村「プーさん好きだなんて言ったっけ?」


渡辺「聞いたこと無い」


田村「その、思いついたことをとりあえず口に出す悪い癖を直せって」


渡辺「田村さん田村さん」


田村「おん?」


渡辺「プーさんのモノマネやってモノマネ」


田村「はちみつたべたいなぁ(モノマネ)」


渡辺「似てない(笑)」


田村「うるせぇ」


渡辺「いいから早く寝そべってって」


田村「はいはい」


渡辺「枕もあるから使って~」


田村「マジか……ぉお冷たいやつ!」


渡辺「暑いからね。気持ちいいっしょ~」


田村「キモティー」


渡辺「よかったよかった」


田村「渡辺サンキュー」


渡辺「いえいえ」


しばらく間


田村「しかし渡辺とも付き合いが長くなったなぁ」


渡辺「突然なんなの(笑)」


田村「最近よく考えるんだよ」


渡辺「なんで(笑)」


田村「いや、渡辺と知り合ってもう三年だからさー」


渡辺「そういやそうだねぇ」


田村「最初はうちに短期バイトで来たときだったろ?」


渡辺「そうそう」


田村「あの頃の渡辺は」


渡辺「初々しい新人だったっしょ」


田村「いや、なんかえらい幼く見えた」


渡辺「なんでよ(笑)」


田村「いや、渡辺って初日からずっと髪をお団子にしてたじゃん。だからじゃないかなぁ」


渡辺「せめてシニヨンて言って(笑)」


田村「自分だってお団子って言ってたくせに(笑)」


渡辺「そういやそうだ」


田村「だろー?」


渡辺「でもさー。私は田村さんと組んで仕事するのが一番楽しかったよ?」


田村「よく言うわ(笑) つーか『でもさー』ってなんだよ(笑)」


渡辺「ほんとほんと」


田村「そういやあのとき橋野さんから聞いたなぁ。他の人と組まされそうになったとき『楽だから田村さんと組ませてください』て言って強引に俺のとこ来たらしいじゃん。元々俺と組む予定だったヤツ、混乱してたぞ」


渡辺「いいじゃん別にー。田村さんもアイツより私と組むほうが楽だったっしょ?」


田村「そら言えてる」


渡辺「ほら私の方が正しい」


田村「意味がわからない」


渡辺「田村さんは私と組んでる方がよかったんだよ」


田村「そうか?」


渡辺「うんそう」


田村「そうか」


渡辺「うん」


田村「でも橋野さんはそうは思ってなかったみたいだぞ?」


渡辺「そうなの?」


田村「市河ってヤツ覚えてる? あの、ネチネチしてたやつ」


渡辺「覚えてる覚えてる」


田村「渡辺は割とあいつと相性がいいと思われてたらしくてさ」


渡辺「え!? マジで!? ヤだ!」


田村「そういやお前、市河のこと嫌いだったな(笑)」


渡辺「ヤだあいつ! 人のちょっとしたミスをネチっこく指摘してネチネチ説教してきてたし!」


田村「人のミスを見つけてネチネチ責めるのが趣味みたいなヤツだったからなぁ(笑)」


渡辺「でも、ぶっちゃけ田村さんもあいつのこと嫌いだったっしょ」


田村「……なんで知ってる?」


渡辺「いやほら、私が一回名刺の整理を忘れてて、廊下で市河さんにネチネチ責められてたときのこと、覚えてる?」


田村「あー、そういやあったあった」


渡辺「あのとき、田村さん私のこと助けてくれたじゃん?」


田村「ものすごい剣幕で怒鳴り込んでな(笑)」


渡辺「そうそう。『わたなべぇぇえええ!!! テメーこのやろぉぉおおお!!!』て怒鳴りながら私たちのとこに来て、市河さんに『説教したいんでちょっとコイツ借ります。こっち来いわたなべぇええ!!!』て言ったあと、手を引っ張って2階の空いてた会議室に連れてって」


田村「懐かしいなぁ」


渡辺「んで、部屋に入るなり、いつもの田村さんに戻って、『えーと……そのー……まぁ、あれだ……ホッチキスの針を使いすぎるな』って。私ポカンってしちゃって。仕事でホッチキス使った記憶なかったから」


田村「今思い出しても渡辺のあのポカン顔は笑える(笑)」


渡辺「でもあのとき、私は思ったね」


田村「何をだよ」


渡辺「……『こいつもあのヤロウが嫌いなんだなぁ』って」


田村「あんなヤツ、好きなやつなんていないだろ(笑)」


渡辺「それは市河さんがかわいそうだ(笑) 蓼食う虫も好き好きって言うでしょ(笑)」


田村「蓼食う虫でも好き嫌いはあるんだって(笑)」


渡辺「まぁ私も好きにはなれないわ(笑)」


田村「まぁ嫌な思い出にならなくてよかったよ。あのとき、渡辺はもう退職前だったもんなぁ」


渡辺「うん。そういう意味では助かった」


しばらくの間


渡辺「そういや田村さん」


田村「んー?」


渡辺「あの子、どうなった?」


田村「あの子? ……あー、山ちゃんか」


渡辺「うん。私に一回相談してたじゃん」


田村「『どうやって話しかけたらいいかなぁ』ってな(笑)」


渡辺「そうそう(笑) ……んで、(笑いをこらえながら)私が『まずは笑顔で挨拶を交わせばいいんじゃないですかー』て適当に答えたら」


田村「実際にやってみたら山ちゃんに大笑いされたってヤツな(笑)」


渡辺「うん(笑)」


田村「ありゃ渡辺を恨んだね(笑)」


渡辺「(笑いながら)なんでよ(笑) ありゃあんな笑顔した田村さんの自業自得だって(笑)」


田村「だって渡辺が『笑顔で挨拶すりゃいい』て言うから(笑)」


渡辺「だからってあんな香港の夜景みたいな満面の笑顔で『おはよう!』とかいう人いないでしょ(笑)」


(しばらく二人でクスクス笑う)


渡辺「ねぇねぇ田村さん田村さん」


田村「なんだよ」


渡辺「あのときの笑顔、もう一回やって見せて」


田村「(上半身起こす)よっこいしょ。ニパッ」


渡辺「(吹き出し笑い)ブッ! ウェフッ! オフッ!!」


田村「笑いすぎじゃね?」


渡辺「だって! その笑顔は反則過ぎる!! ブブォッ!?」


田村「ニカー!!」


渡辺「(吹き出しながら)ちょっと田村さん! マジやめて(笑)」


(しばらくの間 渡辺次第に落ち着いてくる)


渡辺「あー笑った。ほっぺた痛い」


田村「笑いすぎだろ」


渡辺「……で? 山ちゃんはどうだったの?」


田村「聞くなよ……」


渡辺「田村さん、押しが弱いからね。ご愁傷さま」


田村「昔のことにご愁傷さまもクソもないわ(笑)」


渡辺「そらそうだ(笑)」


田村「でも渡辺も俺に元カレのこと相談してたよなぁまだ付き合ってたとき」


渡辺「してたしてた」


田村「『なんかー。私のー、彼氏が? 短い髪の子の方がー、好きみたいでー』」


渡辺「私、そんな言い方してた!? してないでしょ!?」


田村「『それでー、私? 髪、長い方だからー、どうしようかなー?』って」


渡辺「絶対そんな言い方してない私」


田村「いやでもさ。渡辺ってずっと髪を団子にしてたしょ?」


渡辺「だからせめてシニヨンって言って(笑)」


田村「だからお前が『私ー、髪が? 長い方だからー』て言ってもピンとこなくてさ」


渡辺「田村さん、なんかそんな感じの受け答えだったね(笑)」


田村「だろー? だからお前が髪下ろしてるの見たとき、びっくりしたもん」


渡辺「あー、最終日のあの日のことね(笑)」


田村「そうそう。だから最終日のあの日、最初渡辺だってわかんなかったもんね」


渡辺「私が『田村さん、お世話になりました』て言いに行ったとき、『お前誰?』て顔してたもんね(笑)」


田村「そらそうだろー。だって眼の前のラテン系のウェーブがかったツヤッツヤな黒髪のヤツがまさか万年団子髪の渡辺だとは思わないって」


渡辺「私が名乗ったときの田村さんの『渡辺!?』てポカン顔(笑) 今思い出しても笑える(笑)」


田村「だってあのとき……びっくりしたもん」


渡辺「子供かっ(笑)」


田村「うるせー」


渡辺「そっかやっぱりびっくりしてたのかー。だから連絡先交換するとき手が震えてたの?」


田村「……そら震えるだろ」


渡辺「そんもんかねぇ」


田村「そんなもんそんなもんそんなもん」


渡辺「……あ、ちょっと待って」


田村「ん?」



渡辺「あー……少し遅れるって」


田村「何が?」


渡辺「花火。予定より遅れてるってよ」


田村「!? なんかアナウンス流れてた!?」


渡辺「そこはほら。田村さん、耳悪いから」


田村「いやいやそんなこと思ったことないし苦労したこともないから」


渡辺「んじゃさ。これから私が言う事聞こえる?」


田村「お。よし来い」


渡辺「(こそこそぽそぽそ何か言う。内容は適当)はい! なんて言ったでしょうかっ!?」


田村「わかんねー」


渡辺「ほら田村さん耳悪い」


田村「濡れ衣だッ!?」


渡辺「ハッハッハッ(笑)」



田村「なー。渡辺」


渡辺「んー?」


田村「なんで今日、こんな田舎の花火大会に誘ったんだよ?」


渡辺「んー……」


田村「んー……?」


渡辺「……特に深い意味はないよ。ただ私が久々に見たかっただけ」


田村「……そか」


渡辺「うん。……だいたいさ。こんな丘のところで、芝生に寝そべって見る花火大会なんて珍しいっしょ」


田村「まぁなぁ」


渡辺「田村さん、花火上がったらびっくりするよ。きれいすぎて」


田村「楽しみにしてるぞー」


渡辺「うん」



渡辺「……ごめん嘘ついた」


田村「ほう。では本当のことを話してもらおうか渡辺くん」


渡辺「お礼」


田村「なんのだ」


渡辺「ほら。私が元カレに振られたときの」


田村「ああ、あれか」


渡辺「うん」


田村「つってもあれ、だいぶ経つぞ? そろそろ一年近く経つんじゃね?」


渡辺「でもほら。ちゃんとお礼言ってなかったから。田村さんヤケ酒にも付き合ってくれたし、何も言わないでずっと見守ってくれてたじゃん」


田村「色気のある言葉なんて恥ずかしくて言えないからなぁ」


渡辺「でもさ。『話し相手がほしいときはいつでも連絡よこせー』って言ってくれたし、実際夜中でも連絡したら嫌がらずに私の話を聞いてくれたでしょ?」


田村「あれは正直眠かった(笑)」


渡辺「人が真面目に話してるときにそういうふうに茶化さないで(笑)」


田村「だってそんなこと突然言われても恥ずかしいし(笑)」


渡辺「わかる(笑)」


田村「だろー?」


渡辺「うん(笑) でもさ。ちょっと聞きたくて」


田村「お?」


渡辺「なんであんなに親切にしてくれたのかなーって」


田村「ああ」


渡辺「なんでか聞いていい?」


田村「んー……」



田村「……笑うなよ?」


渡辺「笑うわけないよ」


田村「まだ渡辺と仕事してるとき、俺がめちゃくちゃ重要な実験結果のファイルを無くしたことあったろ?」


渡辺「あったあった。再実験しようにもサンプルが無くて、そのファイルを見つけるしか無くてね(笑)」


田村「そうそれ。その時さ、渡辺、夜通し探すの手伝ってくれたじゃん。元カレとの約束あったのに」


渡辺「あのときは元カレからの鬼電がウザかった(笑)」


田村「渡辺、元カレからめっちゃ疑われてたもんな。んで、『先輩が困ってるんだから助けてるだけだ!!』って、LINEでめちゃくちゃ怒鳴ってたよな」


渡辺「お世話になった先輩が困っとるから手伝っちょるっちゅーのに話が通じないのがしんどかった〜」


田村「それそれ。正直、元カレの気持ちもわかるんだけどさ。でも、渡辺がそこまでして手伝ってくれたことがすごくうれしかったんだよ」


渡辺「そんなことで?」


田村「大失敗したときって、世界中に味方がいなくて一人ぼっちみたいな感覚になるやん」


渡辺「あー……わかる」


田村「だからさ。その時思った」


渡辺「なにを?」


田村「『もし渡辺が困ってたら、何があっても全力で助けよう』って」


渡辺「……ブフッ。ずいぶんとカッコいいことを考えたんだのう(笑)」


田村「似合わないよなぁ(笑)」


渡辺「(笑いながら)そうでもないけどね。田村さんなら意外と似合ってるかもしれないよ?」


田村「(良くわからない妙な声色で)よせやいヘソで茶を沸かしちまうぜ」


渡辺「誰だよ(笑)……あ、ちょっと待って」


田村「ん?」


渡辺「アナウンス。もうすぐ始まるって」


田村「アナウンス鳴ってたのか。全然聞こえなかった」


渡辺「田村さんやっぱり耳悪いって(笑)」


(SE:花火の音)


渡辺「ぉお〜」


田村「……なんだこれ……」


渡辺「キレイっしょ」


田村「花火がでけぇ……」


渡辺「うん」


田村「んで、空から降ってくるみたいに見える……空が花火で覆われてる……」


渡辺「これが見たかった……つーか、田村さんに見てほしかった」


田村「キレイだ……」


渡辺「うん。やっぱりキレイ……」


しばらくの間。SEに花火の音


渡辺「ねぇ田村さん?」


田村「ん?」


渡辺「覚えてる?」


田村「何を?」


渡辺「私が元彼にフラレて、ボロボロ泣いてた日」


田村「あー、あの日か」


渡辺「あの日、私『今なら私、大安売りの特売ですよ』て言ったっしょ?」


田村「言ったなぁ」


渡辺「あのとき、私、田村さんに抱きしめてほしかったんだけど」


田村「……」


渡辺「なんでそうしてくれなかったのかなーって」


田村「そんな意味が籠もってたとは。惜しいことをしたなぁ」


渡辺「その答えは無し。もう一回」


田村「……『俺に』っつーか、『誰かに』だろありゃ」


渡辺「そんなことないよ」


田村「どっちにしろ軽薄なアホ以外であの一言で抱きしめるヤツはいない」


渡辺「そんなもんかー」


田村「そんなもんだ」


渡辺「でもさー。私はホントに田村さんに抱きしめてほしかったんだよ」


田村「よく言うわ。単にヤケになってただけのくせに」


渡辺「違うって。だって田村さん、元カレに電話で怒鳴ってくれたじゃん。『渡辺の黒髪、ツヤッツヤでめちゃくちゃキレイじゃねーか! それをなんで好きになってやらねーんだ!』てめっちゃ怒ってくれてたじゃん」


田村「確かにあのときの俺はガチギレしてた」


渡辺「私はあれが嬉しかったんだって」


田村「んー……」


渡辺「ねぇなんで?」


田村「……なんかさ。あのまま流れで渡辺を抱きしめたら、この心地よい関係が無くなりそうだと思った」


渡辺「……」


田村「俺はさ。渡辺とはずっとこうやって寄り添っていたいと思ってた。だけどあのとき、あの言葉に流されて一線を超えたら、そのあとそんな自分が嫌いになって、渡辺の顔をまっすぐ見れなくなって、気まずくなって、関係が終わると思った。……だから抱きしめなかった」


渡辺「そんなん……」


田村「そして、多分渡辺もそうなると思った。ならないって言い切る自信は?」


渡辺「ない……」


田村「だろー? だからあの時はあれでよかったんだよ」


渡辺「んー……」


しばらくの間


渡辺「……でもさ」


田村「ん?」


渡辺「私はもう大丈夫だよ田村さん」


田村「何が?」


渡辺「あれから一年経ったし、田村さんのおかげでちゃんと立ち直ったよ。もう特大バーゲンセールなんてやってないよ」


田村「……」


渡辺「それにさ。このままでももちろん楽しいけどさ。私たちだったら、もうちょっとだけ進んだらもっと楽しいと思う」


田村「……」


渡辺「そろそろお互い素直になろうよ」


田村「んじゃ、お互いのことどう思ってるか、同時に言ってみるか」


渡辺「うんいいよ」


二人「せーの……」


田村「ムカつく」


渡辺「ウザ」


田村「ブフッ(吹き出す)」


渡辺「ブフゥ(吹き出す)」


しばらく笑う二人


渡辺「いや(笑) 今のは真面目に返すところでしょ(笑)」


田村「いやいや渡辺だって(笑)」


渡辺「しかも『せーの』の段階でタイミング全然合ってない(笑)」


田村「俺達、息合わないな(笑)」


渡辺「ホントそれ(笑)」


しばらく笑う二人


田村「なー渡辺」


渡辺「んー?」


田村「好きだ」


渡辺「うん。私も、田村さんが好き」


田村「そか。よかった」


渡辺「うん」


しばらくの間


渡辺「やーっと素直になりゃーがったかこの野郎」


田村「うるせー」


渡辺「ねえ勇希?」


田村「いきなり名前!?」


渡辺「えーいいじゃんもうお互い素直になったんだから」


田村「……いや、ただ呼ばれ慣れてないからドキッとした」


渡辺「中学生かっ(笑)」


田村「まぁなぁ(笑)」


しばらくの間


田村「なぁ明日香?」


渡辺「……」


渡辺「……いま、勇希の言いたいことがわかった」


田村「だろー?」


渡辺「うん」


渡辺「……ねえ勇希。手繋いでいい?」


田村「別に、いいけど……」


渡辺「では失礼して……」


田村「ん」


渡辺「ん……」


しばらくの間


渡辺「ドキドキしてる?」


田村「やかましいわ」


渡辺「まさか田村さんとこんなことになるとは」


田村「それは俺のセリフ。まさか俺にこんなキレイな黒髪の彼女ができるとは……」


渡辺「それもう一回言って」


田村「キレイな黒髪の……」


渡辺「んしょっと……」


田村「……って、なんで馬乗りになってんだ」


渡辺「ほらもう一回」


田村「キレイな黒髪のー……」


(SE:ゴツンて音)


しばらくの間


渡辺「痛ったぁ〜……距離感間違えた〜……」


田村「そら、あんな勢いつけてやったらデコチンぶつけるって……」


渡辺「いつつ……勇希、大丈夫?」


田村「めちゃくちゃ痛い……」


渡辺「ブフッ(笑)」


田村「どうした?」


渡辺「こういうところが私達っぽいなぁと(笑)」


田村「たしかに(笑)」


渡辺「勇希」


田村「どうした明日香」


渡辺「これからも今まで通り、よろしく」


田村「おう」


渡辺「だけど、もうちょっと幸せにして」


田村「任せろ」


(SE:ガバッて覆いかぶさる音(あれば))

(ここからセリフ相手に合わせず好きなタイミングで。お互いのセリフが被ってもいいです)


田村「うおッ!?」


渡辺「よしゃよしゃしゃよしゃぁ!! やっと捕まえたああ!!」


田村「え……ちょっとまって……肩固め、極って……オゴゴゴゴ……!?」


渡辺「絶対幸せにしてもらお!」


田村「ごめん明日香……あの、離して……ギギギ……!?」


渡辺「めちゃくちゃ幸せにしてもらお!!」


田村「いや、ちょっと……このままだと、死ぬ……幸せにできな……」


渡辺「やだ!! このまま死ね!!!」


田村「やめて……ダメ……椎間板が、漏れる……」


渡辺「勇希、絶対離さないから! 絶対幸せにしてもらうから!!」


田村「アカン……マジで、離し……て……明日香……」


渡辺「よしゃよしゃしゃよしゃぁ!! 勇希、捕まえたぁあああ!!!」


おわり。


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