六ノ詩 温かさ。


中学生の頃、オレは無意識に母さんに冷たい態度をとってしまっていた。


あいさつをしない。返事をしない。暴言を吐く……。


今だと、本当に最低な事をしていたんだと、改めて思う。


――でも、冷たい態度をとってしまっても。


少しでも柔らかく、温かい言葉ものに変えるために努力しよう。



あの頃のオレは、いわゆる反抗期っていうやつだったんだろうな。


いっつもイライラして、母さんにひどいことを沢山した。


軽くポンポンと出てくる悪意の言葉。


それが相手にとってどれだけ苦しいものか、オレは知っているはずだったのに。


オレは……自分の気持ちを抑えられなかった。


それでも母さんは平気そうな顔をして、いつも元気に接してくれた。



そして、部活で帰るのが遅くなったある日。


母さんが家に帰って一番に「おかえり」と言って笑ってくれた。


その時に、急に気がついた。


オレは、なんてことをしてたんだろうって。



母さんはなにも悪いことをしていないのに、勝手に怒って。勝手にイライラして。


オレは泣いてしまった。自分の馬鹿さに吐き気がして。


母さんは何も言わず、また嬉しそうに笑った。



オレは、多分また明日も冷たい態度をとってしまうだろう。


だけど、少しでも柔らかく、温かい言葉ものに変えるために努力しよう。


少し照れくさいけれど。


「…………おかえり」


────────────────────────────────


☆ここまで読んでくださってありがとうございます!♡や、やさしい感想等お聞かせ願えるとうれしいです!東雲 SANA☆

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る