魔法少女アニメの悪役に転移したけど、敵対関係の魔法少女に恋をして付き合ってしまった
髙橋リン
プロローグ
お待たせいたしました。
魔法少女×転移×バトル×ラブコメ作品になります!
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魔法少女マリア・マドカというアニメをご存じだろうか? このアニメは、チッピーという変なウサギと契約して魔法少女になり、悪の組織と戦うという……まあ、よくある魔法少女アニメだ。そんなアニメの世界に……陰キャで童貞の高校三年生の俺――
何を言っているのかよく分からないと思うが、まずは俺が転移してしまったことについて話そう。俺は一人で買い物に出かけた。その帰りに、信号無視したトラックが突っ込んできて……死んだと思ったらーー瞬間移動でこのアニメの世界に転移していた。最初は夢かと思っていたけど……どうやら違うらしい。なぜなら俺は、悪の組織のボスーーすなわち魔法少女と敵対関係にあるのだから……。
「って、いやいや! おかしいだろぉぉぉぉぉぉぉおお!! アニメの世界に転移するのも十分おかしいけど、俺が魔法少女の敵!? ……マージでどうなってんの~!」
俺は頭を抱えて叫ぶ。
「何を仰っているのですか? ボス……」
すると、黒髪ツインテールの
「いいや、なんでもない。ただの独り言だ」
「そうですか……」
(どうしてこの世界の悪役に転移したのかマジでよく分からないけど……イザナミが俺のことを認識してるのもマジでよく分からん!)
「なあ、イザナミ。どうして俺はボスなんだ?」
「はい? 何を仰っているのですか? ボスはボスでしょう?」
イザナミが首を傾げる。どうやら、俺がラスボスであるのは当たり前らしい……。
(まあ、アニメの世界に転移した時点で、もう何が起きてもおかしくないか!)
俺はそう割り切って、このアニメの世界を楽しむことにした。そして、俺は悪の組織のトップとして君臨するのだった――。
悪の組織のトップになった俺は早速、悪事を始めることにした。俺が転移した時は、ちょうどアニメの第11話が終わったから……多分今は第12話のはず。ということは……これからマリア・マドカがこの悪の組織のアジトに殴り込みに来るはずだ!
(ふっふっふ……アニメの世界とはいえ、俺の力を見せてやるぜ!!)
「ボス……どうしてニヤニヤしているのですか?」
イザナミが俺のことを訝しげに見る。
「いや、なんでもない」
俺は適当にはぐらかす。俺がマリア・マドカを迎え撃つ準備をしていると、イザナミが口を開いた。
「ボスは変な人ですね~」
「おい、失礼だぞ」
「だって、そうじゃないですか。どうして悪の組織のトップが、魔法少女を迎え撃つ準備をしているのですか? 普通、逆でしょう?」
「それは……」
(まあ、アニメの世界だから……とは言えないよな)
俺が返答に困っていると、イザナミがさらに続ける。
「もしかして、ボスは魔法少女と戦いたいのですか~? 」
「戦いたいのではなく、戦うことになるからな……俺たちは奴らと」
「はい? ボス、何を言って――」
「あっ、ちなみにイザナミ……お前は多分魔法少女にヤられて死ぬぞ」
「えっ……」
すると突然、扉が破壊して――魔法少女が入ったきた。
「見つけたわよ! 悪の組織の残存者! 正義の名のもとに……あなたたちを成敗するわ!」
16歳くらいの魔法少女はそう叫ぶと、魔法で俺に攻撃してきた。俺は攻撃をギリギリで回避する。
(ふ~、危ねぇ……あと少し遅れてたらやばかったぜ)
俺が安堵していると、イザナミが話しかけてきた。
「ボス! どうしますか!? 」
「どうするって……お前は死ぬんだからどうするも何もねぇよ」
「……ボス! 冗談はいいから早く――」
「エターナル・ギガシュバルツ!」
魔法少女は詠唱をして魔法を放ち……よそ見をしていたイザナミの首が落ちる。
「うわー、グロすぎー。つうか、マジで容赦ねぇな……魔法少女さんよ……」
「残りは、悪の組織のボス……あなただけね!」
「へいへい……まあ、せいぜい頑張ってくれよ」
「私は悪の組織を絶対に許さないわ!」
そして、魔法少女は俺に向かって攻撃を仕掛けてくる。
「ラピッド・レイ!」
魔法少女は光の速度で魔法を放ち、俺はその攻撃を間一髪で躱す。
(攻撃の速度が速すぎんだろ!? でも……次は俺の番だぜ!)
俺は心の中でそう呟いて、魔法少女に向かって走り出した。
そして――魔法少女との距離を詰める。
「ラピッド・レイ!」
しかし、攻撃を食らったのは俺だった。俺は膝から崩れ落ちる。
「ふっ……俺の負けだな……」
「これで終わりよ! 悪の組織のボス! ラピッド・レ――」
「なーんてな!」
俺はニヤッと笑って立ち上がる。
「どうして!? 確かに攻撃したはずなのに――」
「確かに食らったよ……お前の攻撃をな!」
実は俺には攻撃耐性があるのだ! アニメの中では語られていないし、転移してから知ったけど……まあ、そんなことはどうでもいい! 俺は勝利を確信して勝ち誇る。すると、魔法少女が驚愕の表情をしながら口を開く。
「そんな……私の攻撃が……通用しない!?」
「今度はこちらから攻撃させてもらう。食らえ! 俺の必殺技! ホーリー・プロテクション!」
俺は魔法少女に闇魔法を放った。
すると、魔法少女は闇魔法を食らってその場に倒れる。
「悪にも都合ってもんがあるんだよ……」
俺は倒れている魔法少女に向かってそう吐き捨てる。
そして、魔法少女にトドメを刺すために闇魔法を詠唱しようとしたのだが……。
「ちょっと待て。この魔法少女……よく見るとめっちゃ美少女じゃん! テレビで見るより何倍も可愛いんだが! えー、どうしよう!? 本当に殺していいのだろうか……? 否! 美少女を殺すのは勿体ない!」
すると、魔法少女が目を覚ます。そして、口を開いた。
「私の負けのようね……。悪の組織を全滅させたかったけど……まさかここまで悪の組織のボスが強いとはね。想定外だったわ……。トドメを刺しなさい、悪の組織のボス」
「言われなくてもトドメを刺してやる……」
魔法少女は目を瞑って、俺にトドメを刺されるのを待つが――魔法少女は目を開けて口を開く。
「早くトドメを刺して――」
「めっちゃ可愛い魔法少女を殺すのは勿体な~い!」
「えっ……」
魔法少女は口をポカーンと開けて呆然としている。
「だから、君は殺さない!」
「……な、何を言っているの!? 私はあなたを成敗するためにここに来たのよ!」
「うん、知ってる。君が魔法少女になる前から……」
「何を言って――」
「とにかく! 俺は君を殺さない。その代わりと言ってはなんだが……」
「何よ……」
「俺と付き合ってくれないか?」
「はい……?」
「だから、俺の恋人になってほしい」
俺はそう告白すると、魔法少女は顔を真っ赤にした。
「ふ……ふざけるなぁぁぁあああああ!!」
そう叫ぶと、魔法少女は俺に魔法を放ってきたが……俺は放たれた魔法を難なく躱す。
「頼むから俺と付き合ってくれよ~」
「なんで敵と付き合わないといけないのよ! 絶対嫌よ!」
魔法少女はそう叫ぶ。しかし、俺は諦めない!
「分かった……じゃあこうしよう」
俺は何かを思いついたような仕草をする。そして、再び口を開く。
「お前が勝ったら諦めるとしよう」
「……本当でしょうね? もし嘘だったら容赦しないわよ?」
「ああ、本当だ」
すると、魔法少女は俺のことを睨んでくるが――しばらくして口を開く。
「……分かったわ。あなたの挑戦を受けてあげる」
「おっ、マジで!?」
「ただし! 私が勝ったらあなたを成敗するから……」
「いいぜ。じゃあ、さっさと始めよう」
魔法少女は杖を構えて戦闘態勢に入る。
そして、俺もそれに応じるかのように構える。
(なんか、アニメの世界に転移してラスボスに成り代わってから20分くらいしか経ってないけど……まさかヒロインと付き合えるかもしれないなんてな……。童貞で恋愛経験もない俺だが、ついにデビューを果たせるのか……)
すると、魔法少女が口を開いて魔法を放ってきた。
「よそ見してんじゃないわよ! アイス・リヴァイア!」
魔法少女の魔法が俺に向かってくる。俺は慌てて魔法障壁を張る。
そして、俺の魔力と魔法障壁でなんとか攻撃を防いだ。
(危ねぇ……)
「やるわね……」
「そっちこそ」
俺と魔法少女は再び睨み合う。そして、今度は同時に魔法を詠唱する。
「エターナル・ギガシュバルツ!」
「ダーク・ライン!」
俺と魔法少女の魔法がぶつかり合い……そして、俺の闇魔法が勝った。
俺はホッとする。
「ふぅー」
すると、魔法少女が地面に倒れているのに気づいた。どうやら意識を失っているようだ。俺は安心して息を吐くと、彼女が目を覚ますのを近くで待つことにした。
30分後――魔法少女が目を覚ました。
「うっ……」
「おっ……起きたか」
俺は魔法少女に声をかける。
「……私は負けたのね」
「ああ、そうだ。君は俺に負けたんだ」
「……約束通り付き合ってあげるわよ。その代わり……絶対に幸せにさせてよね……!」
(ツンデレ属性のある魔法少女……いや、美少女と付き合える! マジ最高! 魔法少女マリア・マドカ!)
「ああ、絶対に君を幸せにして見せるよ」
こうして、俺は魔法少女マリア・マドカのヒロインと付き合うことになった。しかし、ここからが大変だ。これからどのようなことが待ち受けているのか分からない。まあでも……俺は彼女を絶対に幸せにしてみせると誓ったのだ。それだけは絶対に叶えてみせる。
俺の命が尽きるまで――。
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