三角錐

白鷺(楓賢)

前編:「三角錐」

ある日の午後、純也の家のドアベルが鳴り響いた。差出人不明の小包が届いたのだ。純也は興味津々で小包を受け取り、中を開けた。


中から現れたのは、10個の翡翠でできた美しい三角錐の置物と、印の入った大きな紙だった。紙には複雑な模様といくつかの円が描かれていた。


「これは一体何だろう?」純也は首をかしげながらも、紙をテーブルの上に広げ、置物をその印に従って並べてみた。


並べ終わっても何も起こらなかった。純也は困惑しながら並んだ三角錐の置物を見つめた。すると突然、強烈な睡魔が襲い、彼はそのまま眠りに落ちてしまった。


目が覚めたのは翌朝だった。純也は驚きとともに昨日の出来事を思い出し、再び小包を確認したが、新たな手がかりは見つからなかった。翌日、また新たな小包が届き、同じように10個の三角錐の置物と印の入った大きな紙が入っていた。


「またか…」純也はため息をつきながら、再び同じ手順を繰り返した。しかし、またもや何も起こらず、彼は再び睡魔に襲われ眠りについた。


これが何日も続いた。純也は奇妙なルーチンに疲れ果て、何が起こっているのか理解できずにいた。次第に、彼は日常生活の中でこの謎の小包がもたらす影響に心を奪われるようになっていった。


純也はある日、奇妙な夢を見るようになった。夢の中で、世界の国々が次々と崩壊していく様子が映し出されていた。人々が混乱し、都市が崩れ落ちていく光景はまるで現実のようだった。


目が覚めた純也は、夢の内容に戦慄を覚えた。しかし、それは単なる夢だと自分に言い聞かせた。だが、その後も同じ夢を何度も見るようになり、ついには夢の中で現れた国が現実でも滅びていることに気づいた。


ニュースで報道される災害や紛争は、夢で見た光景と一致していた。純也は次第に、自分が何か恐ろしいことに関与しているのではないかと感じ始めた。彼はこの謎の小包と夢の関連性を解明しようと決意し、真実を突き止めるための手がかりを探し始める。


(続く)

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