短歌ではない、狂歌でもない

@arahoni108

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母に似た闇に抱かれ

その声に身を震わせる処女宮ヴァルゴの軌道



血を流せ砂に埋もれたカンブリア

淘汰の果ての情景模型ジオラマとして



瑠璃紺の金属音メタルノイズ鎮魂歌レクイエム

朽ちて残るは天使の恥骨



金星を胸の隙間に埋め込んで

慈悲を頼りに石を訪ねる



冥天に浮かぶ硝子のサテライト

朧に滲む思慕の痕跡



口づけて心に注ぐ毒もなく

繋ぐ身体も嘘が足りない



微温湯の中で紡いだ

あなたへの

呪詛と

怨嗟と

少しだけ愛



虹色の油膜ひろがるギラギラと

僕の行為の愚かさを知る



吐き出され居場所を探す喘ぎ声

塗れる白は雪か?花粉か?



人造の姫

身悶えて軋む胸

錆びついていた螺子の名は“愛”



雲間から壊れた月が墜ちてきて

わたしの傍で泣いていました



名も知らぬ君と僕との秘め事は

床をのたうつケーブルの中



あの日見た青を空とは気付かずに

花の名前を付けていました



夕闇に隠れるように咲いていた

君によく似た雌待宵草



空っぽの夜を見つめる空っぽの君の瞳に映らない僕



水色に塗れる君に届かない

伸ばした手には深く群青



音の無い夜の螺旋を巡り降り

奈落で君と鎔けあう

紅く



咲く花の“赤”の記憶に立ち眩む

あの日、私は残酷でした



緋を纏い

月の微熱のメタファーのように彷徨う

真夜中の君



こんなにも日々の虚ろは加速する

あの日の嘘を置き去りにして



オレンジのマーマレードを塗りつけて

女王の頭を齧るアリス



地に満ちる数多の胡乱引き連れて

辺土リンボに至る巡礼の道



手造りの少女に花の名を付ける

この子は“桜”

この子は“菫”



霧雨に沈む

彼女の憂鬱を

そっと掬って

舐めて

融かして



炎天の雌の木乃伊の遺言が

溶けて流れて逃げ水になる



姫沙羅が花の名前と知らなくて

野で舞う君を夢見てました



指先に止まるジャイロの無重力

今日の日記はほどけて消えて



「ラ」の欠けた寄木細工の木琴を叩いておくれ

羽の無い人



背中から抱かれることの諸々を忘れるために

夜道を駆ける



早贄の蛙のように

串刺しで干乾びていく

蜜月の日々



飴色の夜の不穏に犯されて

いびつを宿す母の胎臓



逆位置の月が蛹になる夜に電波を飛ばす

『オヤスミ、セカイ』



「残像に溶けないように気を付けて」

君は裸で月まで駆ける



三稜鏡プリズムの中でわたしは伽藍堂

虹を知らない子を閉じ込めて



娼年の遺影シルルの海の色

僕の重さが無くなっていく



ぼくらには愛の足りない日もあって

別の何かで隙間を埋める



朝焼けに染まる空にはくて

僕は行方を探してました



初恋の人の忌日に猫を撫で

悲喜交々あれやこれやを飲み込んでいく



兎とか猫に埋もれて死ぬ夢を見たの

私は冬に<生/逝>きたい



輪になって踊っているね

隠れてた小さいものが群れ集う夜



穴という穴を不穏で埋めたから

僕の月には兎が居ない



千億の夜、紅色のウミユリと交わりあった君に進化を



薄暗い夜と朝との境目は

君の弄る胡乱のようで



<週末/終末>に君は喇叭を吹いている

擬態進化の半陰陽ふたなり天使



ここまでがぼくのみぎてで

そこからはきみのうなじで

あいだに<静/性/聖/星/青(séi)>を



ケーブルに繋がれている妹が

見知らぬ土地の天気を告げる



亡骸の君が空から降る夜は

魑魅すだまを連れて斎庭ゆにわを巡る



竜宮を騙る館で春を売る半魚の姫の産道熱く



器には私の水が満ちている

啜る貴方は嗚咽を漏らす



繭を裂き零れて落ちた

色素欠乏アルビノ

羽の少女よ

棘の少女よ



ねえ、あなた

わたしは蝶になったのよ

あなたの箱に

ピンで止めてね



雨に濡れ

枯山水に身を投げた

君の行方が杳と知れない



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手折られた花の姿で眠る君

『散るわ。枯れるわ。見てて』

幻聴



貌の無い黒い女神の寵愛で

頭蓋に充ちるアネモネの花



西に住む鱗の肌の人の見る夢と

同期シンクロしてる眺望パノラマ



走馬燈、早送りして事切れた無神論者は

月に看取られ



聖人の骨で作った骰子サイコロを転がし決める

姫の品格



ビー玉のまなこで夜を透かし見る君の憤怒は

止め処もなくて



液状の愛が滴る病室で

彼岸の君の歌声ソプラノを聴く



海は凪ぎ

沈んだ僕の真夜中で

君の尾鰭が脚へと変わる



左眼が熔けて溢れて流れ出て

真冬の恋の亡骸として



噴き上がる紅炎フレアにも似た恍惚で

禍根を孕むママンの子宮



盲信の白い信徒の放つ火で

焼かれる姫の純血は赤



絶海に沈む人魚の子守歌ララバイに切り刻まれて

事切れて

月/狂Luna



忌わしき小さきものが群れ集い

無垢の所業で無慈悲を啜る



東から水を湛えた人が来て

西の聖母は溺れて沈む



夕焼けの赤に侵され身悶える月の恍惚

冷たく、白く



先端に滾る乙女の情欲で

緋を駆逐する産神の巫女



盲目の王女

淫靡な情愛で蝕み穢す

武王の誉



静謐の白亜の牢で

淫蕩に耽り戦慄く

亡国の姫



錆色の蛹になって地に埋もれ

茸の君に寄生されたい



羊水で溺れて死んだ災厄の孤児が歌った花一匁



騒霊の母音由来の淫虐で折り畳まれる蜜月の夜



聳え立つ巌の如き剛健の姫の純潔

勲しの“赤”



柔らかい夜の湿度で混じりあい

虚ろを満たすふたりの秘密



灼熱の坩堝の如き産道で

紅く蕩ける聖母の操



春霖に濡れた世界で咲いて散れ

萌葱の色の

花よ、乙女よ



血塗れの唯物論の矛先が

抉り貫く売女の寓意



壊されて

切り刻まれて

崩されて

君に喰われて

血と肉になる



微睡みに沈む貴女の耳元で囁く“愛”は呪いのように



朽ち果てて彼岸で石を積むように

ただひたすらに貴女に愛を



触れ合った熱は蕩けて交じり合い

夜の褥の秘め事になる



饒舌を後ろめたさと見透かされ

嫉妬の指に身悶える夜



睦み合う

心の愛と

肉の欲

二人で昇る

昇って堕ちる



偽物のように真白い三日月の

鋭利で抉る夜のはらわた



夜は檻

閉じ込められて

目合って

愛を貪る

僕らは蠱毒



千刃の如く白痴を撒き散らし

世界を呪う黒剣スペード女王



饒舌な愛の器官の業欲で

満ちて溢れる不具のコトワリ



産神の愛の手管で迸る

供物の僕は多産を願う



水底のような静寂しじまに沈む君

舌禍を嘆く不義の告解



月光の“白”が野薔薇を照らす夜

眠る王女を愛が貪る



金魚鉢

金魚は居ない

亀が居る

問えば答える

万年の知恵



断面がスポンジ状の地層には

成り損なった僕らの記憶



噂では君のはらでは三億の

邪悪な意思が螺旋を描く



火口から君に羽毛があった頃囀っていた歌が聴こえる



海は枯れ歌は途絶えて妖鳥は純潔のまま彼岸に至る



じくじくと腐食していく「サヨウナラ」

わたしは何が悲しかったの?



紅涙に歪む世界に君は亡く

我が血を贄に数多を呪う



部屋中に君の写真を貼り付けて

千の視線で刻まれる夜



鹿ですか?

狼ですか?

鷲ですか?

梟ですか?

『駒鼠です』



Lo-Fiで刻む低音kick奇想曲capriccio

BPMは156



黄昏に僕の右眼が釣り上げた

君と魚と猫の合成生物シメール



残照が此の身を透かし炙り出す虚ろでさえも空事ソラゴトでした



水音も焔の音も風音も死んだ世界で♪♪♩ポルカを踊る



因習の由来で刻む漆黒の呪縛の如き幾何学の紋



上弦の月が見守る祭壇で

君と交わる

しるしを遺す



空論を澱みの理知で駆逐する

深きより来る魚の賢者



仮初の契りで孕む嬰児みどりごの蠱毒塗れの産声を聞く



惨劇の合間合間に猫が来て胡乱な声で動機を告げる



百八の詩篇に綴る亡国の姫に纏わる寓意と黙示



路地の奥

「マケテクヤシイ」

童歌

貌の無いの子は

「アノコガホシイ」



静謐に零れた赤は

惨劇と見紛うほどの

君の恍惚



東雲に沈む敵性bogeyの絶音で

斑に染まる貴女の翼



母を埋め

死を閉じ込めた御霊塚

捧げた赤は

手向けか贄か



黄昏に沈む二人の寂寞が覆い隠した

秘密ヒミツイビツ



磔刑の君と二人で星を見る

僕らの顔は綻んでいく



中天の月は笑っているみたい

静かの海の兎を想う



今日からは此処で案山子と暮らします

黄色い野罌粟のげし一輪飾り



捨てられた機械天使が繰り返す

ボカロちっくな讃美歌5番

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